JOGMECが実施している共同研究の発表が石油技術協会令和3年度春季講演会(開発・生産部門)の学生発表・優秀発表賞を受賞
原油と水系におけるエマルジョンの様子
■ 講演タイトル
原油エマルジョンの安定性に影響を与える要因に関する研究
■ 講演者・共著者

講演者 | サディア アフリン(北海道大学) |
共著者 | ハオ シンチゥアン・エラクネス ヨガラジャ(北海道大学) 北村 龍太・下河原 麻衣・加藤 是威(JOGMEC) |
■ 受賞講演の概要
原油を生産する際、原油と地層水が混合・撹拌されることにより、坑井内やセパレータ(注1)などの様々な場所においてエマルジョン(注2)が形成されます。エマルジョンは原油の流動性を低下させたり油水分離効率を悪化させたりしてしまうことから生産障害を招く一因とされています。エマルジョンに起因する生産障害を事前に予防するためには、エマルジョンのメカニズムについて十分に解明されていないことが多くあります。
そこで、本共同研究では、原油と塩水を用いエマルジョンを作製してゼータ電位測定などの実験を行い、エマルジョンの安定性に影響を与える因子を抽出し、各因子とエマルジョンの安定についての考察を行いました。エマルジョン形成に影響を与える因子として原油中に含まれる重質成分や酸化度、塩水のpHや含有成分とその濃度が挙げられ、これらの因子とエマルジョン界面を安定化させる静電力についての関係性を評価しました。
今後、本研究を通して取得したデータはエマルジョンの形成を事前に予測する数値モデルに組み込む予定で、数値モデルを開発することによってエマルジョンによる生産障害の予防に繋がり原油の安定生産に寄与することが期待されます。
(注1)地下から生産された原油またはガスと水の間の比重差を利用し、各成分に分離するための設備。
(注2)水または原油が微小な液滴となって、他相の中に分散して存在する状態。
塩水のpHによるエマルジョンの違い
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http://www.jogmec.go.jp/news/release/news_08_000114.html?mid=pr210726
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