人口減少社会における新たな都市像を探る共同研究プロジェク「Post Growth City Lab」第二弾フィールドリサーチ報告書(熊本エリア)を公開
~「地域アセットの戦略的活用」「圏域=ブロックという捉え方の更新」ブロック拠点・熊本にみる、外部接続と域内循環を両立する地域経済の構造を検証~
日鉄興和不動産株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:三輪 正浩)が運営する総合研究所「Future Style総研」と株式会社Zebras and Company(ゼブラ アンド カンパニー、本社:東京都港区、代表取締役:阿座上 陽平、田淵 良敬)が共同で推進する、人口減少時代の持続可能な都市・地域のあり方を探究する研究プロジェクト「Post Growth City Lab」(以下、PGCL) は、2026年1月に熊本県で実施したフィールドリサーチの結果をまとめた報告書『第二弾フィールドリサーチ報告書(熊本エリア)「ブロックはいかに価値を生むか ― 圏域という捉え方と、地域アセットの戦略的活用のヒント」』 を本日公開しました。
また、8月6日(木)18:00から、本報告書に関するオンライン報告会を開催いたします

報告書全文(PDF)URL: https://futurestylesoken.jp/pgcl/wp/wp-content/uploads/2026/07/c2b14e6960a1b4386eeee19b91059871.pdf
本調査では、阿蘇の自然が育んだ豊富な地下水を共通基盤として、半導体(TSMC)をはじめとする産業集積を広域で支える熊本ブロックの都市構造を、2つの構造原理(Key Learnings)として抽出しました。地域固有の資本が外部環境の変化と重なることで大きな価値を帯びる一方、その価値をいかに地域の持続可能性へと転換していくかが問われることを明らかにしました。
今後も、本知見をもとに他地域への展開可能性および不動産・事業開発における新たな投資機会の検討を進めます。
■PGCL(Post Growth City Lab)について
PGCLは、人口減少、気候変動、世界情勢や経済動向の急激な変化を背景に、「これからの都市や街はどうあるべきか」「不動産業は暮らしの未来とどう関わるのか」という問いに向き合うために立ち上げられた研究プロジェクトです。
地域の未来を切り拓く事業を展開する株式会社NEWLOCALと株式会社リ・パブリックを共創パートナーに迎え、生成AIを駆使した定量的なマクロリサーチと、現場でしか浮かび上がらない事象を捉える定性的なフィールドリサーチを掛け合わせ、「課題」起点と「資源・機会」起点の両面から都市システムへの介入機会を探ります。調査期間は2025年5月から2026年11月までを予定しており、合計5地域でのフィールドリサーチを通じて、他都市・他地域へも展開可能な指標とモデルへの昇華を目指します。
PGCLは、地域を 「ブロック拠点(空港・新幹線駅などが立地する政治・経済の中心)」「ハブ拠点(住宅・文化・産業が集まる中核)」「小さな拠点(農地・山間地・海岸部など一次産業を支える地域)」 の3層構造として捉え、これに「経済」「文化や資源」「生活インフラ」「暮らし方」の4要素を掛け合わせる独自の分析フレームを採用しています。
■熊本を第二弾フィールドに選定した理由
第一弾の別府調査では、PGCLの中核仮説のうち十分に検証しきれなかった以下3つの観点を補完するため、これらを横断的に検証できる地として、熊本エリアを選定しました。
1. 明確なブロック‒ハブ拠点間の関係性を有する都市
熊本市を中心とする24市町村が参画する「熊本連携中枢都市圏構想」が推進されており、広域行政・高度医療・基幹大学・大規模商業集積などの都市機能を有している。これにより、ブロック拠点と周辺ハブ拠点の接続と機能分担を検証できる。
2. トップダウン型産業構造が都市形成に大きく関与する都市
「くまもと半導体産業推進ビジョン」と台湾積体電路製造(TSMC)誘致に伴う設備投資・公共投資により、県の令和8年度名目域内総生産(GRP)は前年度比2.5%増の7兆1,231億円と過去最高を更新する見込み。行政主導の産業再編が地域に与える影響を検討できる。
3. 大規模基盤インフラ(水・エネルギー・交通など)を内包する都市
豊かな水資源が農畜産業・半導体産業を支え、九州の陸路の要衝として交通インフラも整備。大型インフラと3層構造の関係を調査するのに適している。
■熊本フィールドリサーチ実施概要

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項目 |
内容 |
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実施日 |
2026年1月20日(火)~ 22日(木) |
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主な訪問先 |
熊本市現代美術館(CAMK)/株式会社みらいコンシェルジュ/一般社団法人フミダス/熊本国際空港株式会社/熊本市 経済観光局 産業部 起業・新産業支援課/江津湖 ほか |
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主催 |
日鉄興和不動産株式会社Future Style総研、株式会社Zebras and Company |
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共創パートナー |
株式会社NEWLOCAL、株式会社リ・パブリック |
■熊本で得られた2つのKey Learnings
調査を通じて浮かび上がったのは、地域がもともと持っている資本を、外の世界の変化の中で生かし、その価値を圏域(ブロック)の内側へ循環させていく構造です。これは次の2つの構造原理から成り立っています。
Key Learning 1|地域アセットの戦略的活用 ― 眠っていた地域の資本が、外の変化で「戦略的な価値」に変わる
地域がもともと持っている資本(自然・産業・文化・人のつながり)は、外の世界の変化と重なったときに、地域を超えた大きな価値を帯びることがあります。熊本の地下水や産業の蓄積は、もとは農業や地場産業を支える身近な資源でしたが、台湾をめぐる地政学リスク、経済安全保障政策の強化、AIによる半導体需要の急拡大が同時に重なったことで、国家レベルの「戦略的な資本(戦略的アセット)」へと一変しました。TSMCの熊本進出はその象徴です。ただし、価値が外の要因に支えられているほど外部要因に依存することによる不安定さも抱えるため、生み出された富を文化・産業・インフラへ再投資し、短期的な成長を地域が長く変化に耐える力へと転換していけるかが問われます。

Key Learning 2|「ブロック」という圏域の捉え方の更新 ― 地域は1つの都市ではなく、共通の資本でつながる“圏域”で捉える
PGCLは、地域を単独の市町村ではなく、生活や経済の実態でつながる広めのまとまり「ブロック(圏域)」で捉えます。今回、阿蘇カルデラから熊本平野に至る一帯が、熊本市やTSMCが進出した菊陽町を中核に1つのブロックとして立ち現れ、その3層(政治・経済の中心=ブロック拠点/中核=ハブ拠点/一次産業を支える小さな拠点)を貫き、まとめていたのが「水」でした。水は地域全体を横断する“共通の資本”として働き、それを守る誇りと、枯渇への危機感が、産・学・金をまたぐ協働(熊本ウォーターポジティブ・アクション)を生んでいます。ここから、ブロックは拠点同士の直接のつながりだけでなく、共通の資本や共通の課題を「のりしろ」として結びつくものであり、その自立には内側で回す力(域内循環)と外とつながる力(外部接続)の両立が要になる、という捉え方の更新が導かれました。

これら2つの構造原理を重ね合わせると、外部環境の変化を機会として取り込みながら、その価値を圏域の内側へ循環させていく、ブロック拠点・熊本の持続可能性の条件が見えてきます。
■今後の展開
第三弾以降のフィールドリサーチでは、都道府県境をまたぐ生活・経済の実態からブロックの境界をどう捉えるか、また産業集積が域内でどのように循環するかを、引き続き複数地域で検証していきます。これらを通じて、不動産・事業開発における具体的な投資機会の検証と、他都市・他地域へ展開可能な指標・モデルの開発を進めます。
■レポート報告会の実施について
本レポートの背景や調査で得られた知見についてご紹介するオンライン報告会を実施いたします。
日時 :2026年8月6日(木) 18:00~19:00
発表者:
日鉄興和不動産 Future Style総研 佐藤有希、
Zebras and Company 阿座上陽平、
Re;public 増井尊久

■主催者によるコメント
日鉄興和不動産 Future Style総研 佐藤有希
熊本でのフィールドリサーチを通じて強く感じたのは、地下水や産業の蓄積といった地域固有の資本が、外部環境の変化と重なり合うことで一気に「戦略的な価値」を帯びていくダイナミズムでした。同時に、その価値を短期的な成長で終わらせず、地域へ再投資し、循環させ続けられるかどうかが、持続可能性の分かれ目になると実感しています。人口減少という不可逆な潮流の中、不動産・都市開発に求められる役割は、ハコを建てることから、地域の資本が循環し続ける仕組みそのものを設計することへと拡張していくはずです。本プロジェクトを通じて、地域固有の資本を生かした価値循環の仕組みと、その事業化の可能性を引き続き探究していきたいと考えています。

Zebras and Company 代表取締役 阿座上陽平
今回の熊本では、単一の都市や企業ではなく「ブロック」という圏域の単位で地域を捉え直すことの意味が、現地の対話を通じて立ち上がってきました。水という共通資本が3層の拠点を貫き、地域のインフラ企業が都市づくりの主体として動いている。域内で価値を循環させる力と、外部と接続する力の両立こそが、これからの地域経済の鍵だと考えています。5地域を予定するフィールドリサーチはこれで2地域目。各地域固有の持続可能なモデルと、それを支える事業・投資の余地を、プロジェクトメンバーと共に具体的に探っていきます。

■報告書の入手方法
報告書全文(PDF)は、下記URLよりダウンロードいただけます。
https://futurestylesoken.jp/pgcl/wp/wp-content/uploads/2026/07/c2b14e6960a1b4386eeee19b91059871.pdf
■プロジェクト参画企業について
Future Style総研
設立:2025年4月1日
URL: https://futurestylesoken.jp/
活動内容: Future Style総研は未来から発想するための 研究所です。暮らしや働き方などのさまざまなシーンを未来思考で見つめ、研究し、人生を豊かにする「新しい価値」を生み出すことを目的としています。
運営:日鉄興和不動産株式会社

株式会社Zebras and Company(ゼブラ アンド カンパニー)
設 立:令和3年3月12日
URL:https://www.zebrasand.co.jp
活動内容:「ゼブラ企業」という概念の認知拡大のためのムーブメント・コミュニティづくり、および、社会実装のための投資や経営支援の実行
代表取締役:阿座上 陽平、田淵 良敬/社外取締役:小林 味愛/監査役:三尾 徹
株式会社リ・パブリック
設 立:2013年04月
所在地:東京都文京区湯島 2-26-5 藤井ビル 1F
事業内容:イノベーションエコシステムの研究・設計/文化・資源リサーチなど
代表者:共同代表 田村 大
株式会社NEWLOCAL
設 立:2022年7月
URL:https://www.newlocal.co.jp/
所在地:東京都中央区日本橋小舟町14-7
事業概要:建築、不動産、エリア開発の企画・開発・運営およびコンサルティング/まちづくり・地域活性化のコンサルティング/地域商社の設立・経営・運営
代表者:代表取締役 石田 遼
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