カラオケとYUBAメソッドをもちいた医療への応用研究三重大学との共同研究最終報告
株式会社エクシング(社長:吉田篤司)は、親会社であるブラザー工業株式会社(社長:小池利和)、及び国立大学法人三重大学(学長:駒田美弘)と2011年2月から実施した共同研究『カラオケとYUBAメソッドを用いた医療への応用研究』について、臨床試験結果を報告します。
研究の結果、カラオケとYUBAメソッドを用いた療法がBPSD(行動心理症状)の改善や認知症症状の安定化に繋がる傾向がみられました。また、家族による観察では、患者の意欲が出てきたと答えた例も多く、結果として臨床試験に参加された患者の多くの家族から、より前向きになったとの報告がありました。尚、本結果は2015年9月に海外の医学系学会雑誌『Dementia and Geriatric Cognitive Disorders-Extra (※1)』に掲載されました。(※2)
【研究内容】
三重大学の医学部、教育学部が作成したYUBAメソッド(※3)とカラオケを使った歌唱療法プログラムに基づき、三重大学医学部附属病院にて軽度から中等度の認知症患者に対し、半年間の歌唱療法を実施しました。臨床試験を行った治験者10名と、行わなかった10名とで検査結果を比較し有効性を検証しました。検証においては神経心理学的検査、聞き取り検査、臨床試験前後での機能的MRI検査(fMRI)を実施し、本療法の認知症患者の認知機能・BPSD(行動心理症状)への効果について比較しました。
1.臨床試験方法とその結果
神経心理学的検査については、図2に示したように知能検査(RCPM※4)の施行時間、NPI(※5)の結果は有意(5%以下を有意と判断)に改善しました。その結果は聞き取り検査でイライラや妄想の改善の低下と合致します。また、治験者の睡眠時間も改善(平均時間で7.5時間から8.2時間に改善)しました。さらに、家族によれば患者の意欲が出てきたと答えた例も多く、結果として家族もより前向きになったことが観察できました。
2.まとめ
YUBAメソッドとカラオケを使った歌唱療法プログラムの実施により、BPSD(行動心理症状)が改善し睡眠時間が長くとれるようになり、認知症患者の症状の安定化に繋がる傾向がみられました。また、家族による観察では、実施前と比較して意欲や情動、実行機能に好ましい変化が生じたとする報告が多く得られました。さらにfMRIの脳画像分析結果からYUBAメソッドとカラオケを使った歌唱療法により情報処理の効率化が得られていることが分かりました。
3.今後の展開
厚生労働省によれば、高齢化に伴い認知症患者は2025年に700万人を突破するとみられ、薬物療法のみならず、非薬物療法の医学的確立が強く求められています。これらを背景に、エクシングとブラザー工業は、三重大学との共同研究で得られた知見を基に、認知症患者の方々へのカラオケの新しい活用方法を検討していきます。
※1 https://www.karger.com/Article/FullText/436960
※2 この共同研究は、三重大学医学部認知症医療学、三重大学教育学部 と株式会社エクシング、ブラザー工業株式会社との連携によって実施されたものです。
※3 「YUBAメソッド」は、三重大学教授の弓場徹氏が、「発声機能解剖生理学」の研究により構築した「YUBA理論」を基に生まれた新発声法。模範となる声をまねることで、ノドの「歌う筋肉」(輪状甲状筋)の使い方を習得させ、発声能力を短期間で効率的に高めます。
※4 「RCPM」:標準図案の欠如部に合致するものを6つの選択図案の中から1つだけ受検者に選ばせる検査方法。
※5 「NPI」:BPSD(行動心理症状)を検査・評価するためのスケール。
※6 RCPM、NPI共に合計数値が低い方が良好な結果となります。
研究の結果、カラオケとYUBAメソッドを用いた療法がBPSD(行動心理症状)の改善や認知症症状の安定化に繋がる傾向がみられました。また、家族による観察では、患者の意欲が出てきたと答えた例も多く、結果として臨床試験に参加された患者の多くの家族から、より前向きになったとの報告がありました。尚、本結果は2015年9月に海外の医学系学会雑誌『Dementia and Geriatric Cognitive Disorders-Extra (※1)』に掲載されました。(※2)
【研究内容】
三重大学の医学部、教育学部が作成したYUBAメソッド(※3)とカラオケを使った歌唱療法プログラムに基づき、三重大学医学部附属病院にて軽度から中等度の認知症患者に対し、半年間の歌唱療法を実施しました。臨床試験を行った治験者10名と、行わなかった10名とで検査結果を比較し有効性を検証しました。検証においては神経心理学的検査、聞き取り検査、臨床試験前後での機能的MRI検査(fMRI)を実施し、本療法の認知症患者の認知機能・BPSD(行動心理症状)への効果について比較しました。
1.臨床試験方法とその結果
臨床試験では週に3回、YUBAメソッドの発声・歌唱用自習教材(CD)と家庭用カラオケを使用して発声・歌唱の練習を行い、週1回1時間は、三重大学医学部附属病院で歌唱療法プログラム(図1)に基づく療法を実施しました。臨床試験前後で実施した神経心理的検査(質問法)、聞き取り検査(観察法)の結果は以下の通りです。
神経心理学的検査については、図2に示したように知能検査(RCPM※4)の施行時間、NPI(※5)の結果は有意(5%以下を有意と判断)に改善しました。その結果は聞き取り検査でイライラや妄想の改善の低下と合致します。また、治験者の睡眠時間も改善(平均時間で7.5時間から8.2時間に改善)しました。さらに、家族によれば患者の意欲が出てきたと答えた例も多く、結果として家族もより前向きになったことが観察できました。
また、一部の治験者には前記同様の臨床試験の実施前後で血流動態反応を視覚化できるfMRIの撮影を行いました。fMRI内でカラオケの歌詞を映し、治験者に童謡を歌唱してもらい脳内機能を検査しました。その結果、臨床試験後には前に比し頭部の左舌状回(ぜつじょうかい)、右角回(かくかい)の活性が有意に低下しました。これは、より少ない脳内資源で同じ課題を処理できるようなったと考えられます(※1公開論文 Fig1参照)。
2.まとめ
YUBAメソッドとカラオケを使った歌唱療法プログラムの実施により、BPSD(行動心理症状)が改善し睡眠時間が長くとれるようになり、認知症患者の症状の安定化に繋がる傾向がみられました。また、家族による観察では、実施前と比較して意欲や情動、実行機能に好ましい変化が生じたとする報告が多く得られました。さらにfMRIの脳画像分析結果からYUBAメソッドとカラオケを使った歌唱療法により情報処理の効率化が得られていることが分かりました。
3.今後の展開
厚生労働省によれば、高齢化に伴い認知症患者は2025年に700万人を突破するとみられ、薬物療法のみならず、非薬物療法の医学的確立が強く求められています。これらを背景に、エクシングとブラザー工業は、三重大学との共同研究で得られた知見を基に、認知症患者の方々へのカラオケの新しい活用方法を検討していきます。
※1 https://www.karger.com/Article/FullText/436960
※2 この共同研究は、三重大学医学部認知症医療学、三重大学教育学部 と株式会社エクシング、ブラザー工業株式会社との連携によって実施されたものです。
※3 「YUBAメソッド」は、三重大学教授の弓場徹氏が、「発声機能解剖生理学」の研究により構築した「YUBA理論」を基に生まれた新発声法。模範となる声をまねることで、ノドの「歌う筋肉」(輪状甲状筋)の使い方を習得させ、発声能力を短期間で効率的に高めます。
※4 「RCPM」:標準図案の欠如部に合致するものを6つの選択図案の中から1つだけ受検者に選ばせる検査方法。
※5 「NPI」:BPSD(行動心理症状)を検査・評価するためのスケール。
※6 RCPM、NPI共に合計数値が低い方が良好な結果となります。
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