「新型コロナウイルス感染拡大による、暮らしや心の変化および旅行再開に向けての意識調査(2020)」
◆◆調査内容は抜粋となります。調査の詳細につきましては下記URLよりご覧ください。◆◆
https://press.jtbcorp.jp/jp/2020/05/2020-4.html
■旅行意向は高いものの、旅行再開は慎重に。国内は夏休みと9月の連休時期、海外は秋以降に行きたい
「すぐ行きたい」の割合が高いのは、「知人訪問」、「自然が多い」、「帰省」、「居住都道府県内の旅行」
■国内旅行に「早く行きたい」と考えているのは、男女29才以下の若者。性別では男性が高い
女性60才以上は、旅行意向はあるが、どの旅行も「しばらく行きたくない」が他より高い
■旅行の再開には、新型コロナ自体の解決を待つ気持ちが強い。「治療薬やワクチンが完成し効果が出る(45.6%)」、「全国の緊急事態宣言の解除(43.8%)」、「WHOの終息宣言(33.9%)」
マスク着用・消毒などの衛生管理、3密回避は8割が継続したいと考え、旅行先でも重視される
■旅行の計画を阻む理由は感染症への不安以外に、「世間体が悪い」、「旅行先の情報が少ない」が増加
■外出自粛で考え方が変化したと感じた1位は「対面や直接のコミュニケーションは大切だ(29.8%)」
若い人ほどリアルなコミュニケーションを大切と感じる割合が高いが、同時に、会議やショッピングなどはオンラインで十分と考える割合も高い。デジタルを前提としたリアルの体験価値向上が重要になる
■自粛期間に多く利用されたサービスは「月額制の動画、漫画、書籍等の見放題・読み放題(53.3%)」や「デリバリーサービス(38.9%)」「月額制の動画、漫画、書籍等の見放題・読み放題」は継続意向も75.2%と高い
【調査概要】※各アンケート実施時の社会状況や感染者数の推移については、調査結果の後に掲載
【調査結果】
<全国の緊急事態宣言下の暮らしや意識全般について(JTB調査)>
全国に緊急事態宣言が発令され、外出自粛や店舗の営業自粛が続いた状況下での、人々の暮らしや意識全般について、全国2万人の15才~79才の人に対して聞きました(性年齢は人口構成比に合わせて抽出)。
1.「新型コロナの影響で給与が減りそうだ」は就業者全体の31.2%。女性30~40代が特に高い
「新型コロナの影響で会社の業績が落ちている」は就業者全体の29.5%
「いつもより生活費を節約している」は全体で33.3%、女性30~40代が高い。「特に節約していない」は男女共に60才以上が高い。働く世代の方が、シニア層より家計への影響を感じている
(図1)新型コロナによる働き方への影響(複数回答)
(図2)新型コロナによる、家計や消費への影響(複数回答)
2.外出自粛や渡航制限の解除で、やりたいこと上位3つは、「国内旅行」、「外食」、「友人知人に会う」
過去1年間の旅行経験者は、1位「国内旅行(53.3%)」。未経験者は「国内旅行」より「買い物」
(図3)外出自粛や渡航制限が解除になったらやりたいこと(上位3つを合算)(複数回答)
3.新型コロナ感染拡大の前後で、考え方が変化したと感じることは、
「対面や直接のコミュニケーションは大切だ(29.8%)」が最も高く、若い年代の割合がより高い
「働く場所にはこだわらなくてよい(18.0%)」は、男性30代は27.9%、男性29才以下は26.5%
「自分の考え方に変化はない(29.9%)」は、上の年代かつ男性の方が高く、男性60才以上で39.4%
(図4)新型コロナ影響前と比較した、自分の考え方の変化(複数回答)
<過去1年間の旅行経験者の旅行再開の考え方について(JTB調査)>
前項までのアンケート対象者2万人のうち、過去1年間に国内外の旅行(出張は除き、帰省は含む)を1回以上経験した人を2,060人抽出し、今後の旅行について聞きました。
4.旅行を再開するきっかけは、「治療薬やワクチンが完成し効果が出る(45.6%)」、「全国の緊急事態宣言が解除になる(43.8%)」「周囲からとがめられなくなったら(26.8%)」「自治体が来訪自粛要請をやめたら(23.0%)」
(図5) どのような状況になれば旅行や外出をするか(複数回答)
5.「すぐ行きたい」の割合が高いのは、「知人訪問」、「自然が多い」、「帰省」、「居住都道府県内の旅行」「しばらく行きたくない」は「大都市圏への旅行」が55.5%、「海外旅行」は48.1%
(図6)渡航や外出自粛が緩和された場合、どんな旅行にいつ頃行きたい気分か(単数回答)
(図7)国内旅行/海外旅行にいつ頃行きたいか(単数回答)
(表1)今後1年くらいの旅行支出について(単一回答)
<感染拡大から現在までの旅行に対する意識の変化と年内の旅行について(JTB総合研究所調査)>
ここからは、新型コロナの感染が広がり、緊急事態宣言が発令されてから解除の見通しが立つまでの約4か月間の旅行に対する意識の変化や2020年中の旅行意向の変化について、2月から5月までの毎月の定点調査結果に沿い述べていきます。
6. 2020年中の旅行意向は、緊急事態宣言が発令された4月以降に大きく減少
(図8)2020年中の旅行の予定(2~5月調査)(単一回答)
7. 国内旅行の出発時期は、7~8月の夏休み時期や9~10月の意向が高い
行き先は「まずは自分の住んでいる地方から」の動きがみられる
(図9)2020年中に予定・検討している国内旅行の出発時期(2~5月調査)(単一回答)
(図10)2020年中に予定・検討している国内旅行の行き先(2~5月調査)(単一回答)
(図11) 居住地別 2020年中に予定・検討している国内旅行の行き先(5月調査)(単一回答)
8. 海外旅行の出発時期は、9~11月や11~12月の冬休み時期の意向が高い
行き先は「ハワイ」、「東南アジア」、「台湾」が人気
(図12)2020年中に予定・検討している海外旅行の出発時期(2~5月調査)(単一回答)
(図13)2020年中に予定・検討している海外旅行の行き先(2~5月調査)(単一回答)
9. 年内に旅行予定があるものの、まだ予約をしていない、あるいは予約した旅行の変更・
キャンセルを検討している理由は、「新型コロナの不安がある」が際立って高い
時間の経過とともに「世間体が悪い」、「旅行先の正確な情報が足りない」が増加傾向
(図14)旅行意向者がまだ予約を確定していない理由(国内/海外旅行別)(3~5月調査)(複数回答)
<新型コロナ感染拡大による消費者の意識や行動変容(JTB総合研究所調査)>
今回のような感染症拡大、災害、経済危機などはこれまでも社会のあり方や価値観を変え、また旅行や観光にも影響を与えてきました。現時点で未来の観光像の断定は難しいですが、将来どのような変化が考えられるか探っていくために、新型コロナの感染が拡大した3月から5月の間におきた生活や心の変化、また、外出自粛生活の中で話題となった具体的なサービスやしくみなどについて聞きました。
10.「スマートフォンやテレビを見る時間が増えた」は3割以上に。「時間をもてあましている」も2割
時間はあるものの、「新しいことへのチャレンジに時間を使う」は増加しなかった
「AIやロボットより人からサービスを受けたい」は微減傾向。対面サービスにおける感染リスク意識が根付く
(図15)ここ最近の気持ちや行動の変化(3~5月調査)(複数回答)
11.今後の生活でも継続したいことの上位は、「キャッシュレス決済(83.8%)」、「社会貢献をしている企業の商品やサービスを意識して選ぶ(82.3%)」、「オンラインショッピング(82.2%)」
自粛期間に多く利用されたサービスは「月額制の動画、漫画、書籍等の見放題・読み放題(53.3%)」や「デリバリーサービス(38.9%)」。サブスクリプション(定期購入)サービスは継続意向も高い
(図16)今後の生活で利用を継続したい/減らしたいこと(5月調査)(単一回答)
(図17)各種サービスの利用率と今後の利用意向(利用者・非利用者別)(5月調査) (単一回答)
まとめ
■国内旅行は身近な居住圏内からの動きを予想。引き続き若者の旅行意欲が高い
緊急事態宣言は解除されましたが、当面、都道府県をまたぐ移動に関しては自粛要請が続いています。家計や経済に関しては、新型コロナの影響で給与が減りそう、節約している、という回答が3割を超え、今後の悪化も懸念されます。このような状況の中で、旅行・観光の回復は、国内旅行からで、まずは身近な域内での観光や友人・知人訪問、帰省などからの動きが多くなりそうです。既にいくつかの地域では県内居住者を対象とした宿泊プランを用意するなど、地域の消費喚起施策が始まっています。地元の人が地元の魅力を再認識、再評価し、SNSなどで発信も期待できる良い機会と考えられます。また、今回浸透してきたテレワークをベースに、ノマドワーク、ワーケーションなど、「暮らす・働く」と「旅行する」の融合が加速するのではないでしょうか。少しずつ変化がみられていたZ世代やミレニアル世代を中心とした旅行のあり方にも今後注目です。
海外旅行に関しては、過去の旅行者動向をみると、比較的、景気の影響を受けにくい傾向です。またここ数年、活発に海外旅行をしていた若者は引き続き旅行意向が高い結果でした。スペインのように、観光客受け入れ再開の見通しを伝える国が出てくる一方で、7月までの海外ツアーの催行中止が決定され、調査時よりさらに海外旅行の回復は遅れそうです。新型コロナの影響が長引き、雇用環境や経済状況の回復が遅れた場合には、徐々に旅行意向も減少する可能性はあります。また、60才以上の女性では、海外旅行に「二度と行きたくない」という回答も少なくないことから、海外旅行者の世代交代も進む可能性があるかもしれません。
■デジタルの便利さを享受しつつも、欠かせないアナログの価値
この状況下で、生活のデジタル化(テレワークやキャッシュレス決済、オンラインサービスなど)が大きく浸透しました。一度利便性を体感した消費者が、元の生活に戻るとは考え難く、デジタル化は加速度的に進むと考えられます。あらゆるサービスがデジタルを前提としたものとなる一方、デジタル(バーチャル)の良さを知ったからこそ感じられる「アナログ(リアル)」の価値(人と会う、旅行をする)に気づく面もあります。デジタルとアナログを切り分けて考えるのではなく、デジタルの中に、どのようにアナログを融合させていくかが、新しい魅力的な商品やサービスを生むために重要ではないでしょうか。
■新しい生活様式(ニューノーマル)時代の観光をつくり、発信する
デジタル化に加え、3密の回避などの新しい生活様式(ニューノーマル)も広がりました。本調査でも消毒やマスク着用といった衛生管理や3密の回避は8割以上が継続すると答えています。こういった中、観光においても、新しい生活様式に基づいたあり方の確立が求められます。旅行者も地域社会も「衛生管理は旅のマナー」として、「ポジティブに」進めていくことが必要と思われます。ハワイ政府観光局の戦略で話題となった「レスポンシブル・ツーリズム」は、単に地域が持続可能である観光を目指すだけではなく、旅行者にも責任がある、という考え方です。旅行者がその土地の人々の考え方や行動を共有し、尊重することで、持続可能、かつ、住民と旅行者双方にとって満足度の高い体験が可能となるのです。こういった取り組みにより、観光地(業界・企業)と旅行者と住民との関係性も変ってくると考えられます。持続可能な社会をつくるために「社会貢献をしている企業の商品やサービスを意識して選ぶようになった」と回答した人の割合は8割を超えました。真のファンをつくるためにも、お互いを尊重しあう関係性を構築していくことが重要です。
2020年に旅行を検討している人が、行くかどうか迷っている理由に、「旅行先の正確な情報が足りないと感じる」、「世間体が悪いと感じる」という回答が時間の経過とともに多くなっていきました。旅先での感染症が疑われた場合の対応や、緊急時の相談、旅先で自分は歓迎されるのかなど不安が多く、決めかねている状況とも受け取れます。ニューノーマル時代の観光とは何か、地域にとって観光の位置づけを再認識すること、また、適切な情報と、歓迎の気持ちを発信し、旅行者へきちんと伝えていくことが、旅行者の不安を払拭し、旅行へ誘うことにつながると思われます。
<参考>感染者数(累積)の推移(世界・日本)と本レポート調査期間
◆◆調査内容は抜粋となります。調査の詳細につきましては下記URLよりご覧ください。◆◆
https://press.jtbcorp.jp/jp/2020/05/2020-4.html
<調査結果・データに関するお問い合わせ先>
(株)JTB 総合研究所 企画調査部
03-6722-0759
www.tourism.jp
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