Glico独自開発の乳酸菌 Lactobacillus helveticus GCL1815株が風邪の自覚症状を抑え、分泌型免疫グロブリンA(sIgA)の産生を促進することをヒト試験で実証
江崎グリコ株式会社は、健常成人を対象としたヒト試験において、当社独自の乳酸菌Lactobacillus helveticus GCL1815株(以下、GCL1815株)を継続摂取することで、唾液中の分泌型免疫グロブリンA(以下、sIgA)の産生が有意に促進され、風邪の幅広い自覚症状を抑えることを実証しました。
本研究成果は、2025年5月に国際誌「Journal of functional foods」に掲載されました。
■本研究のポイント
● GCL1815株の摂取による、風邪の自覚症状の発症日数を軽減する効果が確認されました。
- 全身症状:熱っぽさ、全身の倦怠感、寒気、食欲低下
- 部位別症状:関節の違和感、筋肉の痛み、頭(ず)重感(じゅうかん)、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、喉の違和感、咳、痰
● GCL1815株による免疫機能への作用を解析し、鼻や喉などの粘膜において感染を防ぐ働きをする、sIgAの産生が促進されることが示されました。
- 低用量(60億個/日)および高用量(1000億個/日)のGCL1815株を継続摂取すると、対照群と比較して唾液中のsIgA量が有意に高い値となりました。

■論文情報
掲載誌:Journal of Functional Foods 2025, 128
タイトル:Lactobacillus helveticus GCL1815 induces salivary IgA production and alleviates common cold-like symptoms: A randomized, double-blind, placebo-controlled, parallel-group comparative study
著者:Kaoru Kikuchi, Hiroka Wada, Yasuo Saito, Taisuke Uesugi, Kazuma Takahashi, Naoki Azuma, Takashi Mawatari, Kana Nishimura, Yoshitaka Iwama
URL:https://doi.org/10.1016/j.jff.2025.106815
■研究内容
GCL1815株は、免疫機能を高める乳酸菌として当社が独自に選抜した菌株(※)です(*1)。当社は、GCL1815株を摂取することで樹状細胞が活性化し、風邪の自覚症状の累積発症日数が軽減することを報告しています(*2)。
本研究では、風邪の症状と免疫機能に対する効果のさらなる検証を目的として、低用量(60億個)を摂取するグループと、高用量(1000億個)を摂取するグループ、GCL1815株を摂取しないグループを設けてヒト試験を実施しました(表)。試験には、加熱殺菌したGCL1815株を用いました。

■研究結果
① 風邪の症状に対する効果
症状別の発症累積日数を評価した結果、以下の自覚症状の発症日数がGCL1815株の摂取により有意に減少することが確認されました(p<0.05,Chi-Square Test)。
[GCL1815株 低用量群で改善した項目]
・全身症状:熱っぽさ、全身の倦怠感、寒気、食欲低下
・部位別症状:関節の違和感、筋肉の痛み、頭重感、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、喉の違和感、咳、痰
[GCL1815株 高用量群で改善した項目]
・全身症状:熱っぽさ、全身の倦怠感、寒気、食欲低下
・部位別症状:関節の違和感、筋肉の痛み、頭重感、喉の違和感、咳、痰
② 免疫機能に関する評価
GCL1815低用量群および高用量群では、摂取8週目において唾液中のsIgAの量が対照群に対して有意に高い値を示しました(図)。
sIgAは、粘膜表面に分泌される抗体です。ウイルスなどの病原体にsIgAが結合し、病原体の粘膜への結合を妨げることで感染を防ぐ働きをします。唾液中のsIgA量が多いほど、鼻内部から喉にかけての上気道での感染を抑える能力があることを示唆します。
GCL1815株を継続して8週間摂取することで、sIgAの産生が促進され、風邪の自覚症状の発症軽減につながったと考察されます。

③ GCL1815株の摂取に関連する有害事象は認められず、試験前後の血液検査や尿検査結果から、GCL1815株の摂取の安全性が示されました。
本研究結果から、GCL1815株が免疫機能に作用して風邪の自覚症状の発症を抑えるという、当社のこれまでの研究結果との整合性が得られました。この結果は、GCL1815株の摂取が風邪の発症予防につながる示唆といえます。
■今後の展望
GCL1815株を継続摂取することにより、唾液に含まれるsIgA量が増えたことから、免疫機能を高め、感染予防に繋がることで、人々の健康に貢献する可能性を示しています。
当社は引き続き、GCL1815株の免疫機能に関するさらなる作用メカニズムを解明し、有用性を検証する研究を推進してまいります。GCL1815株の健康価値の創出を通して、当社のパーパスである「すこやかな毎日、ゆたかな人生」の実現に努めてまいります。
<参考情報>
※ 菌株・・・細菌を最も細かく分類する、最⼩単位です。1つの細菌から分裂し増殖した、同じ遺伝⼦を持つ菌の集まりを指します。
<参考文献>
*1:Tsuruno K, et al. Screening of novel lactic acid bacteria with high induction of IgA production, dendritic cell activation, and IL-12 production. Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry, Volume 89, Issue 3, March 2025, Pages 459–464.
*2:Wada H, et al. Lactobacillus helveticus induces two types of dendritic cell activation and effectively suppresses onset of the common cold: A randomized, double-blind, placebo-ontrolled trial. Nutrients. 2025, 17(1), 101.
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