メタンハイドレート資源量の把握に寄与する新技術が「最優秀発表賞」を受賞
JOGMECがシュルンベルジェ株式会社と実施しているメタンハイドレート研究に関する発表が、貯留層地質評価分野で最大規模の地層評価学会(Japan Formation Evaluation Society, SPWLA Japan Chapter)において、第26回最優秀発表賞を受賞しました。
第25回シンポジウム(2019年9月25日~9月26日)での発表が評価され、2021年9月30日~10月7日に開催された第26回シンポジウムにて最優秀発表賞の受賞が発表されました。受賞した発表の概要は以下の通りです。
講演タイトル | メタンハイドレート飽和率評価のための物理検層解析―高分解能化と岩石物理の適用 (Well Log Analysis for Methane Hydrate Saturation Evaluation - High-Resolution and Rock Physics -) |
講演者 | 前原 祐樹 (シュルンベルジェ株式会社) |
共著者 | 佐藤 大地・藤本 暁・山本 晃司 (JOGMEC) |
■ 受賞講演の概要
地層の孔隙に占めるメタンハイドレートの割合を示す「メタンハイドレート飽和率」は、資源量評価においても、生産技術の適用においても、重要な指標です。その指標を物理検層から評価する場合、従来は地層の電気抵抗を用いたArchieの式を適用してきました。しかし、その評価においては、垂直分解能の低さと、坑径拡大などを原因とする誤差が問題となっていました。そのため、1)坑壁の電気抵抗の分布を可視化できる比抵抗イメージログのデータによる高分解能化を目指す、2)堆積物の構造と弾性波(P波およびS波)速度を関係づける岩石物理モデルの適用によりメタンハイドレート飽和率を定量的に求める、という二つの試みを実施しました。南海トラフの海洋産出試験実施海域で取得された物理検層ログにこれらの手法を適用した結果、従来の検層解析結果に比べて高い分解能の情報が得られるとともに、弾性波速度データによっても、比抵抗によるものと同様にメタンハイドレート飽和率が評価できることを示せました。
これらの結果は、メタンハイドレートの陸上および海洋産出試験のための貯留層評価や資源量評価において、物理検層データを用いた評価の高精度化に貢献すると期待されます。
本発表は、経済産業省の委託により実施しているメタンハイドレート研究開発事業において得られた成果に基づいています。
青線、赤線、黒線は、それぞれP波速度、S波速度、電気比抵抗から得られたメタンハイドレート飽和率を表している。特に下位の厚層部では各手法によるメタンハイドレート飽和率は良く一致している。
■ 参考
MH21-S研究開発コンソーシアム(MH21-S)が実施する砂層型メタンハイドレート研究開発「フェーズ4」の目的や実施内容等についてはMH21-Sホームページをご覧ください。
MH21-Sホームページ https://www.mh21japan.gr.jp/
プレスリリース本文はこちら↓
https://www.jogmec.go.jp/news/release/news_01_00001.html?mid=pr211111
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