当社が開発する宇宙用CIGS太陽電池が搭載された千葉工大の超小型衛星「BOTAN」が初期ミッションを達成
出光興産株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:酒井則明、以下「当社」)が開発する宇宙用CIGS※太陽電池が搭載された超小型衛星「BOTAN」が、2025年10月10日(日本時間)に国際宇宙ステーション(ISS)から放出され、予定されていた初期ミッションを達成しました。初期ミッションの一つとして、当社が開発する宇宙用CIGS太陽電池の宇宙実証が行われ、宇宙空間において「BOTAN」へ電力の供給ができていることが確認されました。「BOTAN」は1辺10cmの立方体サイズ・約1kgの「キューブサット」と呼ばれる超小型衛星で、千葉工業大学(所在地:千葉県習志野市、理事長:瀬戸熊修、以下「千葉工大」)の学生が「高度技術者育成プログラム」(宇宙産業の基盤を支える高度技術者の育成プログラム)の一環として開発したものです。
※CIGS: Cu(銅)、In(インジウム)、Ga(ガリウム)、Se(セレン)の頭文字からなる化合物半導体。

従来の大型衛星と比較し低コストで開発と打ち上げが可能なキューブサットは、大学や企業などによる宇宙開発参入の契機の一つとなっています。また、大規模かつ広範な通信や地球観測を可能にするコンステレーション(複数の人工衛星の連携)の手段としても大きく期待されています。
「BOTAN」は2023年4月に千葉工大の学部2年生(当時)が開発に着手したキューブサットです。本年9月15日にアメリカ・スペースX社ファルコン9ロケットで打ち上げられ、シグナス補給船にてISSに輸送されました。10月10日にISSから放出された後、地上と衛星間の通信が確立されました。その後、衛星基本機能の宇宙空間での動作確認を行い、計画していた初期ミッションを達成しました。
世界の宇宙産業が拡大する中、日本でも旧来の宇宙企業に留まらず、多くのベンチャー企業が宇宙ビジネスのアイデアを提案し活動を開始しています。新たなビジネスアイデアを実現するために不可欠な技術者が不足しているという課題認識のもと、千葉工大では確実に実現できる衛星づくりを可能とする技術者を育成するために、2021年4月より「高度技術者育成プログラム」を行っています。「BOTAN」は本プログラムのもと開発された超小型衛星の4機目で、当社が開発する宇宙用CIGS太陽電池は非常に高い放射線耐性を持つ点が評価され、搭載に至りました。
当社は本実証を通し、宇宙用CIGS太陽電池セルの宇宙空間における特性の確認と発電の安定性の検証を行います。また、この検証結果を踏まえながら、宇宙用CIGS太陽電池の市場参入に向けた開発を加速し、持続可能な宇宙開発への貢献を目指します。
【参考】
1.千葉工業大学 概要
千葉工業大学は、1942年に設立された最も古い私立工業大学です。創立以来「世界文化に技術で貢献する」を建学の精神とし、社会や産業の発展を担う人材の育成に力を注いできました。現在では、5学部17学科と5研究科15専攻で構成され、次代を切り拓く研究と教育を推進しています。2025年4月からは、成長産業である宇宙分野・半導体分野のスペシャリストを養成する「宇宙・半導体工学科」を新設しました。また、ロボット・AI・宇宙科学などの先端研究を通じて、国内外の産業界や研究機関との連携を深めており、産学官の協働による社会課題解決にも積極的に取り組んでいます。
2.当社の宇宙用CIGS太陽電池の主な特長
URL:https://www.idemitsu.com/jp/company/rd/cigs/index.html
(1)極めて高い放射線耐性
宇宙用途で一般的に用いられているシリコン(Si)太陽電池やガリウムヒ素(GaAs)太陽電池は、宇宙空間の放射線照射によって出力が低下していきます。一方、当社の宇宙用CIGS太陽電池は放射線によるダメージを自己修復できるため、出力を長期間維持することが可能です。
(2)薄膜・軽量性
当社のCIGS太陽電池のデバイス層は、わずか数マイクロメートルの薄さです。さらに、上記のような高い放射線耐性を有していることにより、放射線から保護するためのカバーガラスを持たない薄膜・軽量な構造を実現することも可能です。

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