明治大学と吉野家ホールディングスが共同研究成果を発表 牛由来脂質が自発的活動と食後の意欲維持に関わる可能性を示す
明治大学(所在:東京都千代田区、学長:上野 正雄)農学部の金子 賢太朗准教授ならびに株式会社吉野家ホールディングス(本社:東京都中央区、代表取締役社長:成瀨 哲也)らによる研究グループは、ヒトの食事試験およびマウス試験を通じて、脂質源の違いが食後の意欲関連指標や自発的活動の維持に関与する可能性を示しました。本研究成果は、9月18日(金)および19日(土)に日本教育会館(東京都千代田区)で行われた日本脂質栄養学会第35回大会にて発表されました。

発表者:〇千葉佳音1、成毛開1、加藤那月1、三橋花奈1、大野桃代2、黒川眞行3、辻智子3、金子賢太朗2(〇:筆頭発表者)
所属:1明治大学大学院農学研究科、2 明治大学農学部、3 株式会社吉野家ホールディングス次世代食創成部
本研究では、脂質源の違いが動機づけ関連指標や自発的活動に及ぼす影響について、ヒトの食事試験と、別途実施したマウス試験により検討しました。マウス試験では、牛脂摂取群と豚脂(ラード)摂取群を比較し、ランニングホイールを用いて自発的運動量を評価しました。その結果、走行距離は、ラード摂取群を100とした相対値で、牛脂摂取群が192.27となりました。このことから、本試験条件下において、牛脂摂取群ではラード摂取群と比較して、自発的運動量が高く維持されることが示されました。また、運動環境下で飼育したマウスを用いた高架式十字迷路試験では、牛脂摂取群で不安様行動の軽減が認められました。
ヒト試験では、牛丼・豚丼・助六寿司を用いた食事試験を実施し、数値評価尺度(NRS: Numerical Rating Scale)を用いたアンケートにより、意欲・集中力・疲労感等を評価しました。その結果、牛丼摂取時には、豚丼または助六寿司摂取時と比較して、食後の意欲スコアが有意に高く、集中力スコアにも高い傾向が認められました。
なお、ヒト試験では、実際の食事を比較しているため、脂質源以外にも、食材構成や栄養成分の違いが結果に影響している可能性があります。そのため、本結果は、牛由来脂質のみの効果を直接示すものではなく、牛由来脂質を含む食事条件下で食後の意欲関連指標が高く維持される可能性を示すものと考えられます。一方、マウス試験では、脂質源を牛脂またはラードとした飼料条件下で比較を行っており、牛脂摂取群において自発的運動量の維持が認められました。
これらの結果から、脂質源の違いは動機づけに関わる指標や自発的活動に影響を及ぼす可能性が示されました。特に、マウス試験の結果から、牛脂摂取群における自発的運動量の維持には、中枢性のオレキシン系が関与している可能性があります。今後は、牛由来脂質を含む食事や牛脂摂取が、活動意欲や自発的活動に及ぼす影響について、作用機序やヒトでの再現性をさらに検証していきます。
明治大学農学部 栄養生化学研究室の金子賢太朗准教授はこれまで、食・栄養シグナルが食欲中枢である視床下部や内分泌系を介して、生体機能をどのように調節するのかに着目して研究を進めてきました。これらの研究を通じて、食・栄養シグナルと生体応答の新たな原理を解明し、食による健康長寿社会の実現に貢献することを目指しています。
また、株式会社吉野家ホールディングスは、2025年より明治大学との共同研究を開始し、主力商品である牛丼の新たな価値を科学的に検証することを目的として、牛由来脂質が食後の意欲や自発的活動の維持に及ぼす影響について検討を進めてきました。
※本ヒト試験は、明治大学の倫理審査委員会の承認を受け、UMIN臨床試験登録システムに登録のうえ、すべての参加者から文書による同意を得て実施しました。マウス試験は、明治大学動物実験委員会の承認を受けて実施しました。
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