【ウ侵攻1年】日本企業の16% ロシア事業「撤退」へ 侵攻長期化、「脱ロシア」1年で2倍に増加

日本企業の「ロシア進出」状況調査(2023年2月)

株式会社帝国データバンク

帝国データバンクは、ロシアに進出する日本の主要企業168社の動向について調査・分析を行った。
<調査結果(要旨)>
  1. 「脱ロシア」進出企業の半数で判明 ロシア事業撤退は1割超に上る
  2. 日本のロシア事業撤退、主要先進国で2番目、全世界でも19番目の低さ
  3. 欧米グローバル企業のロ事業撤退、新たな課題も 日本企業の撤退は今後も進むとみられる
※対象は、帝国データバンクが保有する企業データベースに加え、各社の開示情報や報道資料を基に、工場や事業所、駐在員事務所などの設備・施設、直接出資などでロシア国内に関連会社を有するなどの形で、2022年2月時点に進出が判明した上場企業168社
※調査機関:帝国データバンク

「脱ロシア」進出企業の半数で判明 ロシア事業撤退は1割超に上る

ロシアに進出している主要企業  ロシア事業停止・撤退状況ロシアに進出している主要企業  ロシア事業停止・撤退状況

ロシアでのビジネスから撤退=日本企業の「脱ロシア」の動きが低調ながらも進んできた。ウクライナ侵攻直前(2022年2月時点)にロシアへの進出が判明していた国内上場企業168社のうち、2月19日までにロシア事業の停止や制限・撤退を新たに発表・公開した企業は、全体の約半数にあたる79社で判明した。このうち、ロシア事業から事実上の撤退、または撤退計画を明らかにした企業は27社に上り、全体の1割超に達した。撤退企業は22年8月時点まで10社に満たなかったものの、今年2月までの半年間で新たに約20社の撤退が判明した。大手完成車メーカーや関連企業などを中心に、一時的な事業停止措置から完全撤退、事業・現地子会社の売却といった、恒久的な脱ロシア対応へと移行しつつある。いずれも、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化にともない、部品の調達難や現地企業・市場の需要縮小などを理由に挙げたケースが多かった。

一方で、この間に原材料調達のめどが立ったことで現地生産を一部再開させた企業や、受注残などを理由に現地事業を当面継続する企業も少数ながらみられた。

事業停止・撤退動向 内訳事業停止・撤退動向 内訳



日本のロシア事業撤退、主要先進国で2番目、全世界でも19番目の低さ
帝国データバンクが米エール経営大学院の集計をもとに、各国企業の「ロシア事業撤退(Withdrawal)」割合を分析したところ、全世界の主要企業約1600社のうち約3割に当たる約500社がロシア事業から撤退した・または撤退を表明していることが分かった。このうち、日本企業における同割合は先進主要7カ国中2番目に低い水準で、ロシアでの事業展開が10社以上判明した全世界約30カ国の中でも19番目の水準にとどまった。国別にみると、ノルウェー・フィンランドの北欧2国は撤退割合が60%を超えるほか、英国も半数超が撤退した。

全世界約1600社のロシア事業動向全世界約1600社のロシア事業動向

ただ、家庭用食品大手のダノン(仏)がロシア事業の9割に相当する乳製品・植物由来食品の両事業から撤退する意向を明らかにした一方、同じ家庭用品大手の米英企業ではロシア事業について明確な撤退を示していないなど、欧米諸国のグローバル企業でもロシア事業に対する姿勢の違いが鮮明となっている。


欧米グローバル企業のロ事業撤退、新たな課題も 日本企業の撤退は今後も進むとみられる
直接的な対ロ制裁の対象外である日用品分野や製薬分野などでは、欧米のグローバル大手などでもロシアビジネスを続行するケースが多くみられ、脱ロシアを主導してきた欧米企業でも対応に差異がみられる。特に、事業売却先の選定が進まない、ロシア当局からの認可が得られないといった新たな問題も発生しており、ロシアからの事業撤退が容易に進まない実態が見えてきた。

こうした半面、日本企業では大手国内完成車メーカーなどを先頭として現地事業の撤退を決断するケースが昨秋以降に増加している。ロシア事業依存によるレピュテーションリスク以外に、部品調達などサプライチェーンの混乱といった物理的で短期の解決が難しい問題を理由として、日本企業の脱ロシアは「様子見=事業停止」の第一段階から「撤退」へ方針転換を決断する第二段階へ移行していくとみられる。

主要国企業のロシア事業撤退割合主要国企業のロシア事業撤退割合

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会社概要

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業種
サービス業
本社所在地
東京都港区南青山2-5-20
電話番号
03-5775-3000
代表者名
後藤 信夫
上場
未上場
資本金
9000万円
設立
1987年07月