上方落語の次代のスターをあなたが選ぶ!『マルエスPresents 神戸新開地・喜楽館AWARD2025』激戦続きの予選リポート&決勝は12月7日(日)開催!
地域の街興しと上方落語の更なる発展を目指して上方落語の定席「神戸新開地・喜楽館」とABCラジオがタッグを組んだ「マルエスPresents 神戸新開地・喜楽館AWARD2025」。
入門16年から25年までの上方の落語家を対象に、喜楽館の観客とABCラジオのリスナーに「審査員」として直接参加していただくことで上方落語の次代を担うスターを選びます。今年で3回目の開催となりました。
一昨年は桂雀太さん、昨年は桂ちょうば(現・米之助)さんがそれぞれ栄冠に輝き、喜楽館の窓口でお客様から募った100万円を超える賞金と、副賞として特別協賛のマルエス様からいただいた「こだわりシリーズいか天大王28g」1年分を合わせて手にしています。
今回の予選は、エントリーをした総勢25人の噺家さんによって9月12日(金)、16日(火)、17日(水)、22日(月)の4日間に渡って実施。それぞれの予選日で1位を獲得した桂吉の丞さん、桂三四郎さん、桂小鯛さん、桂佐ん吉さんに、それぞれの日で2位だった噺家さんの中から最も得票率が高かった笑福亭鉄瓶さんの5人が、12月7日(日)18時から神戸新開地・喜楽館で開催する決勝に進出します。
以下は、放送作家・漫才作家・落語作家として活躍し、当イベントのブレーンを務める米井敬人さんが記した予選のリポートです。
記録的な猛暑だった2025年の夏も陰りを見せ始め、今年も「マルエス Presents 神戸新開地・喜楽館AWARD」の季節がやってきました。「喜楽館AWARD」は、上方落語の次代のスターを落語ファンの皆さん、ABCラジオのリスナーの皆さんと一緒に選んで、10年後、20年後にその方が「大看板」と呼ばれるようになるまで一緒に応援していこう、そして喜楽館と皆さんが手を携えて上方落語を大いに盛り上げていこう、という目的で2023年に始まりました。参加資格は入門16年から25年までの上方の噺家さんで、東京では「若手真打」と呼ばれる世代の方々です。
第1回の優勝者は桂雀太さん、第2回の優勝者は桂ちょうばさん(現在の米之助さん)。いずれの予選もお客さんの投票だけで決まるとあって会場を巻き込んでの熱戦が続き、大いに盛り上がりました。また決勝戦は生放送でリスナーの皆さんも投票できるとあって、さらに盛り上がりを見せました。
そして迎えた第3回は9月12日(金)にスタート。この日は桂吉の丞さん(2002年入門)、桂惣兵衛さん(2005年入門)、林家染吉さん(2007年入門)、笑福亭呂好さん(2008年入門)、桂三語さん(2009年入門)、林家愛染さん(2009年入門)の6人が出場。そして三味線は内海英華さん、太鼓は笑福亭呂翔さん、笛は林家染八さん。このお三人は第1回から喜楽館AWARDの下座の常連で、頼れる皆さんです。

ロビーでは普段の落語会のように「チラシの挟み込み」が行われ、出場者の皆さんが談笑。しかしその後の出番順を決める抽選からだんだん緊張感が高まっていくのは毎年恒例の流れ。クジで1番を引いた染吉さんは痛恨の表情を浮かべましたが、他の参加者からは「逆にネタのチョイス考えんでええやん」という声も。そう、公演前に順番が決まったところからすでに戦いは始まっているのです。そしていよいよ開演。喜楽館支配人・ABCアナウンサーの伊藤史隆さんのご挨拶やルール説明があり、客席からも「審査員」として参加されている皆さんの緊張感が伝わってきます。
染吉さん「夏の医者」…昨年も披露した、笑福亭鶴笑さんに教わった爆笑噺。三語さん「青い瞳(め)をした会長さん」…師匠の桂文枝さんの創作落語。呂光さん「代書」…アホの客のデカい声など笑福亭らしさ全開でした。中入りをはさんで愛染さん「地下鉄」…三代目染語楼さんの新作。吉の丞さん「仏師屋盗人」…新作・改作が続いたので古典で行こうと判断して、マクラを振らずに本ネタへ。惣兵衛さん「必殺仕分人」…上司と部下がいるもの・いらないものを仕分けていく自作の新作。
6人の熱演のあと、お客さんが2人に○を付ける喜楽館AWARDならではの採点方法により、1位通過は吉の丞さん、そして2位は染吉さんに決定しました。予選各日2位の中で最も得票率が高い1人が決勝に進める「ワイルドカード」、暫定保持の染吉さんが守り抜けるのか、ここも毎年注目の的となります。ちなみに、この日一番ウケたくだりは惣兵衛さんの「口パク」で、発表時のトークではそれを引用したやりとりが多発し、最後も「エア挨拶」で爆笑の中、お開き。その惣兵衛さんは笑顔の中にも悔しさをむき出しにして、荷物をまとめて早々に帰路に着いた姿が印象的でした。

翌週、9月16日(火)の予選2日目の出場者は桂雀五郎さん(2000年入門)、笑福亭松五さん(2003年入門)、桂三四郎さん(2004年入門)、露の 団姫さん(2005年入門)、笑福亭喬介さん(2005年入門)、露の紫さん(2008年入門)の6人。
この日は順番決めの抽選で一波乱。三四郎さんが1番を引いたのですが、実は去年の予選も決勝も1番を引いていたこともあり、「二度あることは三度ある」となった三四郎さんはまさかのクジ運にガッカリした様子。その一方、舞台袖では三味線の英華さんが紫さんに「あんた今年ラストイヤー?」「師匠、わたし下から二番目なんです」という楽しいやりとりもありつつ開演。
三四郎さん「初天神」…ませた子供が令和の時事ネタも織り交ぜつつ毒を吐き爆笑に。お客さんに「最後まで僕のこと忘れないで下さいね」という一言も。雀五郎さん「世帯念仏」…とぼけた口調のグルーヴでクセになる一席。喬介さん「七度狐」…ハメモノもにぎやかに、ハイトーンボイスとオーバーリアクションで笑いを量産。中入りをはさんで松五さん「書割盗人」…独特のトーンと渋い声で繰り広げる松五ワールドを展開。団姫さん「宗論」…住職でもある団姫さんとクリスチャンの夫という、リアル夫婦を思わせるやりとりで笑わせました。紫さん「手向け茶屋」…某コンテストで酷評されてから賞レースでは封印していた一席を解禁。全力でやりきり爆笑の渦に。
皆さん爆笑に次ぐ爆笑で票数は競りに競り、喜楽館AWARDの予選史上最大の大接戦を制したのは三四郎さん、2位は喬介さん。ワイルドカードは染吉さんがキープするという結果になりました。全力でやりきってすっきりした表情の松五さんの私服が鳥取県境港の酒蔵「千代むずび」のTシャツでほっこりしました。


そして翌日、9月17日(水)、予選3日目の出場者は桂力造さん(2000年入門)、笑福亭鉄瓶さん(2001年入門)、桂三幸さん(2002年入門)、桂咲之輔さん(2007年入門)、桂小鯛さん(2007年入門)、桂治門さん(2008年入門)の6人。別々の楽屋に分かれることなく、全員が1階の楽屋に入り、かなりひりついた空気が漂います。ここまでの緊張感は予選でこの日だけでした。その緊張感をなごませたのは、予選でこの日だけ鳴物として入っていた桂鞠輔さんと桂米輝さん。鞠輔さんがスマホを最寄り駅に停めた自転車のかごに忘れてきたというプチ騒動や、米輝さんの頭が英華さんの足の小指に似ている(?)という雑談で、下座の空気はほんわか。

順番が決まり、各自がハメモノの打ち合わせをするなど牽制し合う中、開演。
咲之輔さん「紙入れ」…露の新治さん仕込みの古典落語にチャットGPTなど現代ギャグでアレンジ。力造さん「兵庫船」…落語家さんの「なにわ探検クルーズ」のマクラから安定の進行。三幸さん「藪入り」…創作派の三幸さんが意外にも古典落語を選択、そして驚きの展開と結末に…。中入りをはさんで治門さん「初音の鼓」…喜楽館AWARD初出場で、上方では珍しいネタを披露。小鯛さん「代書」…最近、桂雀三郎さんに稽古をつけてもらったネタを、独特の高速・勢い・メリハリのあるしゃべりで展開して爆笑に。鉄瓶さん「喧嘩長屋」…稽古をつけてくれた笑福亭鶴志さんから「好きにやったらええがな」と言われたネタを貫禄たっぷりに演じました。
そして結果は1位が小鯛さん、2位が鉄瓶さんに。ここまでワイルドカードを守ってきた染吉さんの得票率を鉄瓶さんが上回り、決勝進出への権利を暫定的に獲得しました。この結果を受け、小鯛さんは「気持ちよくできました」、鉄瓶さんは「あぶなー! 4日目、票数割れろー!笑」とコメント。終演後には一番先輩の力造さんの誘いで、出場者全員で新開地の名物中華料理店・燕楽で打ち上げ。本番前のピリピリした緊張感とは打って変わり、和やかな空気で盛り上がったそうです。

激戦が続いた喜楽館AWARD2025予選もいよいよ最終日。9月22日(月)の出場者は桂佐ん吉さん(2001年入門)、笑福亭呂竹さん(2002年入門)、桂ぽんぽ娘さん(2006年入門)、笑福亭生寿さん(2007年入門)、露の眞さん(2008年入門)、桂團治郎さん(2009年入門)、桂福点さん(2009年入門)の7人。「予選唯一の7人」「初出場の團治郎さん・福点さん」「波乱を呼ぶ女・ぽんぽ娘さん」という要素が絡み合い、今年の予選で最もカオスな一日となりました。喜楽館AWARDの特徴として、普段あまり顔を合わさない噺家さんが一緒になり、チラシの挟み込みという共同作業を行い、そして火花を散らすのですが、出場者の皆さんはそうした雰囲気も楽しんでいるように感じました。
そして泣いても笑っても決勝進出者が決まる予選4日目が開演。
眞さん「瘤弁慶」…袴を着用して気合十分の高座を展開。袖ではライバルの團治郎さんがハメモノで参加。ライバルのSEを手伝うということは落語以外の賞レースでは考えられないことで、「共闘」という言葉がぴったりくるワンシーンでした。福点さん「不精の代参」…全盲の福点さんですが補助無しで舞台の出はけを行い、バリアフリーについてのマクラを振りつつ熱演。佐ん吉さん「堪忍袋」…去年と同じく開口一番「僕、争うの嫌いなんです」と言いつつ、自らの実話も織り交ぜ夫婦の噺で爆笑の渦に。生寿さん「必要以上にツケを使いまくり落語」…桂三実さんの新作落語を、文字通り「ツケ」という効果音を使いまくって観客の度肝を抜きました。ちなみに生寿さん、本番前の舞台袖でツケを担当する呂翔さんに「適当でええよ」と言っていました。中入りをはさんで呂竹さん「蛇香黄丸」(じゃこうおうがん)…堀文四郎さんが書いた新作落語で、呂竹さんの世界観とマッチして不思議な味わいで観客を魅了しました。團治郎さん「替り目」…もともとは「質屋芝居」をやろうとしていたそうですが、ここまでの流れを鑑みて変更。後半になればなるほどネタの選択も難しくなってきます。ぽんぽ娘さん「子はかすがい」…観客も舞台裏も、誰もがピンク落語で来ると思っていたところにまさかのネタ。ぽんぽ娘さんが普段はあまり見せない母親としての一面を見せました。
カオスな7人のネタが終わり、結果は1位が佐ん吉さん、2位が團治郎さん。そしてワイルドカードは鉄瓶さんが死守して決勝進出を決めました。終演後、予選3日目の力造さんに影響を受けたのか、佐ん吉さんが出場者全員を誘って燕楽へ(福点さんは不参加)。自他共に認める「おしゃれ小町」(器が小さい=ケチ)の佐ん吉さんが大盤振る舞いをするほど熱戦の余韻は素晴らしく、心地よいものでした。

このように熱戦ばかりの予選を終え、見事に決勝進出を決めたのは、予選日の登場順で、桂吉の丞さん、桂三四郎さん、桂小鯛さん、桂佐ん吉さん、そしてワイルドカードの笑福亭鉄瓶さんの5人。この5人をはじめ予選に出場されたすべての皆さんの熱演は、ABCラジオ「日曜落語~なみはや亭~」で順次OAしますのでお楽しみに! そして12月7日(日)の決勝戦にもぜひ会場に足をお運びいただくか、生放送を聴きながらの投票にご参加下さい。上方落語の面白さを、そしてこれからの時代を背負って立つ落語家の皆さんにご注目下さい!
レポート 構成作家・米井敬人
「マルエスPresents 神戸新開地・喜楽館AWARD2025」決勝
主 催:神戸新開地・喜楽館/ABCラジオ
特別協賛:株式会社マルエス
協 賛:スミリンケアライフ 神戸信用金庫 和田興産 神戸電鉄 櫻正宗
日 時:12月7日(日)午後6時開演/午後9時終演予定
会 場:神戸新開地・喜楽館(神戸市兵庫区新開地2-4-13)
出 演:笑福亭鉄瓶 桂佐ん吉 桂吉の丞 桂三四郎 桂小鯛 ほか
司 会:伊藤史隆(ABCアナウンサー/神戸新開地・喜楽館 支配人)
料 金:前売/当日とも 4,000円(税込)※チケットは完売しました。
問合せ:神戸新開地・喜楽館 078-335-7088(午前11時~午後5時)
放 送:決勝の模様は、ABCラジオで完全生中継。
決勝では、喜楽館にお集まりのお客様に加えて、ABCラジオで生中継をお聴きのリスナーの皆様にもオンラインで「審査」に参加をしていただく予定です。
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