超低消費電力機器の性能の限界を打破する32bitマイコンを発表
ARM(R) Cortex(R)-M4コアと革新的な超低消費電力技術を採用したSTM32L4が、EEMBC(TM)のベンチマークテストULPBench(R)で業界最高スコアを達成
多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、超低消費電力マイクロコントローラ(マイコン)技術とARM(R) Cortex(R)-M4を組み合わせ、コンスーマ、産業、医療、メータ分野などにおいて、低消費電力化が求められる次世代機器向けに、STM32L4シリーズを発表しました。
STM32L4シリーズの最初のマイコンであるSTM32L476とSTM32L486は、DSPと浮動小数点演算ユニット(FPU)を持つARM Cortex-M4コア(80MHz)を搭載しています。このデバイスは、Flashメモリからのゼロ・ウェート実行が可能なSTのART Accelerator(TM)機能を加えたことにより、わずか100μA/MHzの消費電流で最大100 DMIPSを達成します。128KBのSRAMに加え、最大1MBのデュアルバンクFlashメモリが、高機能アプリケーションやFlash書込み中の読み出し(RWW : read-while-wright)をサポートします。
STM32L4は、消費電力と処理性能のバランスを最適化するダイナミック電圧スケーリング、FlexPowerControlを含むスマート・アーキテクチャ、および、サブモード・オプションを含む7つの電力管理モード等のSTの低消費電力技術を最大限活用しています。これらは、低消費電流(最小30nA)での、Stop / Standby / Shutdownモードを含みます。STのBatch Acquisition Mode(BAM)では、低消費電力モードにおいて、通信ペリフェラルとのデータ交換を効率的に行うことができます。
STM32L4は、超低消費電力マイコンの電力効率を比較するEEMBC(TM)のULPBench(R)テストで、123ポイントを記録しました。STのマイクロコントローラ事業部ジェネラル・マネージャであるMichel Buffaは、次の様にコメントしています。「STM32L4が記録した123ポイントというULPBenchスコアは、現時点で業界最高のスコアです。これは、設計者が消費電力を上げることなく、性能向上ならびにメモリ容量増加が可能であることを実証しています。」
低い消費電力、Cortex-M4コアによる高い性能とDSP機能、スマート・アナログ機能、幅広いデジタル・コネクティビティといったSTM32L4の特徴は、スマートなネットワーク接続型機器やIoT機器、さらには、多様な産業・医療・コンスーマ機器に最適です。
また、STM32L4 向けのリアルタイムOS(RTOS)として、日本国内の組み込み機器向けソフトウェア・ベンダーであるeForce社製のμITRONベースRTOS「μC3/Compact」が用意されています。今後、同社の省電力プラットフォーム向けRTOSであるPicco-CubeもSTM32L4に対応する予定です。
現在、STM32L4はサンプル出荷中で、2015年第2四半期に量産を開始する予定です。STM32L476(LQFP64パッケージ)の参考サンプル単価は約3.40ドルです。
技術情報
STM32L4は、低消費電力技術の組み合わせに加え、スマート・アーキテクチャやスマート・ペリフェラルを使用することで、低消費電力を保ちながら効率と性能を最大化しています。デジタル・ペリフェラルは、専用電源を使用するフルスピードのUSB OTGを含んでおり、システム電源が1.8V時でもUSB通信を維持することができます。また、外部の⊿ΣモジュレータまたはPDM(パルス密度変調)マイクロフォンを接続するための、⊿Σモジュレータ用デジタルフィルタも備えています。
アナログ・ペリフェラルには、12bit ADコンバータ(3個、5Mサンプル秒)が含まれ、わずか数十μAの消費電流によって最大電流を抑えた低速サンプリング、あるいは超低電力モードに迅速に戻すための最高速でのサンプリングを可能にするスマート・オペレーション機能を備えています。このADコンバータは、ハードウェアのオーバーサンプリングを使用し、最大16bitの分解能を提供します。また、電圧リファレンス・バッファは、ADコンバータやDAコンバータ、あるいは外部コンポーネントへのリファレンス電圧をVREF+ピンを介して供給します。これに加え、サンプル・ホールド機能を備えた12bit DAコンバータ(2個)は、マイコンの全電流が数百nAまで低下するディープパワーダウンモードでの動作も可能です。その他のアナログ・ペリフェラルとして、使用電流が僅か300nAの超低電力コンパレータ(2個)、外部・内部のフィードバックとプログラマブル・ゲイン・アンプ(PGA)機能を備えたオペアンプ(2個)があります。
STM32L4のスマート・アーキテクチャは、コア、DMAコントローラ、メモリ、ペリフェラル間での並列転送を可能にすることで性能と効率をさらに高めています。また、スマート・アーキテクチャの特徴であるFlexPowerControlは、低消費電力モード時のI/O端子の入出力レベルやSRAMのスタンバイ状態の維持、そして特定のペリフェラルやI/Oへの電力供給の個別管理により、節電設計を支援します。
STM32L486は、ハードウェア暗号化コプロセッサ(AES 256bit)を搭載しています。STM32L4が持つ独立したバッテリ・バックアップ・ドメインや耐タンパ入力といったその他の機能と組み合わせることで、スマートメータなどのセキュリティ要求の高いアプリケーションに対し、強力なプラットフォームを提供します。
さらに、密閉された環境や高温環境など、放熱が課題となるアプリケーションでは、温度定格が最高125℃の高温グレード製品を用意しています。
STマイクロエレクトロニクスについて
STは、「センス & パワー、オートモーティブ製品」と「エンベデッド・プロセッシング ソリューション」の多種多様なアプリケーションに半導体を提供する世界的な総合半導体メーカーです。エネルギー管理・省電力からデータ・セキュリティ、医療・ヘルスケアからスマート・コンスーマ機器まで、そして、家庭、自動車、オフィスおよび仕事や遊びの中など、人々の暮らしのあらゆるシーンにおいてSTの技術が活躍しています。STは、よりスマートな生活に向けた技術革新を通し、「life.augmented」の実現に取り組んでいます。2014年の売上は74.0億ドルでした。さらに詳しい情報はSTのウェブサイト( http://www.st-japan.co.jp )をご覧ください。
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