【法政大学キャリアデザイン学部 田中研之輔教授とITエンジニア1,000名を対象に共同調査を実施】
テレワークを経験したITエンジニアの75%が今後もテレワークを希望。コロナ禍で最重視されるサブスキルは「コンサルティング能力」
人財サービスのグローバルリーダーであるアデコグループのグループ会社で、IT・R&Dおよびコンサルティング領域のエンジニア派遣事業ブランドModis VSNを展開する株式会社VSN(本社: 東京都港区、代表取締役社長: 川崎 健一郎)は、法政大学キャリアデザイン学部の田中研之輔教授と共同で「コロナ禍における働き方に関する意識調査」を実施し、ITエンジニア1,000名から回答を得ました。
【調査結果概要】
1)テレワークを週1日以上実施したエンジニアの75%は今後もテレワークを実施したいと回答
「コロナ禍でテレワークを実施したエンジニアの大半が、今後もテレワークを望んでいることが明らかになった。
一方で、テレワークを週1日未満の実施にとどまったエンジニアでは、約80%がテレワークを希望しないと回答。
2)企業規模に比例してテレワークの実施率が高い
従業員1,000名以上の企業のテレワーク実施率は、従業員1~50名の企業の2倍以上となり、企業規模が小さいほど、テレワークの実施ができていないことがわかった。
3)テレワークのメリット1位は「通勤しなくて良いから」
「通勤しなくて良いから」が65%となり、他の選択肢と比較して2倍以上多い結果となった。
4)テレワークのデメリット1位は「チームでのコミュニケーションがとりづらい」
メンバーとの意思疎通についての課題のほかに、「仕事とプライベートの切り替え」「自身の業務管理」など
自己マネジメント面での課題が高い割合となった。
5)最も対面コミュニケーションが毎日必要だと感じているのは「テレワークを実施していないエンジニア」
テレワークを実施していない(週0日)エンジニアの34.6%が、対面コミュニケーションを「毎日必要」と
回答しており、テレワーク週1日以上のエンジニアと比較して、顕著に高い水準となった。
6)Withコロナ時代に取り入れたい働き方(ワークプレイス)1位は「好きな場所(国内)に住んで仕事がしたい」
「国内の好きな場所」(42.6%)、「必要な時以外は会社以外の場所」(33.9%)、「自宅」(33.5%)の順に割合が高くなり、テレワークの意向が高い。
7)Withコロナ時代に取り入れたい働き方1位は「仕事とプライベートのバランスを重視する『ワーク・ライフ・バランス型』」
「一つの企業に長期間属する働き方(組織内キャリア型)」(20.9%)よりも、複業や副業への関心が
高まっていることがわかる結果となった。
8)コロナ禍を境に最も必要とされたサブスキルは「コンサルティング能力」
20代のエンジニアにおいては「コンサルティング能力」と答えた割合がコロナ前後で比較し1.5倍に増大した。
【調査結果詳細】
1.テレワークを週1日以上実施したエンジニアの75%は、今後もテレワークを実施したいと回答。テレワークを実施しなかったエンジニアの約3.5倍
エンジニア1,000人に「今後もテレワークを継続したいか」という質問に対し、1週間あたりのテレワークを実施回数ごとに集計したところ、週1日のテレワークを実施したエンジニアの66%、週4日では84.5%のエンジニアが、テレワークの継続を望むという結果が出ました。また、「週1日以上テレワークを実施したエンジニア」と「週1日未満テレワークを実施したエンジニア」で比較したところ、コロナ禍でテレワークを実施したエンジニアの大半が、今後もテレワークを望んでいるということが明らかになりました。
(田中教授コメント)
前提としてテレワーク実施者と、テレワーク非実施者との二極化がみられます。テレワーク実施者は今後もテレワークを希望しています。興味深いのは、「週4日」と「週5日以上」のテレワーク意向率を比較すると、「週5日以上」は75.2%と継続希望の割合が「週4日」よりも9.3%低くなる点です。週に1日程度は、オフィスでのワークを望んでいるということが伺えます。
テレワーク非実施者については、テレワークでの働き方やメリットを現段階では経験できていないという点も考慮する必要があります。企業側はテレワークの導入に踏み込めない理由が、業種特性なのか、雇用形態なのか、人事施策なのか、原因を分析する必要があります。その上で、まずは、週1日でのテレワークをプレ的に運用してみるのもいいでしょう。
2.企業規模に比例して、テレワークの実施率が高くなることが判明。従業員1,000名以上の企業のテレワーク実施率は、従業員1~50名の企業の2倍以上
企業規模別にテレワークの実施率を比較したところ、「週0日(1日未満)」の割合が1,000名以上で37.6%、500名~1,000名未満で46.9%、100名以上~500名未満で53.8%、50名以上~100名未満で61.1%、1名~50名未満で75.6%と、企業規模が小さくなるにつれ、実施率が低くなることがわかりました。
(田中教授コメント)
テレワークの実施は、企業規模別に大きな差が見られます。特に、従業員数1,000名以上の企業では、62.4%が週1日以上のテレワークを導入しています。注目すべき点は、50名未満の企業でのテレワークの導入割合が顕著に低いことです。小規模での事業体は、従業員が複数の職務を兼務しながら勤務している傾向があります。また、日頃からワンフロアに全員が顔をあわせる形で勤務しています。対面で全体が見渡せるワークコンディションに慣れていると言えます。
しかしながら、長期化するコロナ禍での感染リスクの回避は、小規模事業体でも徹底されなければなりません。また、より柔軟で多様な働き方にシフトしていくために、コロナ以前から政府はテレワークを推奨しています。現段階では、低い割合となっている小規模事業体でのテレワークの積極的な導入に期待をしています。
3.テレワークのメリット1位は「通勤が不要になること」
テレワークのメリットを尋ねる設問では、「通勤不要」が65.1%を占めています。次に、「時間配分の自由度の高さ」が24.7%、「プライベート時間の充実」が24.0%と上位を占めました。
(田中教授コメント)
テレワークにより、時間の使い方を自分自身で調整できる点にメリットが集中していることが伺えます。特に、エンジニアという専門職の特性として指摘できるのが、オフィスでの仕事とテレワークでの仕事の業務均一性です。オフィスでもテレワークでも同じように遜色なく仕事がすることが可能です。また、テレワークでは、通勤時間がなくなることで生まれる可処分時間の有効利用で、プライベートも充実させることができていると考えられます。
これまでの職住分離の勤務形態では、プライベートな事柄がオフィス勤務の犠牲になることも少なくありませんでした。
個人の趣味や自己投資のみならず、子育てや家庭のことを蔑ろにしてきたと感じている人も数多くいます。テレワークだからこそ可能な柔軟な対応や、有効時間の活用によって、ワークとライフがより良いバランスがとれるようになる。そのことを推察させる結果が出ていると言えます。
4.テレワークのデメリット1位は「チームでのコミュニケーションがとりづらい」
テレワークのデメリットについては、「チームでのコミュニケーション」(31.6%)、「他部署とのコミュニケーション」(22.3%)といった他者との意思疎通についての課題のほかに、「仕事とプライベートの切り替え」「自身の業務管理」など自己マネジメント面での課題が割合として高くなりました。
(田中教授コメント)
前問での、テレワークのメリットとしてみた「通勤不要」の65.1%と比較すると、デメリット1位の「チームでのコミュニケーション」の割合が低いです。テレワークで難点となりそうな、勤務時間や人事評価については、これまでのところ、大きなデメリットとして感じられていないことも伺えます。さらに、「長時間労働になる」が8.0%、「評価に不安や疑問」が7.1%、と低い割合になっていることも注目すべき点です。勤怠管理や人事評価については、今後人事部でマネジメント施策を現状に柔軟に適合させて行くことで改善できるといえます。
5.最も対面コミュニケーションが毎日必要だと感じているのは「テレワークを実施していない(週0日)エンジニア」
対面でのコミュニケーションの必要性については、週1-2回は必要と感じているエンジニアが大半を占める結果となりました。ただし、テレワークの実施頻度で比較すると、実施していない(週0日)エンジニアの34.6%が、対面コミュニケーションを毎日必要と回答しており、テレワーク週1日以上のエンジニアと比較すると顕著に高い結果となりました。
(田中教授コメント)
対面でのコミュニケーションについては、長期化するコロナ禍で、企業の組織的取り組みとしても、早急に対応が求められています。政府からも在宅7割の徹底が要請されていることも考慮すると、対面でのコミュニケーションがなくても、エンジニアの仕事は支障なく実施できるという新たな経験が求められるといえます。週1日でもテレワークを実施することで、対面でのコミュニケーションありきのワークスタイルからシフトできるようにすることも必要だといえます。
6.Withコロナ時代に取り入れたい働き方(ワークプレイス)1位は「好きな場所(国内)に住んで仕事がしたい」
Withコロナ時に取り入れたい働き方(ワークプレイス)についての設問については、「国内の好きな場所」(42.6%)、「必要な時以外は会社以外の場所」(33.9%)、「自宅」(33.5%)の順に割合が高くなりました。
(田中教授コメント)
テレワークはオフィスへの通勤「時間」の無駄を省くとともに、オフィス内という「空間」的制約も必要がなくなります。本人にとって望ましい環境で働くことで、ビジネスパフォーマンスの向上や組織としての生産性の向上にもつながると考えられます。一方で「決まったオフィスに出社したい」という回答は、20.3%と低い割合になっています。テレワークの導入は、コロナ前から推奨されていたものの、今回のコロナによって一気に進展しています。働く場所を自ら選択するという新たな働き方も今後さらに推進されることになるでしょう。
7.Withコロナ時代に取り入れたい働き方1位は「仕事とプライベートのバランスを重視するワーク・ライフ・バランス型」
Withコロナ時代の働き方について、「仕事とプライベートのバランスを重視する(ワーク・ライフ・バランス型」(27.1%)が1番多い結果となりました。続いて、「本業となる企業に属しながら副業(サブ的な仕事)もする働き方(副業型)」が24.9%、「一つの企業に長期間属する働き方(組織内キャリア型)」が20.9%と続きました。
(田中教授コメント)
コロナ禍の働き方として期待していることは2点挙げられます。まずは「仕事とプライベートのバランスを重視する(ワーク・ライフ・バランス型)」(27.1%)の働き方です。前問のワークプレイスとして「自宅」(33.5%)を希望するエンジニアは、従来のオフィスでの働き方よりも、ワークとプライベートライフのバランスをとることができます。
もう1点は、「複数の企業や仕事に従事する(パラレルワーク・フリーランス型)」(13.6%)と、「本業と副業を行う(副業型)」(24.9%)も取り入れたい働き方として期待されています。これらの働き方は、テレワークの推進により、より一層可能になるといえます。調査結果で、「一つの企業に長期間属する働き方(組織内キャリア型)(20.9%)よりも、複業や副業への関心が高い点は、注目に値します。これまで一つの組織にキャリアを預ける働き方が良しとされてきましたが、コロナ禍で浸透したテレワークによって、自らキャリアを形成する「キャリア自律型」の働き方が、今後、さらに重視されるようになると推測されます。
8.コロナ禍を境に最も必要とされるサブスキルは「コンサルティング能力」。20代のエンジニアにおいては、「コンサルティング能力」と答えた割合がコロナ後に1.5倍に
エンジニアが技術力以外に習得する必要のある能力は何かと思うかコロナ前後でそれぞれ回答を得ました。その結果、全年代で平均したところ「コンサルティング能力」と答えた割合が6%アップするなど、コロナ禍を境にエンジニアとして求められる能力の変化を確認できる結果となりました。
(田中教授コメント)
コロナ前後での「変化」には、非常に興味深い示唆が得られました。特に20代のエンジニアは、「自ら課題を見つけ解決策を提案できるコンサルティング能力」について、コロナ前は21.4%であるのに対して、コロナ後には35.7%と、14.3%も割合が向上しています。コロナ前の働き方では、「ファシリテーション力」や「マネジメント力」も高く求められていましたが、コロナ後は、「個の力」を高め、自ら課題を見つけ、解決まで導ける能力が求められていくといえます。
コロナ前後の「変化」から洞察できるのは、集団調整型のコーディネーション能力から、個人成果型のセルフパフォーマンス能力への移行であるといえます。テレワークを通じて、エンジニアの能力開発支援に重点を置いた組織的取り組みや人事マネジメントが求められていることが伺えます。
【Modis VSNの見解】
今回の調査により、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大という未曾有の事態に直面するなか、多くのエンジニアが「コンサルティング力」の重要性について意識が高まっていることがわかりました。今回の新型コロナに象徴されるように、予測不能な事象やリスクが次々に生じるVUCAの時代といわれる現在、エンジニアは与えられた仕事をこなすだけではなく、自ら課題を発見し改善に向けた提案、活動を行うことが求められています。この潮流は今後一層強まり、あらゆる分野で課題解決力・コンサルティング力を持った人財が必要になってくると考えています。
弊社では、企業の潜在的な課題解決を現場のエンジニアが行う「バリューチェーン・イノベーター」というコンサルティング力と技術力を備えた問題解決サービスを提供しており、課題解決力・コンサルティング力の育成を目的とした独自の教育研修を行っています。座学だけではなく、日々の業務のなかで経営視点でのアプローチと、現場での問題収集や業務遂行能力を鍛えることで、技術のトレンドに左右されることなく長く現場で必要とされるエンジニアの育成へと繋がると考えています。
【田中教授の調査結果への総括】
今回の調査結果では、コロナ禍前後に働き方の実態や意識において大きな変化が生じていることが明らかになりました。エンジニアという職種の特性もあり、テレワークの推進と導入はポジティブなシフトとして受け入れられていると捉えることができます。キャリア論の専門家として私が想定している以上に、テレワークの導入が円滑に進んでいる実態が浮かび上がってきたことに大きな期待をもちました。長期化するコロナ禍でも、組織の生産性を低下させることなくビジネスを継続させるため、テレワークを主体とした新たな働き方は、ニューノーマル時代の具体的な解決策であるとも言えます。
また、若い世代のITエンジニアが今後身に付けたいサブスキルとして、個人で課題を解決する「コンサルティング能力」を重視している点も特筆に値します。「人生100年時代」を迎え、私たちはこれまで以上に、変化に適合しながら、長い期間働き続けていかなければなりません。一つの組織にキャリアを預けていては、変化に対応することができないのです。今回の新型コロナで学ぶべきは、ビジネスパーソンとしての個人の柔軟性がいかに大切であるかということです。組織の変化に全てを委ねるのではなく、自ら問題を発見し、課題を解決していくキャリア自律型の働き方へのニーズが以前よりも高まっています。、
歴史的困難であるコロナ禍の今、企業は、従業員にとってより良い働き方の実現にむけての、テレワーク型ワークスタイルの積極的な導入とそれに必要な人事マネジメントの再構築に取り組んでいかなければなりません。
そして、ビジネスパーソン個人としては、「組織から個人へ」、「オフィスからテレワークへ」といった<外側の変化>に翻弄されるのではなく、この歴史的転換期に、たとえば、「コンサルティング能力」を丹念に磨き、自ら主体的にキャリア開発をおこなっていくという<内側からの変革>が今、まさに求められているのです。
<田中教授プロフィール>
田中研之輔 たなか・けんのすけ/法政大学 教授/一般社団法人プロティアン・キャリア協会 代表理事/UC. Berkeley元客員研究員 University of Melbourne元客員研究員 日本学術振興会特別研究員SPD 東京大学 /博士:社会学。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。 専門はキャリア論、組織論。著書25冊。『辞める研修 辞めない研修–新人育成の組織エスノグラフィー』『先生は教えてくれない就活のトリセツ』『ルポ不法移民』『丼家の経営』『都市に刻む軌跡』『走らないトヨタ』、訳書に『ボディ&ソウル』『ストリートのコード』など。ソフトバンクアカデミア外部一期生。専門社会調査士。新刊『プロティアン―70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本論』。最新刊に『ビジトレ−今日から始めるミドルシニアのキャリア開発』 日経ビジネス 日経STYLE他メディア多数連載。社外取締役・社外顧問を19社歴任。
【調査概要】
調査方法 : インターネット調査
調査地域 : 全国
調査期間 : 2020年7月21日(火)~2020年7月23日(木)
調査対象 : 20代~60代以上の正社員エンジニア 男女 計1,000人
※回答結果は、小数点以下第2位を四捨五入して算出しているため、各回答の合計が100%にならない場合があります。
■株式会社VSNについて
株式会社VSNは、人財サービスのグローバルリーダーであるアデコグループの一員で、IT・R&Dおよびコンサルティング領域のエンジニア派遣事業ブランドModis VSNを展開しています。全国に4,500名以上の正社員エンジニアを擁し、取引先企業へ対して高い技術力と幅広い経験を生かし、課題解決に貢献しています。また、VSNエンジニアが経営と現場、両方の視点からお客様の本質的な事業課題を解決する独自サービスである「バリューチェーン・イノベーター」により、企業の生産性向上を支援しています。
【VSNウェブサイト】 https://www.vsn.co.jp/
【Modis VSNについて】 https://www.vsn.co.jp/modisvsn/
【バリューチェーン・イノベーター」について】 https://www.vsn.co.jp/service/vi.html
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