文春新書『なぜ日本は原発を止められないのか?』が「貧困ジャーナリズム大賞2024」で「貧困ジャーナリズム賞」を受賞!

「原発安全神話」に加担してきた、政・官・業・学、そしてマスコミの大罪を白日の下にさらした渾身の書

株式会社文藝春秋

株式会社文藝春秋(本社:東京都千代田区紀尾井町 社長:飯窪成幸)から刊行された、文春新書『なぜ日本は原発を止められないのか?』(青木美希著)が、「貧困ジャーナリズム賞」を受賞しました。同賞は、貧困問題に取り組む一般社団法人「反貧困ネットワーク」(代表理事・宇都宮健児弁護士)が2007年以降、優れた貧困問題報道などに贈ってきた「貧困ジャーナリズム大賞」のなかの賞のひとつで、本作の講評は以下の通りです。

『なぜ日本は原発を止められないのか?』(文春新書)

■「貧困ジャーナリズム大賞」とは

日本社会が抱える貧困問題において、隠されていた真実を白日の下にさらしたスクープ報道、綿密な取材で社会構造の欠陥や政策の不備を訴えた調査報道、地道な努力で問題を訴え続けた継続報道など、この分野でめざましい活躍をみせ、世間の理解を促すことに貢献したジャーナリストを年に一度顕彰します。

貧困ジャーナリズム大賞2024は、2023年8月~2024年9月までに発表された報道活動(新聞、雑誌、書籍、テレビ・ラジオ番組、インターネットなどのジャンルを含みます)を対象とし、 「貧困ジャーナリズム大賞」(1、2点)、「貧困ジャーナリズム賞」(数点)、「貧困ジャーナリズム特別賞」(1、2点)を選出します。

(「反貧困ネットワーク」HPより)

■貧困ジャーナリズム賞・講評

某新聞社の記者職を外されながらも、独自取材で、「原発安全神話」の偶像に迫った。

大手電力が再エネ事業者に出力制御を行う裏で、避難指示解除や復興イベントが進み、ふるさとを喪った避難者は忘れ去られようとしている。

汚染水放出への漁業者の怒りの声、避難者の孤立や自死はなかったことにされ、浮かび上がるのは原子力ムラの構造だ。「村長」は内閣総理大臣、大電力会社から政権への献金、原発マネーの癒着であり、政・官・業・学そしてメディアがグルだ。

原発報道は言葉狩りが行われ真実が伝わらないようにされる。学者を取り込み、自分たちが通したい説を「科学的」とし、それ以外は風評加害と言い募る。避難計画なくも、原発回帰や延命の再稼働がムラをあげての優先事項だ。

発表依存とチェック機能の不在、言論規制などマスコミの劣化は社会の貧困の証である。沈黙は加担であり真実は隠せない、歩みを止めない青木美希にジャーナリズムの本質をみる。

■青木美希さんの受賞コメント

大手新聞社は原発は安全だという「安全神話」を長く流布してきました。私は読者として、また研究者の娘としてその姿を目の当たりにしてきました。新聞社3社の記者をしてきたのですが、5年前に突然記者職を外され、それでもなお休日を使い、社名を名乗らずジャーナリストの名刺で原発を追ってきました。

メディアを含む原子力ムラの実態を描く本を出版しようとしたところ、現在の勤務先から再三にわたって出版が認められませんでした。それでも個人として出したのが本作です。現在も多くの圧力を受け、覚悟と犠牲を強いられていますが、脱原発文学大賞受賞に引き続き評価いただき、大変嬉しく、また出して良かったと励まされます。気骨ある文藝春秋の西本幸恒編集長、織田甫さん、喜田村洋一弁護士、取材を受けてくださった皆様、応援してくださる皆様、多くの方々に支えられてこの本は歩み始めています。本当に感謝しております。

日本政府は今も原子力緊急事態宣言中で、数万人が避難しています。事故の甚大さを身をもって知ったこの国の政府が、なぜ原発事故を忘れさせ、再び原発を新設しようとするのでしょうか。福島の事故を受けて建設費が高騰しているため、政府は私たちの電気料金に新設費を上乗せする検討をしています。

一方で、福島の被災地の現状を載せてもらえない、大事なところを削られたという現場からの訴えは多数届いています。メディアがジャーナリズム精神の貧困に陥ったとき、読者は離れ、メディアは自滅していきます。

メディアの上層部は自分たちが「載せない」「社外での個人としての言論も検閲させろ」と無思慮に言えば言うほど、社の自滅を加速させていることを自覚すべきです。今年は治安維持法から100年になります。言うべきことが言えない。言論規制強化は、再び原発事故や戦争を繰り返し、多数の住民が命や生活を脅かされる事態に加担することになります。

困難が続きますが、今を生きる者の責任として、事実を伝え続けたいと思っています。

「貧困ジャーナリズム賞」を受賞した青木美希さん

■プロフィール

青木美希(あおき みき)

ジャーナリスト、作家。札幌市出身。1997年、北海タイムス入社。同紙の休刊にともない、1998年9月に北海道新聞入社。札幌での警察担当のときに北海道警裏金問題を手がける。2010年9月、大手紙に入社。東日本大震災では翌日から現場で取材した。現在も個人として取材活動を続けている。「道警裏金問題」取材班として菊池寛賞。同取材班と、のちの原発事故検証企画「プロメテウスの罠」、「手抜き除染」報道の両取材班で、新聞協会賞を3度受賞。初の単著『地図から消される街』(講談社現代新書)は福島第一原発事故の実情を描き、貧困ジャーナリズム大賞、日本医学ジャーナリスト協会賞特別賞、平和・協同ジャーナリスト基金賞奨励賞を受賞した。ほか単著に『いないことにされる私たち』(朝日新聞出版)。2023年から日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長。

■書誌情報

書 名:『なぜ日本は原発を止められないのか?』

著 者:青木美希

刊 行:2023年11月20日

定 価:1210円(税込)

判 型:新書判

頁 数:288

ISBN:978-4-16-661433-2

書誌URL:https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166614332

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会社概要

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URL
http://www.bunshun.co.jp/
業種
情報通信
本社所在地
東京都千代田区紀尾井町3-23
電話番号
03-3265-1211
代表者名
飯窪成幸
上場
未上場
資本金
1億4400万円
設立
1923年01月