AIと未来シナリオのシミュレーション技術で、自治体の政策検討を支援する取り組みを本格開始

日立独自の技術で約2万通りのシミュレーションからまちの複数の未来シナリオを生成、長崎県壱岐市では政策の方向性確認・見直しに活用

株式会社 日立製作所

概要イメージ図

 株式会社日立製作所(以下、日立)は、複雑化する社会課題に直面する自治体の政策検討を、AIと日立独自の未来シナリオのシミュレーション技術*1で支援する取り組みを、本日から本格的に開始します。

 本取り組みでは、はじめに人口や税収、環境、福祉といった自治体固有の政策検討要素(指標)と過去の施策KPIデータ、住民や職員のアンケートデータなどをもとに、指標間の因果関係をモデル化(因果連関モデル*2)します。このモデルをもとに、日立独自の未来シナリオのシミュレーション技術により約2万通りのシミュレーションを実施し、「子育て支援に力を入れた場合」、「産業振興を優先した場合」など複数の政策を組み合わせた際に、まちの未来がどのように変化するのかをAIで分析・可視化します。また、「2030年が意思決定の重要な分岐点になる」といった未来のターニングポイントやキーイベントまでを具体的に示すことができます。自治体は、このように可視化された未来のシナリオを分析・比較しながら、総合計画*3をはじめとした上位計画の方向性や具体的な施策を検討できます。

 さらに、すでに策定済み、実施中の政策の見直しにも活用可能です。一度作成した因果連関モデルは改訂しながら活用できるため、データ収集やシミュレーション実施における自治体の負荷も低減できます。

 日立は、このような一連のプロセスにおいて、自治体職員が参加するワークショップを実施し、指標の選定や因果連関モデルの構築、さらにはシミュレーション結果の解釈に伴走型で取り組みます。あわせて、自治体の計画策定やDX支援に関するコンサルティングの知見を有するパートナー企業などとも連携し、施策への落とし込みや組織内の合意形成を支援します。これにより、自治体における効果の高い政策の検討や、職員が課題をより身近に捉えて政策を推進できる環境づくりを支援し、EBPM(Evidence Based Policy Making)*4の実現やよりよいまちづくりに貢献します。

*1 シミュレーション技術を活用した事例:AIが提示する「脱炭素」の未来シナリオ 政策立案に活用へ

*2それぞれの指標がどのように影響しあうのか、指標間の因果関係を定義したもの。

*3自治体の最上位計画で、まちの将来像や施策の方向性を総合的かつ計画的に定めるもの。自治体において5年に1回程度作成される。

*4政策効果の測定に重要な関連を持つ情報や統計などのデータ(エビデンス:証拠)に基づいて、政策を企画立案し、質の高い行政サービスの提供を行うもの。


■背景

 近年、自治体は少子高齢化、財政難、環境問題など複雑化する社会課題への対応を求められています。これらの課題は相互に関連し合っているため未来のまちの姿は見通しにくく、また限られた財源の活用という条件下で、どこから何に着手すべきかといった判断がより困難になっています。

 一方で、政策の説明責任も増大しています。国がEBPMの促進を提唱する*5中、自治体は政策選定の理由を議会・住民に対してエビデンスをもって説明することが求められています。しかし、従来の手法では、複雑な因果関係を考慮した分析や説明が難しい状況でした。こうした背景から、自治体では客観的なデータを活用した将来予測や政策検討のサポートへのニーズが高まっています。

 本取り組みで用いる日立独自のシミュレーション技術は、複数のトレードオフが存在する複雑な社会課題の解決に活用可能なものです。これまでさまざまな自治体やエネルギー・製造分野をはじめとする民間団体などで20件以上の活用実績があります。

*5 内閣府Webページ:経済財政運営と改革の基本方針2025


■本取り組みの特長

(1) 約2万通りのシミュレーション結果とAI分析で未来のシナリオと分岐点を可視化、エビデンスに基づく政策検討を支援

 総合計画などの上位計画の策定では、10〜20年後のまちの姿を見据えた施策の優先順位付けが求められますが、従来の検討材料は人口推計など限られたデータにとどまり、担当者の経験・専門領域に偏る傾向にありました。

 本取り組みでは、因果連関モデルを構築し、指標間の因果関係に加え、未来への影響の強さや影響が現れるまでの時間についても、自治体が保有する実績データなどをもとに定量的に設定します。このモデルをもとに、日立独自の未来シナリオのシミュレーション技術で約2万通りのシミュレーションを実施し、その結果をAIで分類・整理することで、まちの未来と重要な分岐点を可視化したシナリオを10個程度生成します。

 自治体は、このシナリオを活用することで、まちの未来がどのように変化するかを比較検討できます。さらに、「この施策の有無で2040年の姿が大きく変わる」といったターニングポイントやキーイベントを把握できるため、統計的・論理的に導き出されたエビデンスにもとづく施策の優先順位付けや具体的な施策の計画策定が可能です。


(2) ワークショップを通じて、政策への職員のより主体的な関わりを促進

 効果の高い政策を策定するためには、自治体内の各部署が個別に対応するのではなく、関連する複数部署が連携し、横断的に検討を進めていくことが重要です。本取り組みでは、関連する部署の職員を中心に、テーマに応じて住民も参加するワークショップを実施します。

 ワークショップでは、DX施策の推進を伴走的に支援してきた日立の豊富な経験・知見を生かしながら、職員などの関係者と、自治体固有の指標の選定や因果連関モデルの構築について議論します。続いて、こうして構築したモデルから得られるシナリオをもとに、まちの未来の姿を読み解き、どの未来がより望ましいかを議論しながら基本方針を選定していきます。このように、本取り組みは政策の担い手となる職員が主体的に関わるプロセスのため、職員間の議論や合意形成を促進するとともに、課題をより身近に捉えて政策を推進できる環境づくりに貢献します。加えて、職員自らがEBPMを政策検討の現場で実践できる機会としても活用できます。


(3) 実施中の政策の方向性確認や見直しにも活用可能

 本取り組みは、策定済み・実施中の政策の方向性確認や見直しにも活用できます。例えば、策定済みの上位計画に対して本取り組みを実施することで、「想定通りの未来がくるか」「想定外の事象が生じないか」といった点を確認できます。また、定期的にシミュレーションを実施することで、「どの施策が特に効果的だったか」、「想定と異なる点はどこか」なども把握でき、政策の見直しに生かすことができます。一度作成した因果連関モデルを改訂しながら活用できるため、データ収集やシミュレーション実施における自治体の負荷も低減できます。

 先行してKPMGコンサルティング株式会社とともに本取り組みを実施した長崎県壱岐市においては、市がめざす未来像やそのために必要な政策の方向性の検討に向けた支援を行いました。その結果、現状の政策による人口減少抑制効果と、未来のまちの姿の分岐点が示されました。


■長崎県壱岐市 市長 篠原 一生氏のコメント

 本市の人口は、令和8年2月時点で約2.3万人ですが、国立社会保障・人口問題研究所の試算によれば、2050年には13,199人まで減少すると予測されています。この人口半減の危機に対し、本市では「2050年以降も人口2万人を維持する」ことを掲げ、まちづくりを推進しています。

 こうした中、令和7年3月27日に「壱岐新時代創造会議」を開催し、新たな政策構想を発表しました。掲げた政策の妥当性を検証し、めざすべき未来像について市民と共通認識を持つことが、今回の取り組みの主な目的です。

 今回の試みにより、政策による人口減少の抑制効果を確認できただけでなく、未来への要因や重要な局面といった、具体的な知見を得られたことは大きな成果です*6。これまでの手法とは異なる新しいアプローチでしたが、政策立案におけるAI活用の大きな可能性を実感する結果となりました。

*6 壱岐市Webページ:壱岐新時代対話会を開催しました!


■今後の展開

 今後日立は、壱岐市などにおける事例をふまえ、他自治体へも本取り組みを展開し、総合計画をはじめ、人口減少対策、環境政策、都市計画、産業振興、財政計画など、幅広い政策検討の場面での活用をめざします。

 あわせて、データを価値に変換するLumadaの取り組みを自治体業務へ適用し、自治体が直面する複雑な社会課題の解決やEBPM実現、よりよいまちづくりを支援していきます。


■日立 自治体分野Webページ

https://www.hitachi.co.jp/Div/jkk/jichitai/index.html  


■商標注記

記載の会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。


日立製作所について

 日立は、IT、OT(制御・運用技術)、プロダクトを活用した社会イノベーション事業(SIB)を通じて、社会インフラをデジタルで革新し続けるグローバルリーダーをめざし、環境・幸福・経済成長が調和するハーモナイズドソサエティの実現に貢献します。デジタルシステム&サービス、エナジー、モビリティ、コネクティブインダストリーズの4セクターに加え、新たな成長事業を創出する戦略SIBビジネスユニットの事業体制でグローバルに事業を展開し、Lumadaをコアとしてデータから価値を創出することで、お客さまと社会の課題を解決します。2025年度(2026年3月期)売上収益は10兆5,867億円、2026年3月末時点で連結子会社は606社、全世界で約29万人の従業員を擁しています。詳しくは、www.hitachi.com/ja-jp/をご覧ください。

お問い合わせ先  

株式会社日立製作所

公共システム営業統括本部 

カスタマ・リレーションズセンタ

[担当:森下]   

https://www.hitachi.co.jp/public-it-inq/ 

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URL
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業種
情報通信
本社所在地
東京都千代田区丸の内一丁目6番6号
電話番号
-
代表者名
德永 俊昭
上場
東証1部
資本金
-
設立
1920年02月