出光興産と米国Source Energy Companyが宇宙市場向け次世代ソーラーアレイ製品の共同開発に向けた戦略的協業を開始

出光興産株式会社

出光興産株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:酒井則明、以下「出光興産」)と、宇宙用ソーラーアレイ※1などの製造・開発を手掛ける米国スタートアップ企業Source Energy Company(本社:米国コロラド州ロングモント、以下「Source社」)は、宇宙市場向け次世代ソーラーアレイ製品の共同開発に関する覚書を締結し、戦略的協業を開始しました。出光興産の宇宙用CIGS※2太陽電池技術と、Source社の先進的な宇宙用ソーラーアレイ技術を融合し、衛星などの宇宙機を対象とした革新的な宇宙用電源ソリューションの開発を進めます。

※1 ソーラーアレイ:複数のソーラーパネルを組み合わせた、展開機構(打ち上げ時に収納された構造物が宇宙空間で所定の形状に広がるための機能)を備えたシステム。太陽電池全体の構成単位の中で最大の単位。

※2 CIGS:Cu(銅)、In(インジウム)、Ga(ガリウム)、Se(セレン)の頭文字からなる化合物半導体。

出光興産が開発する宇宙用CIGS太陽電池のサンプル

本協業では、出光興産が培ってきた数十年にわたる太陽電池の研究開発・量産の知見と、Source社が強みとする革新的かつコスト効率の高い宇宙用ソーラーアレイの開発・供給力を掛け合わせ、宇宙開発への貢献を目指します。また、両社は製品開発のみならず、宇宙用太陽電池製品の供給体制の強靭化にも取り組みます。

近年、衛星通信量の増加や地球観測ネットワークの拡大に伴い、宇宙産業の市場規模は世界的に拡大しています。特に衛星通信においては、軍事・防衛用途はもとより、携帯端末など一般機器の利用も可能になりつつあり、ビジネス市場が急速に成長しています。

衛星などの宇宙機の運用に不可欠な太陽電池は、過酷な宇宙環境への耐性など高い性能が求められます。そのような性能を持つガリウムヒ素(GaAs)系太陽電池が宇宙用途としてこれまで主流でしたが、世界的な供給不足や衛星需要の急拡大を背景に、安定供給を実現する代替技術へのニーズが高まっています。

出光興産が独自に開発に取り組む宇宙用CIGS太陽電池は、30年以上に及ぶ研究開発と累計6GWを超える地上用太陽電池パネルの生産実績を有しています。さらに、高い放射線耐性、軽量性、量産性を備えていることから、衛星の安定稼働と長寿命化を実現します。

また、一般的にソーラーアレイは、放射線による劣化を起因とする出力低下を見越し、必要出力よりも大型のサイズで設計します。出光興産の宇宙用CIGS太陽電池は放射線環境下でも高い出力を長期間維持できるため、大型化の必要性を低減することができます。これにより、ソーラーアレイを利用する衛星の大幅な重量削減と、エンドユーザーである衛星メーカーのコスト削減にも貢献します。

Source社は、地上用太陽電池の技術も活用した信頼性の高い宇宙用太陽電池製品の製造・供給で実績を積み上げてきました。今回の出光興産との協業により、Source社は自社の製品群を拡大し、より高い放射線耐性が求められる軌道ミッション向けを中心とした需要の拡大に対応します。また、出光興産の宇宙用CIGS太陽電池技術の実用化に備え、コロラド州ロングモントにある自社設備で同技術に関する開発・試験を出光興産と共同で実施します。

セル、パネル、アレイの関係図

■出光興産株式会社 イノベーションセンター技術戦略部長 川口 浩司コメント

宇宙産業で革新を続けるSource社という素晴らしいパートナーと共に、未来へ歩みを進められることを大変光栄に思います。私たちの技術は単なる部品ではなく、低軌道コンステレーションから高放射線環境下でのミッションに至るまで幅広い用途で宇宙をより身近にし、地球規模の課題解決を加速する鍵になる技術と信じています。本協業を通じ、持続可能でレジリエントな宇宙開発に貢献してまいります。

■Source Energy Company CEO フィリップ・ケラー氏コメント

私たちの使命は、宇宙用ソーラーアレイの供給安定性と信頼性を根本から再定義する「革新的なサプライヤー」となることです。出光興産の先進的な宇宙用CIGS太陽電池は、Source社の製品ラインアップを拡充し、増加する顧客の需要とニーズに応えるための理想的な技術です。日米の技術を融合し、信頼性の高い衛星電源システムへの高まる需要を満たすソリューションを創造できることを楽しみにしています。

【参考】

1.出光興産株式会社概要

URL:https://www.idemitsu.com/jp/index.html

出光興産は、燃料油、基礎化学品、高機能材、電力・再生可能エネルギー、資源の各分野において、様々なパートナー・顧客との信頼関係をベースに、多様なエネルギーと素材の開発・製造・販売を手掛けています。地上用太陽電池での長年の知見を活かし、宇宙用途に適したCIGS太陽電池技術の開発にも取り組んでいます。

2.Source Energy Company概要

URL:https://www.source.space/

Source Energy Companyは、米国デラウェア州の宇宙用太陽電池モジュールおよびアレイの新興サプライヤーです。本社をコロラド州ロングモントに置き、次世代宇宙プラットフォーム向けに、入手しやすく、高い拡張性と信頼性を備えた電源ソリューションの開発に注力しています。

3.出光興産の宇宙用CIGS太陽電池の主な特長

URL:https://www.idemitsu.com/jp/company/rd/cigs/index.html

(1)極めて高い放射線耐性

 宇宙用途で一般的に用いられているシリコン(Si)太陽電池やガリウムヒ素(GaAs)太陽電池は、宇宙空間の放射線照射によって出力が低下していきます。一方、出光興産の宇宙用CIGS太陽電池は放射線によるダメージを自己修復できるため、出力を長期間維持することが可能です。

(2)薄膜・軽量性

出光興産の宇宙用CIGS太陽電池のデバイス層は、わずか数マイクロメートルの薄さです。さらに、上記のような高い放射線耐性を有していることにより、放射線から保護するためのカバーガラスを持たない薄膜・軽量な構造を実現することも可能です。

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会社概要

出光興産株式会社

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URL
https://www.idemitsu.com/jp/
業種
製造業
本社所在地
東京都千代田区大手町1-2-1
電話番号
03-3213-3115
代表者名
酒井 則明
上場
東証1部
資本金
1683億円
設立
1911年06月