体幹が弱くなってしまった加齢性“ゆがみ毛”は、今まで以上に扱いにくい気まぐれ髪になっていた ~ジラウラミドグルタミドリシンNaによる髪の質感向上により、まとまりがあり、芯のある美しさを実現!~
クラシエ株式会社(ホームプロダクツカンパニー)は、“ゆがみ毛”は加齢にともない弾性率が減少することで、うねりやくせなどの形状だけではなく、物理特性にも変化が生まれ体幹が弱くなってしまうことを明らかにしました。その原因は、ゆがみ毛内部の毛髪タンパク質において髪を形づくる化学結合が変性したためです。さらに、年齢を重ねて体幹が弱くなってしまったゆがみ毛内部の架橋密度を上げ、髪の体幹を向上させる成分として、「ジラウラミドグルタミドリシンNa」を見出しました。
1.背景
同一人の髪に直毛とは異なる、うねり・くせ・広がりがある毛髪を当社は“ゆがみ毛”と呼び、これまでに直毛とゆがみ毛を比較した形状や内部観察、さらにゆがみ毛を扱いやすくするソリューションを開発してきました。しかし、ゆがみ毛のケアは完全に解決されたわけではなく、ゆがみ毛の加齢にともなう変化については未解明な部分が多く存在しています。実際に、加齢による髪悩みを当社においてベンチマーク調査を実施した結果、ゆがみ毛保有者は、年齢を重ねることでゆがみだけではなく、髪が思うようにまとまらない“気まぐれ髪”への変化を実感していることが分かりました。そこで今回は、ゆがみ毛の加齢変化にフォーカスして、まずは物理特性を評価しました。
2.ゆがみ毛の加齢変化の解明
(1)髪の体幹評価 -ゆがみ毛は年齢を重ねると、物理特性が変化し、体幹が弱くなる
2014年当時に採取した35~44歳の女性5名の直毛とゆがみ毛、さらに左記5名の2024年に採取した直毛とゆがみ毛について一定の荷重と周波数の条件で動的粘弾性測定を実施し、弾性および粘性の性質の指標となるtanδを求めました。なお、tanδとは粘性の寄与を、弾性の寄与で割ったものであり、繊維材料の劣化評価などに使用されています。測定の結果、2014年採取のゆがみ毛よりも2024年に採取したゆがみ毛の方がtanδの値が上昇し、加齢による弾性率の低下が示唆されました(図1)。この物理特性の変化は、髪の体幹が弱くなっていることを反映しており、この変化によって、ゆがみ毛保有者は“気まぐれ髪”を実感しているものと考えられます。

(2)ミクロレベルにおける毛髪タンパク質の解析 -年齢を重ねたゆがみ毛はタンパク質の結合が減少
年齢を重ねたゆがみ毛の体幹が弱くなったのは、毛髪の構成成分において約80%を占めるタンパク質が一因であると考え、その中でも、髪を形づくる化学結合に着目しました。髪の化学結合は、例えば水素結合が知られており、この結合は水分によって結合が切れて髪の形状が変化してしまうことが知られています。本研究では、水素結合よりも強度が高い、イオン結合とジスルフィド結合に着目しました。イオン結合が切れていることを反映する、カルボニル化(CO)タンパク質をイメージングした結果、加齢によりゆがみ毛のカルボニルタンパク質が増加していることが確認できました(図2)。

さらに、顕微赤外分光分析と多変量スペクトル分解を用いて、ジスルフィド結合が切れていることを反映する毛髪タンパク質のシステイン酸(SO3H)をイメージングしたところ、年齢を重ねたゆがみ毛はシステイン酸の増加がみられました(図3)。

つまり、年齢を重ねたゆがみ毛の毛髪内部タンパク質は、髪を形づくるイオン結合およびジスルフィド結合が切れていることが明らかとなりました。この2種類の結合が切れたため、弾性率が低下して、髪の体幹が弱くなったと考えられます。
3.機能成分の探索、発見
当社は、年齢を重ねて“気まぐれ髪”になってしまったゆがみ毛に、成分を内部に浸透させて毛髪内部の架橋密度を上げることにより、体幹の強い、美しい髪に導くことができないかと考えました。
そこで、「毛髪内部の架橋密度を上げる」成分についてさまざまな成分を探索した結果、「ジラウラミドグルタミドリシンNa」に効果を見出しました。ジラウラミドグルタミドリシンNa」で年齢を重ねたゆがみ毛を処理し、高圧示差走査熱量測定を行い毛髪タンパク質の変性温度を算出したところ、その変性温度が有意に高くなることを確認しました(図4a)。この結果は、毛髪内部の架橋密度が上昇したことによるものと考えられます。次に、毛髪へのケア効果を調べるために、毛髪の破断強度を計測した結果、「ジラウラミドグルタミドリシンNa」には、年齢を重ねたゆがみ毛における破断強度を有意に向上させ、体幹を向上させる効果があることを見出しました(図4b)。この体幹向上効果は「ジラウラミドグルタミドリシンNa」の構造中にタンパク質と相互作用しやすいカルボン酸やアミド結合を複数有するため毛髪タンパク質と疑似的な架橋を形成したためであると考えられます(図4c)。


4.まとめ
(1)加齢にともないゆがみ毛は体幹が弱くなり、思うようにまとまらない“気まぐれ髪”に変化していました。
(2)年齢を重ねたゆがみ毛は、髪を形づくるタンパク質の結合、つまりイオン結合とジスルフィド結合が切れていることを見出し、この結合が切れたことにより体幹が弱くなったと考えられました。
(3)「毛髪内部の架橋密度を上げる」成分として「ジラウラミドグルタミドリシンNa」を見出し、本成分を配合した処方により、年齢を重ねたゆがみ毛の体幹が向上し、芯のある美しい髪に導くことができました。
今後、今回の研究成果を2025年秋発売予定のヘアケア製品に応用する予定です。
以 上
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