三菱総合研究所と日立、特別高圧帯の系統用蓄電池事業者向けに電力トレーディング高度化支援のサービス提供における協業開始
計画最適化から市場取引までの業務を一気通貫で支援し、収益性と事業拡張性の向上を後押し

株式会社三菱総合研究所(以下、MRI)と株式会社日立製作所(以下、日立)は、新規参入を含む特別高圧帯の系統用蓄電池事業者に向けて、電力トレーディングの高度化を支援するサービスの提供をめざし、8月25日に、サービスの提供に向けた協力体制の構築に関する覚書(MoU)を締結しました。MRIが提供する分散型エネルギーリソース運用支援サービス「MERSOL(MRI Energy Resource Solution)」と日立が開発中の電力トレーディングシステムを組み合わせ、「電力トレーディングサービス」(以下、本サービス)*1として両社がそれぞれ提供する体制を構築します。
MERSOLによる入札計画最適化と、電力トレーディングシステムによる市場取引支援を連携させることで、蓄電池の入札計画の自動立案から市場取引までを一体的に支援します。これにより、事業者は、アグリゲーター*2に委託していた高度なトレーディング業務の一部を自社で担いやすくなり、業務効率化、収益機会の拡大、複数蓄電所への展開を図ることができます。このような取り組みを通じ、両社は、系統用蓄電池事業の収益性と事業拡張性の向上に貢献します。
*1 2027年度に提供開始予定
*2 アグリゲーター:複数の分散型エネルギーリソースを束ねて統合制御し、電力の調整や市場取引などのサービスを代行する事業者
■背景
日本政府が掲げる2050年カーボンニュートラルの実現に向け、再生可能エネルギー(以下、再エネ)の導入が拡大する一方、発電量の変動に対応した需給調整が課題となっています。こうした中、余剰電力を充電し不足時に放電する系統用蓄電池は、再エネのさらなる導入拡大を支える重要なリソースです。
系統用蓄電池事業においては、JEPX(日本卸電力取引所)*3や需給調整市場*4など複数の市場・商品を組み合わせたトレーディングにより収益を確保することが重要です。こうした運用を自社で行うには、将来の市場価格を予測し、収益を最大化する入札計画の策定や、電気事業法や市場規則に則った計画の提出など、専門性の高いオペレーションが求められます。このため、特に新規参入事業者を中心に、アグリゲーターに委託するケースがある一方、運用ノウハウの蓄積、委託コストの低減、意思決定の迅速化を目的に、トレーディング内製化のニーズも高まっています。
こうした背景のもと、MRIは、長年にわたる電力市場の分析や制度設計に関わる知見を生かし、独自のアルゴリズムで蓄電池の最適な運用計画を立案するMERSOLサービスを開発・提供してきました。また、日立は、新たな成長事業を創出する戦略SIBビジネスユニットのリードのもと、電力分野で培ってきたIT、OT(制御・運用技術)の技術・ノウハウを基盤に、入札計画に基づく市場取引から、OCCTO(電力広域的運営推進機関)*5への系統利用計画提出まで、煩雑なトレーディング業務を効率化・高度化する電力トレーディングシステムの開発を進めています*6。
*3 JEPX:日本で唯一電力の卸取引ができる市場
*4 需給調整市場:一般送配電事業者が、電力の需要と供給のバランスを維持させるために必要な調整力(電力)を調達する市場
*5 OCCTO:日本全国の電力需給の調整や、送配電網の広域的な運用を推進・統括する認可法人
*6 本システムは、外部の計画最適化サービスとの連携を可能とする柔軟な構成としており、顧客ニーズに応じたサービス連携にも個別に対応します
■協業内容と提供価値
本協業では、MRIのMERSOLと日立の電力トレーディングシステムの連携を通じて、入札計画策定から市場取引・現場への制御指令に至るトレーディング業務の、一連のプロセスを効率的に実行する仕組みの構築をめざします。具体的には、MERSOLが市場価格予測(需給調整市場を含む)などを踏まえて算出した入札計画に基づき、電力トレーディングシステムが市場への入札業務を支援するほか、約定*7結果に基づきOCCTOへ提出する計画を自動生成・提出することで顧客業務を支援します。
これらのサービスを一体的に提供することで、事業者に対して主に以下の2つの価値を提供します。
1.収益性の向上
市場価格の予測と最適な入札計画に基づいた電力トレーディングを行うことで、安定的な収益の獲得や収益機会の拡大を支援します。また、システムによる業務支援を通じて、事業者が自らトレーディングを行う運用体制への移行を後押しします。これにより、外部への委託手数料などのコストを削減するとともに、自社に運用ノウハウを蓄積して意思決定の迅速化を図ることで、収益機会を自社で捉えることが可能となります。結果として、運用の高度化を実現し、事業運営全体の競争力向上に寄与します。
2.事業拡張性の向上
共通化されたシステム構成により、案件ごとに一から仕組みを作ることなく、複数案件への展開を容易にします。特に、系統用蓄電池事業に新規参入する事業者においても、計画策定や運用業務の多くをシステムで自動化・効率化することで、自社でのトレーディングを実現可能とします。これにより、少数の担当者でも複数の蓄電所運用を管理できる体制の構築を支援するとともに、業務の属人化を排除し、特定の人材やノウハウに依存しない運用を可能とします。その結果、蓄電所を新設する場合でも安定した運用を維持しながら柔軟かつ継続的な事業拡張性の向上に貢献します。
*7 約定:買い手と売り手の間で価格が合意され、取引が成立すること
■今後の展開
2027年度以降、MRIおよび日立は、本サービスを両社から提供できる体制を構築します。また、両社はそれぞれのサービス(MERSOLおよび電力トレーディングシステム)を単体でも相互に提案・提供できる協力体制を構築します。本協業を通じて系統用蓄電池ビジネスの普及・拡大を強力に後押しし、持続可能なカーボンニュートラル社会の実現に貢献していきます。
MRIは今後もMERSOLサービスに電力市場の変化や制度変更をタイムリーに反映し、MERSOL事業を通じて蓄電池事業の収益性改善・予見性向上に貢献します。
日立は、蓄電池領域で培ってきたIT、OTの連携ノウハウを拡張し、データセンターをはじめとするさまざまな需要家と電力市場をシームレスにつなぎ、次世代のGX(グリーントランスフォーメーション)を支えるエネルギー基盤の構築をめざします。
■MERSOLについて
■日立のグリーントランスフォーメーションの取り組みについて
https://www.hitachi.co.jp/products/it/gx_business/?nr=260827
■商標注記
記載の会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。
■Hitachi Social Innovation Forum 2026 JAPANでの紹介について
本サービスは、日立が2026年9月3日(木)~4日(金)に開催する「Hitachi Social Innovation Forum 2026 JAPAN」において、ご覧いただけます。
展示会場の「EX32: 導入計画から運用までフルターンキーで支える系統用蓄電池ソリューション」にてご紹介する予定です。詳しくは、公式サイト(https://www.service.event.hitachi/regist/)をご覧ください。
三菱総合研究所について
株式会社三菱総合研究所は総合シンクタンクとして、高い専門性、知見やノウハウを結集し、社会の複雑で多様な課題解決を通じた価値の提供に努めています。エネルギー分野では、政府や地方自治体、業界団体、民間企業に対する豊富な調査・分析・コンサルティング実績を有しています。豊かで持続可能な未来の共創を使命として、世界とともにあるべき未来を問い続け、社会課題を解決し、社会の変革を先駆けます。詳しくは、https://www.mri.co.jp/をご覧ください。
日立製作所について
日立は、IT、OT(制御・運用技術)、プロダクトを活用した社会イノベーション事業(SIB)を通じて、社会インフラをデジタルで革新し続けるグローバルリーダーをめざし、環境・幸福・経済成長が調和するハーモナイズドソサエティの実現に貢献します。デジタルシステム&サービス、エナジー、モビリティ、コネクティブインダストリーズの4セクターに加え、新たな成長事業を創出する戦略SIBビジネスユニットの事業体制でグローバルに事業を展開し、Lumadaをコアとしてデータから価値を創出することで、お客さまと社会の課題を解決します。2025年度(2026年3月期)売上収益は10兆5,867億円、2026年3月末時点で連結子会社は606社、全世界で約29万人の従業員を擁しています。詳しくは、www.hitachi.com/ja-jp/をご覧ください。
お問い合わせ先
株式会社三菱総合研究所
エネルギー・サステナビリティ事業部門
新事業開発センター
[担当:杉谷、小川]
mersol-contact@mri.co.jp
株式会社日立製作所
デジタルサービスビジネスユニット インフラ制御システム事業部
発電・送変電制御システム本部 送変電制御システム設計部
[担当:野村、安藤]
https://www8.hitachi.co.jp/inquiry/control/jp/main/form.jsp?UM_QNo=1
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