同一の子どもについて、5年間(年少児~小学2年生)の変化をとらえる追跡調査・第4弾 小学校スタート時に、親が子どもの意欲を支え、学習環境を整えることが「自分から進んで勉強する」態度につながる

~小1で「しかるよりほめる」ほど、小2で子どもが「自分から進んで勉強する」~

 株式会社ベネッセホールディングス(本社:岡山市)の社内シンクタンク「ベネッセ教育総合研究所」では、子どもをもつ母親479名を対象に、2012年1月~2016年3月にかけて「幼児期から小学生の家庭教育調査・縦断調査」を実施しました。

 2017年3月に幼稚園教育要領、保育所保育指針、認定こども園教育・保育要領、小学校学習指導要領の改訂・改定の告示があり、ともに幼小間の円滑な接続を重視し、幼児期の教育が小学校以上の主体的・対話的で深い学びにつながるよう配慮されています。本調査は、年少児から小2までの5年間、同一の親子を継続して調査をすることで、子どもの育ちのプロセスや親の関わりの影響を明らかにすることを目的としています。
 今回、小学2年生まで追跡調査をしたことで、小1、2の「学習態度(自分から進んで勉強する態度)」には、幼児期の育ちが土台となっていることが改めて確認されました。新たに、この「学習態度」を伸ばすには、親が子どもの意欲を支えることや学習環境を整えることが大切であることが見えてきました。

 主な調査結果は以下の通りです。

 

1. 小学校以降の学習や生活に大切な「学習態度(自分から進んで勉強する態度)」は、幼児期の育ちが土台となっている。幼児期に、「生活習慣」「学びに向かう力(=非認知的的スキル)」「文字・数・思考」の順序で育ち、それが小1、2での「学習態度」につながった。また、この3つの力を幼児期に身に付けることで、小学校以降も伸びることが確認できた。
・前の学年が次の学年の成長にどう影響するのかを分析した。影響の大きかった力を抽出すると、幼児期では、「生活習慣」が「学びに向かう力」に影響を与え、「学びに向かう力」が「文字・数・思考」に影響を与えていた。これらを幼児期に身につけることが小1での「学習態度」につながり、さらに小2での「学習態度」に結びついた。

2. 小2の「学習態度」を支える親の働きかけを分析すると、「子どもの意欲を大切にする態度」と「学習環境を整える関わり」が影響を与えており、両方の働きかけを行っているほうが、どちらか一方を行うより効果的だった。
・小1での親の関わりが小2の「学習態度」にどう影響するかを分析した結果、「子どもの意欲を大切にする態度」と「学習環境を整える関わり」が影響を与えていた。
・「子どもの意欲を大切にする態度」と「学習環境を整える関わり」を得点化し、それぞれ高群と低群に分けた。そして、両方とも高群だった人を「子どもの意欲を大切にし、学習環境を整えた群」、どちらかのみが高群だった人を「“意欲を大切にする”のみの群」、「“学習環境を整える”のみの群」として、この3群で子どもの「学習態度」がどれくらい身についているかを見た。その結果、例えば、「大人に言われなくても自分から進んで勉強する」比率は、「子どもの意欲を大切にし、学習環境を整えた群」では76.2%、「“学習環境を整える”のみの群」では62.9%、「“意欲を大切にする”のみの群」では61.5%と、両方の働きかけを行っている方が、どちらか一方を行うより効果的だった。

3. 親の具体的な関わりでは、小1で「しかるよりほめる」「ワークや教具を使って学習させている」ほど、小2で子どもが自分から進んで勉強する傾向がみられた。また、「やろうとしているときに、最後までやらせるようにしている」「教具を使って学習させている」ほど、勉強していてわからないときに、自分で考え、解決しようとする傾向がみられた。
 


【調査結果からの考察】
 幼児期から小学校までの時期は、学びの基礎力を培う時期です。幼稚園教育要領や保育所保育指針、認定こども園教育・保育要領、小学校学習指導要領の改訂・改定でも、幼小間の円滑な接続を重視し、子どもが主体的で深い学びができるよう配慮されています。この時期の子どもを5年間追跡したデータから、幼児期で培った力が土台となり小学校低学年での「学習態度」に結びつくことが明らかになりました。さらに、親が子どもの意欲を大切にし学習環境を整えることが、家庭で子どもが「学習態度」を身につけるときの支えになることがみえてきました。
 年長児から小学校低学年の時期は、園から小学校へと子どもの環境が大きく変化します。子どもは新しい環境に期待を持ち、適応しようとします。しかし、園での教育方法や環境との違いにとまどいを覚えたり、それまでできていたことが一時的にできなくなる子どももいます。親は子どものゆるやかな成長のペースに心配になると思いますが、子どもの積極的な気持ちを信頼し、やろうとしていることをやり遂げるまで見守ること、家庭でも子どもが学ぶ機会を得られるように環境を整えることが、幼児期から小学校に切り替わり学習生活をスタートさせ、主体的で深い学びを得るために必要な関わりと言えるのではないでしょうか。

【調査概要】

名称 幼児期から小学生の家庭教育調査・縦断調査(3歳児から小学2年生)
調査テーマ 幼児期から小学生の子どもの学びの様子と、保護者の関わりや意識
調査方法 郵送法(自記式アンケートを郵送により配布・回収)
調査時期 初回調査 :年少児期(3 歳児クラス) 2012 年1~2 月
(縦断)第1 回調査 :年中児期(4 歳児クラス) 2013 年1~2 月、
(縦断)第2 回調査 :年長児期(5 歳児クラス) 2014 年1~2 月、
(縦断)第3 回調査 :小1 期 2015 年3 月
(縦断)第4 回調査 :小2 期 2016 年2~3 月
調査対象 子どもが年少児から小学2 年生までの縦断調査に5年間参加した母親479 名
(全国)
調査項目 学びに向かう力・生活習慣・学習準備等の実態/母親の養育態度/
母親の関わりなど
調査企画メンバー
・分析協力者
無藤隆(白梅学園大学大学院特任教授)/秋田喜代美(東京大学大学院教授)
/荒牧美佐子(目白大学専任講師)/都村聞人(神戸学院大学専任講師)/
高岡純子(ベネッセ教育総合研究所 次世代育成研究室室長)
/田村徳子(同研究所 特任研究員)

 

 

本調査で使用している言葉の詳細項目は以下の通りです:
●  【学習態度】
「大人に言われなくても自分から進んで勉強する」「勉強が終わるまで集中して取り組む」「机に向ったら、すぐ勉強に取りかかる」「勉強をしていて、わからないとき、自分で考え、解決しようとする」の4項目。
● 【子どもの意欲を支える】
「子どもがやりたいことを尊重し、支援している」「どんなことでも、まず子どもの気持ちを受け止めるようにしている」「何事にも子どもの意見や要望を優先させている」「しかるよりもほめるようにしている」「しかるとき、子どもの言い分を聞くようにしている」「指図せずに、子どもに自由にさせている」「子どもが自分でやろうとしているとき、手を出さずに最後までやらせるようにしている」の7項目。
●【学習環境を整える】
「ワークブックを子どもにやらせている」「子どもと知育玩具を使って文字や数を学習するような遊びをしている」「子どもと一緒に数を数えている」「子どもが文字や数に興味を示したとき、さらに学べるように環境を整えている」の4項目。
● 【幼児期から児童期にかけて大切な3つの軸
幼小接続期に大切な《生活習慣》、《学びに向かう力》、《文字・数・思考》という3つの軸を設定。
*《生活習慣》 =生活していくために必要な習慣全般(食事、あいさつ、片付けなど)。
*《学びに向かう力》 =“非認知的能力”とも言われ、この調査では、『好奇心』・『自己主張』・『協調性』・             『自己抑制』・『がんばる力』の5つで構成。
*《文字・数・思考》 =『文字』・『数』・『言葉』・『分類する力』の4つで構成。
            小学校段階での学習につながる。

◆ベネッセ教育総合研究所のホームページからも、本リリース資料をダウンロードできます。
http://berd.benesse.jp/

【結果の詳細】
1.小学校以降の学習や生活に大切な「勉強する態度」は、幼児期の育ちが土台となっている。幼児期に、「生活習慣」「学びに向かう力(=非認知的能力)」「文字・数・思考」の順序で育ち、それが小1、2での「勉強する態度」につながった。また、この3つの力を幼児期に身に付けることで、小学校以降も伸びることが確認できた。

・前の学年が次の学年の成長にどう影響するのかを分析した。影響の大きかった力を抽出すると、幼児期では、「生活習慣」が「学びに向かう力」に影響を与え、「学びに向かう力」が「文字・数・思考」に影響を与えていた。これらを幼児期に身につけることが小1での「学習態度」につながり、さらに小2での「学習態度」に結びついた。(図1)

※太い線は影響の大きかったもの、細い線は影響のやや大きかったものを表している。

 

2.小2の「勉強する態度」を支える親の働きかけを分析すると、「子どもの意欲を大切にする態度」と「学習環境を整える関わり」が影響を与えており、両方の働きかけを行っているほうが、どちらか一方を行うより効果的だった。
・小1での親の関わりが小2の「学習態度」にどう影響するかを分析した結果、「子どもの意欲を大切にする態度」と「学習環境を整える関わり」が影響を与えていた。(図2)

・「子どもの意欲を大切にする態度」と「学習環境を整える関わり」を得点化し、それぞれ高群と低群に分けた。そして、両方とも高群だった人を「子どもの意欲を大切にし、学習環境を整えた群」、どちらかのみが高群だった人を「“意欲を大切にする”のみの群」、「“学習環境を整える”のみの群」として、この3群で子どもの「勉強する態度」を構成する4項目がどれくらい身についているかを見た。その結果、例えば、「大人に言われなくても自分から進んで勉強する」比率は、「子どもの意欲を大切にし、学習環境を整えた群」では76.2%、「“学習環境を整える”のみの群」では62.9%、「“意欲を大切にする”のみの群」では61.5%と、両方の働きかけを行っている方が、どちらか一方を行うより効果的だった。(図3、4)
 

 

 


3.親の具体的な関わりをみると、小1で「しかるよりほめる」「ワークや教具を使って学習させている」ほど、小2で子どもが自分から進んで勉強する傾向がみられた。また、「やろうとしているときに、最後までやらせるようにしている」「教具を使って学習させている」ほど、勉強していてわからないときに、自分で考え、解決しようとする傾向がみられた。(図5,6)

 


 

 

補足資料 1
<得点の出し方>
得点を構成する各項目について、“とてもあてはまる”を4点、“まああてはまる”を3点、“あまりあてはまらない”を2点、“ぜんぜんあてはまらない”を1点として平均点を算出した。なお、すべて回答した人のみ分析している。

<2群の分け方>
上記より算出した平均点を2つの群に分けた。すべて回答した人のみ分析している。
 

 

 

 

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