「Idemitsu Art Award 2025」グランプリに遠藤良氏の『結婚』を選出
受賞:8作品・入選:46作品、計54点を決定
出光興産株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:酒井則明、以下「当社」)は、公募制の美術賞「Idemitsu Art Award 2025」のグランプリに、遠藤良氏の『結婚』を選出、グランプリを含む8点の受賞作品と46点の入選作品を決定しました。受賞・入選作品は、12月10日(水)から国立新美術館で開催する「Idemitsu Art Award展 2025」で展示します。

「Idemitsu Art Award」は、40歳までの若手作家を対象とする公募制の美術賞です。1956年に「シェル美術賞」として創設し、2025年で54回目の開催となります。本年は734名の作家から応募があり、応募作品数は933点でした。
審査会では、大浦周氏(埼玉県立近代美術館主任学芸員)、鈴木俊晴氏(豊田市美術館学芸員)、竹崎瑞季氏(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館キュレーター)、中村史子氏(大阪中之島美術館主任学芸員)、吉田晋之介氏(作家、シェル美術賞2009準グランプリ受賞)の5名が、多角的な視点から厳正な審査を行いました。グランプリ受賞者の遠藤良氏には、賞金300万円が贈られます。
当社は、心の豊かさを育む「文化」を、企業市民活動の軸の一つに定めています。これからも「Idemitsu Art Award」を通じて、次代を担う人たちの創造と挑戦、そして成長のエネルギーを支えていきます。
■受賞作品

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賞名 |
氏名 |
作品名 |
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グランプリ |
遠藤良 |
結婚 |
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大浦周審査員賞 |
加藤公佑 |
裂け目:断層 |
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鈴木俊晴審査員賞 |
村瀬ひより |
Give you my vanilla ice cream |
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竹崎瑞季審査員賞 |
吉浦眞琴 |
幻の行方 |
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中村史子審査員賞 |
犬飼沙絵 |
窓ごしに世界を見るにも手は流しにつっこんだまま 家事002(※作品名の一部は、アン・オークレー著『主婦の誕生』の中で引用されていた言葉からの抜粋) |
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吉田晋之介審査員賞 |
大山田渓 |
在る。 |
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学生特別賞 |
坂本碧空 |
TSGALBHPQK |
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学生特別賞 |
樋口望子 |
チワワ |
■「Idemitsu Art Award展 2025」概要
本年の受賞・入選作品を展示する「Idemitsu Art Award展 2025」を、12月10日(水)から国立新美術館で開催します。
また、同会場において、過去の受賞・入選作家の中から今後より一層の活躍が期待される作家を応援する企画「Idemitsu Art Award アーティスト・セレクション 2025」を開催し、「Idemitsu Art Award 2024」の審査員により選出された作家3名の新作・近作を展示します。
展覧会名 : Idemitsu Art Award展 2025
会 期 : 12月10日(水)~12月22日(月) ※16日(火)休館
時 間 : 10時00分~18時00分(入場締切17時30分)
※最終日12月22日(月)は、10時00分~16時00分(入場締切15時30分)
会 場 : 国立新美術館1階展示室1B(東京都港区六本木7-22-2)
TEL :03-6812-9921 ※会期中のみ
入 場 料 : 一般400円
※学生、70歳以上の方、障がい者手帳をお持ちの方および付添者1名まで無料。
展覧内容 : 「Idemitsu Art Award 2025」受賞・入選作品 計54点
(グランプリ、審査員賞、学生特別賞は参考資料の通り)
https://www.idemitsu.com/jp/fun/art/2025/winners.html
「Idemitsu Art Award アーティスト・セレクション2025」
https://www.idemitsu.com/jp/fun/art/2025/ias.html
【参考資料】
「Idemitsu Art Award 2025」受賞作家8名の作品情報・コメントを紹介します。
■グランプリ 遠藤良

【作 家 名】遠藤良(Ryo Endo)
【作 品 名】結婚
【製 作 年】2025
【サ イ ズ】116.0 × 116.0 cm
【技 法】アクリル絵具、色鉛筆、水、キャンバス
<プロフィール>
1997年7月 静岡県生まれ、東京都在住
<受賞の言葉>
嬉しいです。受賞の連絡を受けたとき、母と妻の顔が浮かびました。そして、活動をサポートしてくれた親友、僕の絵を気にかけてくれた方々や地元の絵画教室の先生。感謝しかありません。
<受賞作品について>
正直に言うと分かりません、作品一つ一つに明確に伝えたいことがあるというよりは、僕の描くもの全てに一貫したメッセージがあるからです。タイトルに「結婚」とありますが、ちょうど今年(2025)の6月に結婚をしました。作品が完成したあとにタイトルを考えましたが、初めはHEAVENでした。ただ、なんとなく地に足がついてないな、フワッとしてしまうなと思ったときに、すんなりと「結婚」という言葉が降りてきました。一緒に生活を共にする人がいるということ、一人では起きえなかったことが山ほどあって、喜びもあれば困難もあります。夫婦の中で「死ぬまで」って言葉がいいのかわからないけど、絵に関していえば、死ぬまで絵を描くって言えるんだから、それくらいの覚悟を持ちなさいよみたいな、僕自身に対するメッセージなのかな。髑髏は僕だったのかもしれないです。
<今後の目標>
僕は技術的にも学問的にもまだまだ足りないことばかりです。だからもっと上手になりたいです。色んなことを学んでいきたいです。そのためにはもっともっと絵を描かないといけませんね。
ギャラリーでの展示はもちろん、いずれは空間を意識した展示もしていきたいです。
他には作品のアーカイブ管理や資料作りも行う必要があると考えています。
■大浦周審査員賞 加藤公佑

【作 家 名】加藤公佑(Kosuke Kato)
【作 品 名】裂け目:断層
【製 作 年】2025
【サ イ ズ】130.3 × 162.0 cm
【技 法】アクリル、綿布、木製パネル
<プロフィール>
1991年4月 北海道生まれ、神奈川県在住
2010年3月 北海道札幌西陵高等学校 卒業
<受賞の言葉>
この度は光栄な賞をいただき、心より感謝申し上げます。
地道に制作活動を続けてまいりましたが、今回の受賞は今後の活動のさらなる励みになります。今後とも末長く、絵と向き合っていきたいと思います。
<受賞作品について>
私が繰り返し描いてきた城ヶ島をモチーフにした作品です。「裂け目」とは、単なる物理的境界ではなく、世界と自我のあいだを開示する意味を込めました。
城ヶ島の剥き出しになった地層や歪んだ木々と対峙する時の、世界と自我が一体となって現出するような感覚を映し出せたらと思い制作しました。
<今後の目標>
自身の主題に即した絵画表現の追求を第一として、発表の場を国内外と広げていき、多くの方に作品を知っていただけたらと思っています。
■鈴木俊晴審査員賞 村瀬ひより

【作 家 名】村瀬ひより(Hiyori Murase)
【作 品 名】Give you my vanilla ice cream
【製 作 年】2025
【サ イ ズ】162.0 × 130.3 cm
【技 法】オイルパステル、板
<プロフィール>
2000年4月 愛知県在住
2024年3月 名古屋芸術⼤学芸術学部芸術学科美術領域洋画コース 卒業
2024年4月 愛知県⽴芸術⼤学⼤学院美術研究科美術専攻油画・版画領域 在学中
<受賞の言葉>
この度は素敵な賞をいただき、心より感謝申し上げます。今後とも、日々の制作活動に真摯に向き合い、より良い作品をつくっていきたいです。
<受賞作品について>
言葉の自由とは、様々な制約の中で選びながら表現することだと考えています。しかし、選び続けるうちに自分の本当の気持ちがどこかへ薄れてしまうような感覚にもなることもあります。他者が求める理想と、自分が感じる理想の間で、どのようにバランスをとって表現していけるのか。その曖昧な言葉の自由のあり方を、この作品で探りながら制作しました。
<今後の目標>
自分自身にとっても、鑑賞者にとっても観て終わるだけでなく、考え続けられるような、心に残る作品を今後も目指してつくっていきたいです。また、作品を通して周囲の人や社会との関係を、見つめ直すきっかけを提示できる作家になりたいです。
■竹崎瑞季審査員賞 吉浦眞琴

【作 家 名】吉浦眞琴(Makoto Yoshiura)
【作 品 名】幻の行方
【製 作 年】2025
【サ イ ズ】150.0 × 90.0 cm
【技 法】ドライポイント、油性インク、ワトソン紙
<プロフィール>
1994年6月 京都府在住
2019年3月 京都市⽴芸術⼤学⼤学院美術研究科絵画専攻版画 修了
<受賞の言葉>
このたびは、このような栄誉ある賞をいただき、誠にありがとうございます。いただいた評価を励みに、今後も精進を重ねてまいります。
<受賞作品について>
銅版画のドライポイントで刻まれる線は、かすかな頼りなさを抱えながらも、確かに引っかいた記憶の痕跡のように残ります。さらに今回は、一度刷った版を洗わずにもう一度刷る「ゴースト刷り」を用いました。そこに浮かぶのは、加速していく時間の中で、かろうじて手元に残ったきらめきのようなものです。日々は頭の引き出しの奥に押し込まれ、二度と開けることはないかもしれない。それでも、どこかに漂い続ける。版でもなく、本刷りでもなく、ただ薄らと息づく残像。それがゴーストです。
<今後の目標>
国内外のアーティスト・イン・レジデンスに参加していきたいと思っています。
■中村史子審査員賞 犬飼沙絵

【作 家 名】犬飼沙絵(Sae INUKAI)
【作 品 名】窓ごしに世界を見るにも手は流しにつっこんだまま 家事002(※作品名の一部は、アン・オークレー著『主婦の誕生』の中で引用されていた言葉からの抜粋)
【製 作 年】2025
【サ イ ズ】103.0 × 145.6 cm
【技 法】写真、衣類、Adobe Photoshopを用いた加工
<プロフィール>
1985年6月 愛知県生まれ、奈良県在住
2010年6月 Willem de Kooning Academy ファインアート学科学⼠課程 ⾸席卒業
2024年4月 国⽴奈良⼥⼦⼤学 ⽣活環境学部 聴講⽣
<受賞の言葉>
この度は栄誉ある賞をいただき、誠にありがとうございます。審査員の中村史子氏、作品を選んでくださり心より感謝申し上げます。
受賞は、長く漂流していたところ見つけてもらえたような喜びでした。同時に、こうした賞が国民文化の基準を形づくる現実に自分も関わっている事を強く意識しました。
その複雑さごと抱えつつ、作品を通して応えられることが、私にとって喜びであり、生きがいです。ジェンダー、フェミニズムをご教示くださった方々、支えてくれている人々、子ども、パートナーに深く感謝しています。
<受賞作品について>
本作は三部作のひとつで、他の二作には写っていたモチーフが消されています。写真を撮ることでその存在を証明し、PCで簡単に不在へと戻すことができます。この制作プロセス自体が、日々脱ぎ散らかされた衣類を誰にも気づかれず片付ける営みと重なり、家事にまつわる状況に対し表現として昇華させました。この一作だけが選ばれたことに、日常の生々しさが現代芸術で、どのように扱われているのかという価値観を映し出しているように感じます。
<今後の目標>
今後は、約15年間否応なく巻き込まれ、そして今も続く子育ての日々を、創作活動の「空白」とせず、思考と実践の基盤として捉え直します。母として担わざるを得なかった営みに潜む創造性を作品に展開し、〈家事・主婦〉表現の新たな体系を探求します。また、ケアを担いながら作家を続ける方法を制度と実践の両面から模索し、そのひとつのモデルを示すことを目指します。この理不尽なテーマに取り組む過程で、自らを解放し、自由に制作できる状態に辿り着きたいと考えています。
■吉田晋之介審査員賞 大山田渓

【作 家 名】大山田渓(K.OOYAMADA)
【作 品 名】在る。
【製 作 年】2024
【サ イ ズ】31.8 × 41.0 cm
【技 法】オイルスティック(セヌリエ)、古材半紙、膠、えん
ぴつ、キャンバス
<プロフィール>
1990年5月 大阪府生まれ、兵庫県在住
2013年3月 九州⼤学理学部 ⽣物学科 卒業
2015年3月 九州⼤学⼤学院システム⽣命科学府 博⼠前期課程 修了 修⼠(理学)
<受賞の言葉>
驚きと安堵とがある。
同時に、この作品で受賞することを誇らしく思う。なぜなら、この作品は、いままでの生きてきたことを繋げてやろう、つむごうと、取り組んできた意図が結実したものだからだ。
自身は、図書館と美術館を主に学び場としてやってきた。この公的施設や本屋、ほか、障碍制度。環境を築いてきた先人方といま生きる人々。わたしのまわりの人々。この場を借りて、深く感謝を表す。
ひきつづき自分にできる方法で、恩恵を還元していきたい。
______
今を生きる、過去を生きた、たくさんの人ひとの気配を込めた作品が、ここにまた新たな人と出会っていく機会がうれしい。本当にありがとうございました。
<受賞作品について>
たくさんの事柄が堆積している。(わたしのここ5年以上、もっと昔の、ひとびととの出逢いや時間がその実裡には基づいている。
たとえば画材。また、それらを選ぶことになった理由、それを持っていた理由、その理由のそのまた理由、と、わたしの体験や出会いをどこまでも紐づいて手繰ることができる。)
また、材料にも同様で、各々に畳みこまれている。ほか、古材と最先端。土地と手渡してきた人びとの気配。いまそれを手にできるよろこび。平和のかけら。その事実と作品の結実を寿ぐ。
<今後の目標>
これからも製作をつづけること。また、近くに生える葉っぱや、なにかのかたちを面白がるように、自身や自身からまろびでる作品たちについてもおもしろがっていきたい。
興味深く関心をもち、愛しむ眼差しを細部や身辺にこらして生存していきたい。願わくば、もっとこれらの作品に連れられて、旅をしたいです。
■学生特別賞 坂本碧空

【作 家 名】坂本碧空(Sora Sakamoto)
【作 品 名】TSGALBHPQK
【製 作 年】2025
【サ イ ズ】162.0 × 162.0 cm
【技 法】油彩、キャンバス
<プロフィール>
2004年11月 大分県生まれ、東京都在住
2025年4月 東京造形⼤学造形学部美術学科絵画専攻領域 在学中
<受賞の言葉>
作家の登竜門と言われるIdemitsu Art Awardで学生特別賞を受賞したことを嬉しく思います。
<受賞作品について>
暴力事件という個人的な体験を荒々しいテクスチャで再構成する試みは、現実の出来事を視覚的記号へと変換する行為である。
そのイメージは日常を超越し、暴力が秘め事として抱えるタブー性をあらわにする。
暴力は私自身を規定する不可視の暗号として、画面の奥底に沈殿する。
<今後の目標>
今後は作家として活動を続けていきたいと考えています。
■学生特別賞 樋口望子

【作 家 名】樋口望子(Moko Higuchi)
【作 品 名】チワワ
【製 作 年】2025
【サ イ ズ】162.0 × 120.0 cm
【技 法】油彩、アクリル、水彩、ペン、布
<プロフィール>
2003年9月 東京都在住
2025年9月 武蔵野美術⼤学造形学部油絵学科油絵専攻 在学中
<受賞の言葉>
この度は栄誉ある賞を頂き誠に嬉しく思います。生活面を支えてくれた家族、工具を貸してくれたり物を運んでくれたり、物理的なサポートをしてくれた友人、精神的な面で支えになってくれた恋人に感謝を伝えたいです。自分の中枢の部分と直につながっている作品というものが評価されたことは嬉しい反面、自分の想像の及ばない場所にまで作品が広がることがまだよくわからないです。私の作品がなにか少しでも大きな嫌なものをずらす手立てになればいいなと思います。
<受賞作品について>
この作品は ストライプの布をパネルに張った時、布の薄さからパネルの木目が透けて、それを眺めていると模様の前後がわからなくなる心地悪さから描き始めました。布だけだと気取っただまし絵みたいで少し気に入らなかったので 情けない線を上から描きました。
<今後の目標>
もっと知らないといけないことが多すぎるので、勉強をしたいです。ものをつくる人間としてそこは責任だしケジメだと思っています。今社会で起こっていることや、過去のことを知らずにものをつくって公衆の面前に出すことは少し危険だと思います。あと、動物や植物について詳しくなりたいと思っています。
以上
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