シリア:イドリブの空爆で、多数の子どもを含む死傷者が緊急搬送

シリア北西部のイドリブ県で12月11日、空爆の被害者15人が国境なき医師団(MSF)が共同運営する病院に緊急搬送された。けが人は14歳未満の子ども11人と女性2人で、そのうち4歳の女児1人が重体、そのほかに2人が病院に到着する前に死亡していた。情勢不安を受けてMSFは、一度に多数の負傷者が運び込まれるような事態や感染症の流行など、緊急の医療ニーズへの対応の必要性が非常に高まっていると懸念している。

イドリブ県の農場を改造して作ったMSFの仮設病院で、血液バッグを掲げる医療スタッフ=2013年7月22日 © Robin Meldrum/MSFイドリブ県の農場を改造して作ったMSFの仮設病院で、血液バッグを掲げる医療スタッフ=2013年7月22日 © Robin Meldrum/MSF

 
  • 傷つく子どもたち

MSFの医療活動マネジャーであるジハド・イスマイル医師(仮名)は「重体の女の子の小さな体は、爆弾による傷だらけでした。医療チームはなんとか容体を安定させられたものの、ひどい傷を見て大変ショックを受けています。他の患者は軽傷から中等傷でした」と話す。

続けて医師は、「シリア北西部の共同運営病院で大勢の死傷者を受け入れたのは、今回が初めてではありません」としたうえで、「しかし、こんなに大勢の子どもを診ることは滅多にありません。今回運び込まれた中には、2歳の子もいました。短い人生の中で内戦ばかり経験してきた子どもたちが、暴力の目撃者になるだけではなく、直接の被害者となってしまうことに心が痛みます」と憤る。
 
  • 医療ニーズへの備え

シリア北西部では、2020年3月の停戦合意にもかかわらず、空爆や砲撃が定期的に続いているうえ、10年以上に及ぶ内戦により、住民や医療システムは既に大打撃を受けている。今回のように大勢の死傷者が一斉に搬送される事態は、緊急の医療ニーズが依然として非常に高い水準にあることを示している。MSFは引き続き状況を監視し、緊急事態への対応力を高め、住民の医療ニーズに対応していく。
 
  • シリアにおけるMSFの活動

過去10年続いてきた内戦の間、MSFは、シリアとその周辺地域の状況の変化に合わせ、高まる人道・医療ニーズに応えてきた。活動は外傷治療、母子保健・産科診療、集団予防接種など多岐にわたる。

シリア北西部では現在、病院8カ所、基礎診療所12カ所、救急車5台を支援。さらに、80カ所以上の国内避難民キャンプで移動診療を行う14の医療チームの支援のほか、90カ所近くの避難民キャンプで水の供給と衛生維持活動を行っている。最近では、新型コロナウイルス感染症の隔離・治療センターと他の呼吸器系疾患の治療センターを開設。避難民キャンプでは、移動診療、新型コロナの検査および予防キットの配布に当たっている。またワクチンの接種をためらう人向けに、健康教育講座を各地で開催し、対面とオンライン形式で正確な情報の発信を行っている。

北東部では、予防接種活動、基礎診療所や非感染性疾患の診療所の運営、移動診療による外傷治療、アルホール・キャンプで飲用水提供のための海水淡水化工場を運営している。さらに、救急と外来部門を持つ病院の支援や、栄養治療プログラムを開始し、新型コロナの感染が拡大した2つの大都市で病院や診療所を支援している。

シリア国内でMSFは、政府の支配地域では活動していない。政府に対してこれまで何度も活動の許可を求めたが、許可が下りたことは無いためだ。MSFは活動の独立性を保つため、シリアでの活動にはいかなる政府からの資金援助も受けず、民間からの資金によってのみ活動している。
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