「音楽のパイオニア」ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の知られざる姿に迫る! 『ウィーン・フィルの哲学——至高の楽団はなぜ経営母体を持たないのか』が発売

コロナ禍の2020年、世界に先駆け通常の演奏活動を再開した世界の「トップランナー」としてのオーケストラ。ハプスブルク家の治世から受け継がれてきた、無二の奏楽と伝統の奇跡を紐解く一冊

株式会社NHK出版

 言わずと知れた世界最高峰のオーケストラ、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(以下、ウィーン・フィルとする)。じつは彼らは創設から一貫して経営母体を持たず、指揮者選定から経費処理まで、演奏家たち自身が民主的に運営を行っています。なぜ彼らは長きにわたり後ろ盾なしで存続し、伝統を守り続けてこられたのでしょうか。
 このたび発売の『ウィーン・フィルの哲学――至高の楽団はなぜ経営母体を持たないのか』(NHK出版新書、2023年1月10日刊)では、音楽プロデューサーとして彼らの公演の収録にも携わり、また楽団長や団員に密着して取材を行なってきた渋谷ゆう子氏が、180年続くウィーン・フィルの「行動原理」を詳しく解説します。

 

『ウィーン・フィルの哲学――至高の楽団はなぜ経営母体を持たないのか』2023年1月10日発売 定価1,023円(税込)『ウィーン・フィルの哲学――至高の楽団はなぜ経営母体を持たないのか』2023年1月10日発売 定価1,023円(税込)

  • ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団とは

© Vienna Philharmonic / Dieter Nagl© Vienna Philharmonic / Dieter Nagl

 ウィーン・フィルは、1842年にオーストリア帝国で生まれた、ウィーン宮廷歌劇場管弦楽団(現ウィーン国立歌劇場管弦楽団)の奏者で構成されたオーケストラです。音楽文化華やかなりしウィーンには、ハイドンやモーツァルトをはじめとする偉大な作曲家をすでに輩出し、音楽を愛する聴衆も育っていました。音楽文化そのものに後押しされる形で創設され、後にはブラームスやマーラーといった一流の作曲家たちがウィーン・フィルを指揮するなど、クラシック音楽の発展と歴史に密接な関係を持つ特別なオーケストラです。
 
  •  ウィーン・フィルは自主運営で活動するオーケストラ
 ウィーン・フィルは音楽界の「ファーストペンギン」として、常に音楽のパイオニアとして業界をリードしています。2020年のコロナ禍では、オーストリアのロックダウン開始から約2か月後、世界に先駆けて「通常の」演奏活動を再開するなど、音楽による希望の光を世界に届けました。その一方で、帝国の崩壊や二度の大戦など、幾度となく歴史に翻弄され、そのたびに存続の危機に立たされています。
 それでも彼らがその音楽的伝統を絶やさずに継承し得たのは、煌びやかな演奏のバックステージで、地道な運営と経営を演奏家たち自身で行なっていることにひとつの理由がある、というのが著者の見立てです。オーケストラを組織する自主運営団体である彼らは、それぞれが個人事業主であり、演奏家として一国一城の「王」でもあります。しかも世界最高峰のプレイヤーとあって、その面々は曲者ばかり。そんな「王」たちがいかにして民主的に運営や楽団の方針に関わるさまざまなことを決定し、組織を動かしているのか。設立の歴史、目的から、昨今の多様性とジェンダーの問題、オーケストラのワーク・ライフ・バランスの問題まで、知られざる舞台裏が明かされます。
 
  • アートに関わる人にもヒントが満載
 また本書では、伝統ある芸術集団が必ず直面する「踏襲か、改革か」をめぐる組織変革の攻防や、団員の多様性が増すことによってオーケストラの音楽的個性が均質化していく問題、CDからストリーミングサービスに移行しつつある音楽業界での収益減に、オーケストラがどう対処しているのかなど、具体的なエピソードと団員の言葉が豊富に収載されています。ウィーン・フィルを含むクラシック音楽ファンはもちろん、アート・マネジメントに携わっている方にも示唆に富み、楽しむことのできる内容です。元日のニューイヤーコンサートの余韻が冷めやらぬ中、ウィーン・フィルの音楽の背後にある哲学を知れる書として貴重な一冊です。
 
  • 著者
渋谷ゆう子 (しぶや・ゆうこ)
音楽プロデューサー、文筆家。大妻女子大学文学部卒。株式会社ノモス代表取締役として、海外オーケストラをはじめとするクラシック音楽の音源制作やコンサート企画運営を展開。また演奏家支援セミナーやオーディオメーカーのコンサルティングを行う一方、ウィーン・フィルなどに密着し取材を続けている。
 
  • 『ウィーン・フィルの哲学――至高の楽団はなぜ経営母体を持たないのか』 目次
はじめに
第1章 音楽界のファーストペンギン
第2章 ウィーン・フィルとは何者か?
第3章 ウィーン音楽文化と自主運営の歴史
第4章 戦争が落とした影
第5章 王たちの民主主義
第6章 アート・マネジメントの先駆として
あとがき
ウィーン・フィル関連年表
参考文献
 
  • 商品情報

『ウィーン・フィルの哲学 至高の楽団はなぜ経営母体を持たないのか』
著者:渋谷ゆう子
出版社:NHK出版
発売日:2023年1月10日
定価:1,023円(税込)
判型:新書判
ページ数:224ページ
ISBN:978-4-14-088691-5
NHK出版ECサイト:https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000886912023.html
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/4140886919/

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会社概要

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URL
https://www.nhk-book.co.jp/
業種
サービス業
本社所在地
東京都渋谷区宇田川町10-3
電話番号
03-3464-7311
代表者名
江口貴之
上場
未上場
資本金
6480万円
設立
1931年04月