革新的なFT合成と小型モジュールによる合成燃料の製造技術を有する独スタートアップINERATEC社へ出資
出光興産株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:酒井則明、以下「当社」)は、出光CVC※1を通じて、INERATEC GmbH(本社:ドイツ、以下「INERATEC社」)に出資しました。INERATEC社は、革新的なFT合成※2技術を有し、大規模な設備を必要としない小型モジュールにより合成燃料※3を製造・販売するスタートアップ企業です。
当社は今回の出資を通じ、FT合成と小型モジュールによる合成燃料の製造技術や知見を獲得します。これにより、原料供給・製品需要の状況に柔軟に対応できる合成燃料の供給体制の構築を検討します。
※1 出光CVC(Idemitsu Corporate Venture Capital):
カーボンニュートラル・循環型社会の実現に貢献するため、「低炭素エネルギー」や「先進マテリアル」分野の「革新的な新技術」に戦略的な投資を行う組織。
※2 FT合成(フィッシャー・トロプシュ合成):
一酸化炭素と水素の混合ガスと触媒を用いて、合成燃料を製造する技術。
※3 合成燃料:
再生可能エネルギー由来の水素と、大気中などから回収したCO₂を合成して得られる液体燃料。
合成燃料には、さまざまな種類と製造プロセスがあります。当社は、合成燃料の一つであるe-メタノールを戦略的に重要な製品として位置付け、早期の社会実装に向けた検討を進めてきました。e-メタノールは、需要拡大が見込まれる船舶燃料として利用できるほか、原料としてメタノール転換※4を行うことにより、合成ガソリンなど各種の合成燃料や合成化学品を製造することができます。
このたび出資したINERATEC社は、当社がこれまで検討を進めてきたメタノールを用いた合成燃料の製造プロセスではなく、FT合成の革新的な技術を有しています。一般的なFT合成プラントの場合、大型化に伴い合成燃料を製造する反応器内の温度が不均一になるため、反応効率が低くなります。一方、INERATEC社のFT合成は、独自のマイクロリアクター(小型反応器)や細かな温度制御などにより、反応効率を従来比で高めることに成功し、必要とされる合成燃料を効率よく製造することが可能です。
また、INERATEC社の技術は、広大な土地を必要としない小型モジュールによって合成燃料を製造できるという特徴も有しています。小型モジュールで革新的なFT合成技術により高効率に合成燃料を製造することができるため、合成燃料の製造に必要な資源を豊富に調達できない需要地であっても、柔軟な供給体制を構築することが可能となります。

当社は、出光CVCによる出資を通じたスタートアップ企業との連携で、革新的な技術やアイデアを活用し、新たな価値の創造や社会課題の解決に取り組みます。
※4メタノール転換
eメタノールを原料として、ジェット燃料やガソリン、化学原料などを製造する技術。
【参考】
INERATEC社概要
URL:https://www.ineratec.de/en

INERATEC社は、世界の脱炭素化に取り組んでいます。同社は、航空・海運・化学産業向けに、カーボンニュートラルな化石燃料の代替品である合成燃料および合成化学品を製造しています。モジュール式で拡張可能なプラントを用い、再生可能な水素とバイオ由来の二酸化炭素を原料に、灯油・ガソリン・軽油・ワックス・メタノールを生産しています。本社はドイツ・カールスルーエにあり、世界各国の多様な投資家から支援を受けています。
プレスリリース:ベンチャーキャピタルEmerald Technology VenturesとCVC 推進のためのパートナーシップを締結(2024年8月9日)
https://www.idemitsu.com/jp/news/2024/240809_2.pdf

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