健康行動を阻むのは「お金」じゃない 健康行動実施の鍵は「タイミ ング」と「意識・性格」にあり!?
~インテージヘルスケア、アンケート×ドコモデータを用いた健康行動の分析結果を発表~
株式会社インテージヘルスケア(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:村井啓太)は、「dポイントクラブアンケート(ヘルスケア)」を通じて収集した、ヘルスケアパネル(以下、ドコモヘルスケアパネル)(※1)の全国20~79歳の男女約1,300人を対象に健康行動(※2)の内容、情報源等の実態把握を目的とした自主企画調査を実施しました。
今回はその中から、主に健康行動の実施有無による生活者のインサイトの違いに焦点を当て、本調査結果とドコモデータ(※3)を紐づけて分析した結果をご紹介します。
※1 dポイントクラブアンケート(ヘルスケア)で実施する疾患・症状アンケート回答者群の総称
※2 当社指定の5カテゴリ17項目(食品・飲料サプリメントの摂取、医薬品・医療雑貨、医療・医療サービスの利用、医薬品以外の健康・美容・睡眠機器の利用、運動や運動サービス(ジム、教室など)、食や睡眠の生活習慣の見直し、など)を聴取
※3 ドコモが保有する属性データならびに行動ログデータ
【ポイント】
-
健康行動未実施者の行動を阻むのは「お金」ではなく「時間」「精神・身体面」の負担感
-
加齢の自覚などの「身体症状」や、家族の変化、仕事の節目などの「ライフイベント」を健康上の不安として持つ人ほど健康行動を実施している
-
「健康維持は大事だ」という価値観を持つ人や、自分自身の行動で加齢の変化を緩和できるなどの「自己効力感」が高い人ほど、健康行動を実施している
1.健康行動を阻むのは「お金」ではなく「時間」「精神・身体面」の負担感

健康行動の継続にかかる負担感について金銭、時間、精神・身体の3つを確認しました。その結果、健康行動を実施している人と、していない人とでは「金銭面」の負担感にあまり差がないことが明らかになりました。
健康行動を実施している人では金銭面、時間面、精神・身体面のいずれの負担感も約45%と同水準でした。これに対し、健康行動を実施していない人の「金銭面」の負担感は50.9%にとどまり、実施者と未実施者の差は約6ポイントでした。
一方、未実施者では「時間面」の負担感が67.1%、「精神・身体面」の負担感が68.8%に上り、金銭面の負担感との差は16ポイント以上に達しました。健康行動を始めていない最大の障壁は金銭面でなく、時間・精神面の負担感であることが示唆されます。
では、同じような生活環境の中で行動変容を実現している人には何が違うのでしょうか。
2.健康行動実施者(行動変容)の鍵は「身体症状」「ライフイベント」や、「健康への価値観」「自己効力感」

次に、性別や年齢ではない、健康行動実施者の持っている「価値観」と「意識」に注目しました。
健康行動の実施に関連する要素を明らかにするため、今回の調査結果に加え、ドコモヘルスケアパネルの保有するデータと紐づけて分析しました。その結果、性別・年齢に加えて4つの要素が健康行動の実施に影響していることがわかりました(※4)。
※4 多変量ロジスティック回帰分析(性別・年齢・就労状況・配偶者の有無・世帯年収を調整)分析。周辺標準化によるリスク比(RR)にて比較
健康行動実施者に影響を与えている4つの要素
■健康上の不安 「身体症状」、「ライフイベント」
■健康への価値観 「健康は大事だ」という価値観、「自己効力感」
まずは健康行動を実施している人の「健康上の不安」への回答に注目します。加齢の自覚、健康診断の悪化などの「身体症状」や、家族の変化、仕事の節目などの「ライフイベント」を動機に健康でいたいと感じた人は、そうでない人に比べて健康行動を実施している割合が有意に高くなっています(リスク比(RR)、p<0.001)。次に、健康行動を実施している人の健康への価値観を確認すると、「健康維持は大事だ」という価値観や、自分の行動で加齢の変化を緩和できるなどの「自己効力感」を持つ人ほど健康行動を実施している割合が有意に高くなっています(リスク比(RR)、p<0.001)。
この結果より、健康行動の実施は、自分自身の変化や、健康診断の結果といった身体に直接的な影響がある動機に加え、人生の節目などの「ライフイベント」に伴う「健康的でいたい」という前向きな意識も関連があることが示唆されました。
これにより、健康行動を促すには、単に知識を与えるだけでなく、人生の節目(ライフイベント)に合わせた適切なアプローチに加え、社会的な「健康」の意義の訴求や当事者の「自分でも変えられる」という自信(自己効力感)を高める働きかけが有効であることが考えられます。
3.「開放性」と「誠実性」が高い人ほど健康行動を実施

次に、健康行動についてドコモが持つ行動ログデータから推定された“Big-Five”理論(※5)にもとづいたパーソナリティを用いて分析を行いました。「開放性」(知的好奇心が強い・新しいもの好き)および「誠実性」(真面目・自制心が高い・計画性がある)のスコアが高い人ほど、健康行動を実施している傾向が確認されました(※6)。
これまでの結果や、行動ログ、性格スコアの分析結果を用い、健康行動を実施する人のペルソナ像を構築しました。
※5 人間の性格は開放性、誠実性、外向性、協調性、神経質傾向の5つの性格特性因子から構成されるとする心理分析理論
※6 性別・年齢等を調整した多変量ロジスティック回帰解析において、開放性・誠実性スコアと健康行動実施との正の関連が統計的に有意(開放性:スコア1SD高いとOR≈1.7、誠実性:同OR≈1.3、いずれもp<0.05。SDは標準偏差、ORはオッズ比。)

また、ドコモが登録属性として保有している性別・年齢のみを基準とした場合と比較して、この性格スコア(Big Five)を追加することで、健康行動を実施する人を識別する精度(識別力:AUC)(※7)が向上することが確認されました。これにより、従来の人口統計学的属性(デモグラフィック)だけでは捉えきれなかった、生活者の性格傾向という精神的側面が行動変容に影響を与えていることがデータとして実証されました。
※7 識別力:AUC 統計的な判別能力を数値化したもの。0〜1で表され、0.5がランダムな識別と同等の水準、1に近いほど識別力が高いことを意味する
【考察】
本調査、分析結果から、健康行動を阻む最大の要因は「お金(金銭的な負担)」ではなく、「時間や精神的な余裕の不足」であることが浮き彫りになりました。健康行動の未実施者に対して、単に低価格なサービスや経済的なインセンティブを提供するだけでは、健康行動を促す解決策としては不十分である可能性を示唆しています。
今後のヘルスケアマーケティングや患者・生活者支援においては、年齢や性別、疾患の有無といった「一般的な属性」だけでセグメントを区切るのではなく、「今、人生のどの節目(タイミング)にいるのか」、そして「どのような価値観や性格(ペルソナ)を持っているのか」という精神的な側面までを統合した、よりパーソナライズされたコミュニケーション設計が求められます。
また、本調査では健康行動実施のきっかけとなった情報源も聴取しており、それぞれの健康行動のタイプ別に情報源の特色が見られました。美容・ヘルスケア商品などの「モノ」が中心の場合ではSNS、ジムやランニング、食習慣・睡眠習慣などの「行動」が中心の場合にはYouTubeなどの動画サイトを情報源にしている割合が高い傾向にありました。これにより、関心のある領域ごとに親和性の高い適切なメディアを組み合わせることで、実行性の高いアプローチへ繋げていくことが重要であるという示唆も得られています。
マーケティング&バリューインサイト事業部 シナジー推進室 シニアアナリスト 谷口 絵里香
■健康行動に関する自主企画調査概要
|
調査名 |
健康行動に関する自主企画調査 |
|
調査目的 |
生活者の健康行動に関する実施内容、情報源等の実態把握 |
|
調査対象 |
dポイントクラブアンケート(ヘルスケア)パネル 全国の20~79歳の男女 1,309人 |
|
調査実施時期 |
2026年5月14日~21日 |
|
調査手法 |
インターネット調査 |
|
調査主体 |
株式会社インテージヘルスケア |
【株式会社インテージヘルスケア】 https://www.intage-healthcare.co.jp/
株式会社インテージヘルスケアは、医療・ヘルスケア領域のマーケティングリサーチとデータサイエンスサービスをコアビジネスと位置付けています。インテージグループのヘルスケア領域を担う各社※と一体となり、データ分析・活用によるソリューションを提供。ヘルスケア領域のあらゆる課題に対して、「医療消費者」起点のデータの価値化による、最適な意思決定をサポートしていきます。
※ 株式会社協和企画、株式会社プラメド、Plamed Korea Co., Ltd.
【本調査に関するお問い合わせ先】
■株式会社インテージヘルスケア
谷口(たにぐち)、宮坂(みやさか)
TEL:03-5294-8393(代)
【報道関係のお問い合わせ先】
■株式会社インテージヘルスケア
経営企画部
広報担当 深谷(ふかや)
TEL:03-5294-8393(代)
E-mail:pr-ihc@intage.com
すべての画像
- 種類
- 調査レポート
- ビジネスカテゴリ
- マーケティング・リサーチ
- ダウンロード
- プレスリリース素材
このプレスリリース内で使われている画像ファイルがダウンロードできます