子育て世代男性会社員の家事・育児分担に関する意識調査
共働き家庭の30代男性の約6割が周囲より家事を分担していると自負、50代管理職の8割は男性の育休推進派だが、制度を利用した30代は2割未満
*30代男性会社員は、妻と共働き家庭で未就学児を含む子どもがいること、50代管理職は、妻と共働きで中学生以上の子どもがいることを条件に対象者を抽出。
【調査結果まとめ】
■子育て世代30代男性会社員
- 子どもの出生後に家事分担量を増やすなど、7割が協力的
- 約6割が、「同じ境遇の同世代に比べて、自分は家事を分担している」と自負
- 4割以上が、「妻が仕事にもっと比重を置くこと」に賛成
- 一方で、平日の家事分担は、自分3割:妻7割が最多。6割以上が妻の負担の方が大きいと回答
- 4割以上が、子ども出生後も「仕事上で大きな変化はなし」
- 子ども出生後最も負担に感じることは、「自分の時間の減少」(50.2%)、「妻と2人の時間の減少」(37.6%)
- 育休制度の利用率は全体の2割未満。導入されている会社員に限定しても23.5%どまり
- 転勤の打診については、4割が消極的
■子育て中の男性会社員を部下に持ち、子どものいる50代男性管理職
- 18.6%は、平日に家事を全くしないと回答。同じ共働き・子持ちでも30代とは家事参画に大きな差
- 約8割が「男性部下の育休取得」について推進したいと回答
- 9割以上の管理職が、家事・育児による、部下の「残業なし」「看護のための有休取得」「飲み会欠席」に理解を示す。一方で、女性部下と比較すると、男性部下に対して寛容度が厳しい傾向。
【調査結果への考察】
今回のアンケート調査結果により、50代の男性管理職は、子育て中の男性会社員が育児支援制度を利用することや育児・家庭の事由による休暇の取得に対して理解を示していることが分かりました。この背景として、2019年春の労働基準法改正により企業内では「働き方改革」が推進され、働く人々がより効率的に仕事に取り組み、ワークライフバランスを重視したライフスタイルへとシフトしているという働き方の変化があると考えられます。また、女性の活躍推進に伴い、従来の性別による役割分担や意識にも変化が生じ、男性が家事・育児へ積極的に参加することへの理解が広がっていることもあげられます。内閣府「男女共同参画白書」(令和元年版)によると、2018年時点では約65%が共働き世帯となり、夫婦ともに働き家計を支えることが一般的になっています。
しかし、企業内での育児支援制度の活用状況について目を向けると、「育休」や「時短」について制度が導入されているものの、利用率は低い水準にとどまっています。また、「リモートワーク」と「フレックス勤務」については、制度の導入自体が限定的であり、導入されている場合でも、社員への制度周知や利用促進への働きかけが十分とはいえない状況が今回の調査から見えてきました。今後、男性社員がより家事・育児にも積極参加できるような社内支援制度の充実化と活用意識の浸透によって、家事・育児の分担の偏りが改善されるとともに社会全体の意識が変化することで、子どもを持つ就労者のみならず家族の介護や病気の療養などさまざまな事情を抱えるすべての就労者において、ワークライフバランスの充実が進んでいくと考えられます。
<調査結果詳細>
(1-1)平日の家事負担時間:30代男性社員、自分の家事分担は30%。66%は妻の負担の方が大きい。
30代の男性会社員500名に対し、「平日の家事分担時間」について自分と妻の合計時間を100%とした際の、負担割合について質問したところ、自分が30%は担当しているという回答が最も多く、自分の方が負担は少ない(0から40%の負担)と回答した30代男性社員は66.0%でした。子どもがいる共働き家庭であっても、妻に家事の負担が偏っている現状が浮かび上がりました。一方で、妻よりも家事を負担していると回答した人は10%超いました。
(1-2)平日の家事負担時間:家事を全くしていない50代は18.6%、30代は3.6%
また、子育て中の男性会社員を部下に持つ50代の男性管理職500名にも同様の質問をした結果と比較すると、30代の方が妻との家事分担が進んでいることがわかりました。特に50代では、自分の家事時間が0%(=全て妻が行っている)と回答した人が18.6%いるのに対し、30代では3.6%にとどまり、世代によって家事分担に偏りがあることがわかりました。
*本調査では、30代会社員、50代管理職ともに共働き家庭を対象に調査を実施しています。
(2-1)子どもの出生による家事分担の変化:30代男性社員の約7割が、出生を機に家事負担を増加
30代の男性会社員500名に対し、「子どもの出生後における家事分担の変化」を聞いたところ、67.4%の人が「自分の担当量を増やした」と回答しました。なかには、「自分の分担を減らした」、「分担していたが、妻に一任した」という回答も2割ほどあるものの、子の出生後の生活変化により家事分担に協力的になったことが伺えます。
(2-2)子どもの出生による家事分担の変化:50代の18.0%は、「妻に一任のまま」で、30代の2倍以上
また、子育て中の男性会社員を部下に持つ50代の男性管理職500名にも同様に、子どもの出生による家事分担の変化について質問したところ、50代管理職では「自分の分担量を増やした」という回答が多いものの、その一方で「一貫して分担せず、妻に一任」と回答した人が18.8%と、30代8.0%とは10ポイント以上の差があり、世代によって家事分担の意識に偏りがあることがわかりました。
(3)約6割が「同じ境遇の同世代に比べて、自分は分担をしている」と自分に肯定的。4割以上が「妻が仕事にもっと比重を置いてもよい」と考えている
30代の男性会社員に対し、「妻がもっと仕事へ比重を置くこと」についてどのように思うかを質問したところ、44.2%がもっと仕事に「比重を置いても構わない」と回答しており、妻の仕事に対して一定の理解を示しているものの、過半数以上の55.8%が否定しています。また、「育児・家事の分担に対する自分の取り組み度合い」について、約6割の人が「自分は周囲よりも分担をしている方だ」と回答しました。しかし、前述の家事分担比率で妻の負荷の方が高いことを鑑みると、自己肯定感が強い可能性があることが考えられます。
(4)子どもの出生後も40%以上が仕事上で「大きな変化なし」
30代の男性会社員に対し、「育児のために生じた仕事上の変化について」質問したところ、「変わらない」が41.2%でもっとも多い回答となりました。「妻が忙しい時は早めに帰宅」(27.2%)、「全体的な残業量を減らした」(24.8%)という回答もあるものの、子育てによって「男性の仕事のスタイル」には大きな変化はない様子が伺えます。
(5)子どもの出生後の生活の変化の中で、最も負担に感じることは「自分時間の減少」(50.2%)
30代の男性会社員に対し、「子どもの出生後の生活の変化のなかでも負担に感じること」を質問したところ、「自分だけの時間が減ったこと」が50.2%で最も多く、次に「妻と2人の時間が減ったこと」(37.6%)という回答が多い結果となりました。子どもの出生により新たに生じた負担よりも、これまでの自由に過ごした時間が減少したことに対して、敏感である傾向が明らかになりました。
(6-1)男性社員の育休制度利用は、2割未満で、制度利用者はいまだ限定的
30代の男性会社員に対し、「利用した社内の育児支援制度」について質問をしたところ、育休制度については74.2%が「導入されている」と回答し、そのうちの制度の利用者は23.5%と、育休の取得はまだまだ限定的であることがわかりました。
また、時短勤務についても、会社に「導入されている」と回答した人は63.8%にのぼったものの、利用者はそのうちのわずか9.0%にとどまりました。リモートワークやフレックス勤務については「制度が導入されている」と答えた人がそれぞれ、42.8%、29.0%とまだまだ制度導入が進んでいるとはいえないことがわかりました。
(6-2)管理職は、男性部下の育休取得に対して、約8割が推進
子育て中の男性会社員を部下に持つ50代の男性管理職500名を対象に「男性の部下が育休(育児休業や育児休暇)を取得することを、積極的に推進するか」を質問したところ、76.2%と管理職が「推進する」と回答し、大多数が男性社員の育児支援に対して理解を示していることがわかりました。今回の調査では30代男性の育休取得率は低い数値でしたが、上司の目を気にして取得していないようであれば、無用の心配のようです。
(6-3)ほぼすべての管理職が、家事・育児による「残業なし」「看護の休日取得」「飲み会欠席」に理解
子育て中の会社員を部下に持つ50代の男性管理職対象に、「家事育児の理由による部下の行動に対する理解を聞いたところ、「子どもの看護のため休む」、「残業をしない」、「飲み会に来ない」については、ほとんどの管理職が理解を示していることがわかりました。その一方で、「異動を受け入れない」、「仕事・業務を選ぶ」といった仕事・業務に直接的に関わることを拒否することには寛容度が低いことがわかりました。また、男性部下より女性部下への寛容度が高い傾向となりました。
(7)30代男性社員の4割が「転勤の受け入れには、消極的」
転勤のある会社に勤める30代の男性会社員316人に対し、「会社から転勤を打診された際の受け入れ度合い」について質問したところ、「転勤には消極的で辞退したい」が40.8%で最も多く、「積極的に受け入れる」と回答した人は9.5%にとどまりました。自分の意向だけではなく、家族の判断を得たいという人は47.8%という結果になりました。
(8)約4割の30代男性が家事・育児が昇格や昇給に影響すると回答
30代の男性会社員500人に対し、「家事・育児が理由で、昇進評価に影響があると感じることはあるか」について質問したところ、「あまりないと思う」(42.8%)、「まったくないと思う」(19.0%)と、影響がないと回答した人が61.8%でした。その一方で、「とてもあると思う」(8.0%)、「ややあると思う」(30.2%)を合わせ影響がありと回答した人が38.2%と、何かしら影響があると感じている人がいることもわかりました。
【調査概要:子育て世代30代男性社員】
調査対象:日本全国の企業や団体で働く30代男性(共働き、未就学児のこどもがいる)
サンプル: 500人(30歳~39歳の男性)
調査方法:インターネット調査
実施時期:2019年11月14日~18日
【調査概要:子育て世帯の男性部下を持つ50代管理職】
調査対象:日本全国の企業や団体で働く50代男性管理(共働き、中学生以上の子どもがいる、部下に子育て世代の男性部下がいる)
サンプル: 500人(50代~59歳の男性)
調査方法:インターネット調査
実施時期:2019年11月14日~18日
【アデコ株式会社について】
アデコ株式会社は、世界60の国と地域で事業を展開する世界最大の人財サービス企業、The Adecco Groupの日本法人です。コンサルテーションを通じ、働くすべての人々のキャリア形成を支援すると同時に、人財派遣、人財紹介、アウトソーシングをはじめ、企業の多岐にわたる業務を最適化するソリューションを提供します。アデコはより働きがいを感じられる社会の実現を目指し、さらなるサービスの強化に取り組んでいます。当社に関するより詳しい情報は、www.adeccogroup.jpをご覧ください。
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