東急不動産と自然電力による、国内最大規模の垂直式営農型太陽光発電所が竣工間近

- 帯広畜産大学と連携し、農業×再生可能エネルギー共生モデルの確立を目指す -

東急不動産

 東急不動産株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:星野浩明、以下「東急不動産」)と、自然電力株式会社(本社:福岡市中央区、代表取締役:磯野謙、以下「自然電力」)は、共同出資により設立したリエネ自然ファーム合同会社(以下「新会社」)を事業主体として、発電出力が国内最大規模1 となる垂直式営農型太陽光発電設備(以下「本設備」)の帯広畜産大学の実証圃場内への建設工事の完成を間近に控え、電力供給開始に向けた最終的な検査・調整段階に入りました。

 本設備は、帯広畜産大学および自然電力グループの北海道自然電力株式会社(以下「北海道自然電力」)の共同研究のために活用され、十勝地域におけるカーボンニュートラルの推進と持続的発展への貢献を目指した、大規模な実証研究が本格的に開始されます。

1 両社(東急不動産および自然電力)調べ

I. これまでの経緯:地域の課題解決と持続可能な農畜産業の両立を目指して

 日本の食料基地である北海道十勝地域は、広大な耕地で大規模な畑作を行う地帯であり、牛の飼養頭数も北海道で最多です。この地域は、日照時間が道内で最も長く、積雪も少ないため、太陽光発電の導入ポテンシャルが非常に高いという特性を持っています。一方、農畜産業界は、労働力不足や、肥料・燃料価格の高騰といった経営課題に直面しています。

 こうした背景を受け、地域におけるカーボンニュートラルの推進と持続的発展への貢献を目指し、以下の連携体制を構築してまいりました。

●2024年8月20日:連携協定締結 

北海道自然電力と帯広畜産大学は、営農型太陽光発電の実証研究等を通じた地域貢献を目指し、連携協定を締結しました。

●2025年2月:パイロット実験開始

本格的な大規模実証に先行し、連携協定に基づき帯広畜産大学構内の実習圃場に垂直型と傾斜型の太陽光発電設備を設置し、発電量の比較検証を行うパイロット実験を開始しました。

●2025年4月21日:新会社設立、新会社と大学が電力供給等契約を締結

東急不動産が持つ再生可能エネルギーの開発力と自然電力の地域に根付いた事業推進力を掛け合わせ、営農型太陽光発電事業を共同で開発・推進するため、東急不動産と自然電力は新会社を設立しました。新会社が事業者となり、帯広畜産大学と電力供給等契約(オンサイトPPA事業)を締結しました 。

●2025年6月:本設備の設置工事開始

●2025年10月:本設備を設置した実証圃場での作物栽培試験開始、共同研究での本格活用へ

帯広畜産大学の実証圃場内工事と並行して作付け準備を進め、圃場内の工事完了後に、十勝の基幹作物の栽培を開始しました。今後、生育評価等のために必要なデータ収集が実証圃場にて行われます。

●2025年12月:電力供給開始(予定)

実証圃場外の工事、電力供給開始に向けた最終的な検査・調整を経て、同年12月より帯広畜産大学への電力供給を開始する予定です。

2 東急不動産と自然電力、営農型太陽光発電事業の新会社を設立(2025年4月21日プレスリリース)

II. 本設備の概要:国内最大規模の垂直式ソーラーシェアリング

 本設備は、農作物の収量への影響や農業機械作業への干渉を抑えることを期待し、土地や地上部の空間の専有面積が少ない垂直設置型の太陽光発電設備を採用しています。

 垂直式太陽光発電設備は、モジュールが雪で覆われにくいため、積雪に強く、豪雪地帯でも導入が可能であり、特に冬季の積雪時には地面からの反射光(アルベド効果)による発電量の上昇が期待できます。また、設置方位により発電のピークを朝や夕方にシフトできます。

写真左上:設備全体像(手前の北側から南側を向いて撮影) 、写真右上:設備写真(27m間隔エリア)

写真下段:設備写真(左右パネルの間隔約10m、地表からパネル下まで2.0m、パネル高さ2.5m)

項目

概要

事業者

リエネ自然ファーム合同会社

設備名称

帯広畜産大学営農型垂直太陽光発電所

設備形式

営農型垂直オンサイトPPA(大学内で全量自家消費)

設置場所

帯広畜産大学 畜産フィールド科学センター内実証圃場

発電出力

DC 743.04 kWp / AC 500kW (定格出力 743.04kW)

PVモジュール

645W × 1152枚 (両面受光型)

アレイ間距離

50m, 50m, 50m, 27m, 27m(下部農地面積 約15ha)

作付作物

小麦、甜菜(ビート)、金時豆、小豆、牧草等(輪作、大型農業機械を使用)

供給開始時期

2025年12月より帯広畜産大学へ電力供給開始予定

III. 関係者コメント

帯広畜産大学長 長澤 秀行

 本学では、十勝の基幹作物の栽培や地域環境に対して垂直式太陽光発電設備が及ぼす影響を実証研究により検証し、作物の生育や収量、環境への多面的な作用を明らかにすることで新たな営農・環境共生モデルの可能性を探ります。 この実証研究により得られた知見を広く社会に還元し、持続可能な農業の実現に貢献したいと考えております。

帯広市川西農業協同組合(JA帯広かわにし) 代表理事組合長 足助 博郁

 十勝管内は、日本有数の広大な畑作酪農地帯であり、食料供給基地としての使命を果たしています。垂直式太陽光発電は、農業を行いながら再生可能エネルギーを創出できる点で、十勝農業を切り拓く可能性を秘めています。このプロジェクトの結果を受け、この地域の持続可能な農業経営の実現に寄与する取り組みとなることを期待しております。

東急不動産株式会社 

インフラ・インダストリー事業ユニット 環境エネルギー事業本部

環境エネルギー事業第一部 統括部長 畠山 洋平

 東急不動産は、農業およびエネルギー問題の双方解決に向けて、地域ごとの農業特性に合わせた最適な営農型太陽光発電事業の推進を目指しています。今回の取組みは、北海道の広大な農地や積雪環境、日照条件を考慮し、農業に最適な発電モデルが採用できていると考えています。今後も新会社を通じて、地元企業や農家の皆さまなど、パートナーと協力しながら、地域に適した営農型太陽光発電の導入を進め、再エネ電力の直接供給モデルもさらに拡大してまいります。 

北海道自然電力株式会社 代表取締役副社長 堂屋敷 誠

 この度の国内最大規模の垂直式営農型太陽光発電設備が竣工間近となりましたこと、心より嬉しく思います。本実証事業の推進にあたり、帯広畜産大学様、そして多大なるご協力を賜りました帯広市川西農業組合様に深く感謝申し上げます。

 今回の共同研究では、農地の利用効率を維持しながら発電を可能にする垂直式の特徴を活かし、基幹作物への影響評価や農業経営への貢献に係る経済性評価を行うことによって、地域農業と再生可能エネルギーの最適な共存モデルの確立を目指します。さらにこの実証成果を広く伝えていくことで、農業関係者の皆様に垂直式営農型太陽光発電の関心や理解が深まることを期待しています。

 引き続き、未来につながる持続的な十勝地域の農業への貢献や、この取り組みを通じた地域GXの推進に貢献してまいります。

IV. 今後の見通し:多角的な実証研究と地域GXの推進

◎共同研究に関して

 2024年8月に締結した連携協定に基づき、垂直式営農型太陽光発電に関する以下の3テーマの共同研究を2024年11月より順次開始しています。

研究テーマ

研究内容

研究期間

十勝の基幹作物(小麦、豆類、甜菜、牧草など)への影響評価

- 作物の生育評価

- 土壌分析

- 防除時の防風効果の検証等

2024年11月~2030年3月

農業経営における経済性評価

- 営農型太陽光発電導入の経済性評価

- 労働時間への影響評価

2024年11月~2030年3月

景観評価

- 消費者評価手法を応用した景観評価

2025年4月~2026年3月

 本共同研究では、垂直式太陽光発電設備の設置が、十勝地域における基幹作物(小麦、豆類、てん菜、牧草など)の栽培や農業経営、そして農村景観等に与える影響を多角的に評価し、地域農業と再生可能エネルギーの共存モデルの確立を目指します。

 

◎新会社の今後の展開

 東急不動産および自然電力グループは、この大規模実証研究を通して得られた知見を活かし、持続的かつ競争力を有する次世代農業の実現に向けた地域づくりと、地域課題の解決や活力の創造に繋がる再生可能エネルギーの地産地消システムの構築を進め、地域の皆様と協働しながら十勝圏をはじめ、開発地域におけるGX推進に貢献してまいります。

 

以上

【東急不動産について】https://www.tokyu-land.co.jp/

 東急不動産ホールディングスグループの中核会社である東急不動産は、太陽光発電や風力発電を中心に、国内全国で156事業・定格容量2,112MW(2025年9月末基準、開発中案件を含む)の再生可能エネルギー発電事業、そのうち営農型太陽光発電事業は全国で11事業・定格容量12MW超(2025年9月末基準、開発中案件を含む)を展開しており、北海道を含む複数の自治体において農業問題とエネルギー問題の双方解決に向けた取り組みを進めております。また、東急不動産と同社 100%子会社である株式会社リエネとともに、再エネ電気を需要家まで届ける一貫体制を築いています。

【自然電力ならびに北海道自然電力について】https://www.tokyu-land.co.jp/ 

 自然電力は、再生可能エネルギー発電所の開発、EPC、O&M、アセットマネジメントを一貫体制で行い(累計開発実績1GW超)、グローバルテック企業をはじめとした大口需要家に対するコーポレートPPA契約に基づく再エネ電力の供給や、九州・北海道における地域事業会社を核とした自治体・農畜産業・アカデミアや産業界とのネットワーク構築ならびに脱炭素支援に強みを有しています。2024年3月には、北海道のGXを推進し北海道の未来を地域と共に創造することを目指し、「北海道に寄り添い、北海道で挑戦する」の目標を掲げ、北海道自然電力株式会社を設立しました。直近では酪農学園大学(北海道江別市)の敷地内圃場に垂直式太陽光発電設備を設置し、再エネと農業の共生可能性を探る実証実験を行うなど、社会実装に向けた取り組みを推進しています。

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会社概要

東急不動産株式会社

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URL
https://www.tokyu-land.co.jp/
業種
不動産業
本社所在地
東京都渋谷区道玄坂1-21-1 渋谷ソラスタ
電話番号
03-6455-1121
代表者名
星野 浩明
上場
未上場
資本金
575億5169万円
設立
1953年12月