日本IBMと東京海上日動あんしん生命保険、生成AIを活用した「お客様の声」の分類・分析の高度化を実現
業務プロセスの効率化やサービス品質の向上に向けてIBM watsonxを活用し、2025年3月31日以降本格的に導入を開始

日本アイ・ビー・エム株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:山口 明夫、以下:日本IBM)は、東京海上日動あんしん生命保険株式会社(本社:東京都千代田区、取締役社長:川本 哲文、以下:東京海上日動あんしん生命保険)と、業務プロセスの効率化やサービス品質の向上の実現に向け、生成AIを活用した「お客様の声」の分類・分析モデルを新たに開発しました。開発に際し両社が昨年実施した2段階の実証実験を経て、東京海上日動あんしん生命保険は2025年3月31日以降、本モデルを本格的に導入し、コールセンターや会社ホームページなどへ寄せられるご要望やご不満などの分類・分析を高度化することで、より一層のお客様へのサービス品質の向上を目指していきます。
◾️背景
近年、社会環境の変化のスピードが加速し不確実性が高まる中で、お客様のニーズもより多様化、および拡大しています。そのような中、今後はお客様の要望や期待値をさらに高い解像度で捉え、迅速に商品・サービスやビジネスプロセスに反映させる重要性が高まっています。
東京海上日動あんしん生命保険では、コールセンターや会社ホームページ、営業店等に寄せられる年間18,000件におよぶ「お客様の声」を「お客様本位の業務運営」に活用してきました※1。これまで東京海上日動あんしん生命保険に寄せられた「お客様の声」は、社員が毎日内容を確認し、手作業で分類を行い、業務改善やサービス品質の向上に活かしていました。一方で、手作業による作業時間の増加や人的判断に伴う分類のばらつき、重要キーワードの抽出等に課題がありました。
一方、日本IBMはお客様の共創パートナーとして、IBM watsonxをはじめとするAIなどの先進技術の提供を通じ、ビジネスへのAI適用やデジタル変革の支援を推進しています。保険業界のお客様においては、50年以上の長きにわたってIT化を支援し、契約管理や代理店連携、保険金支払いなどといったシステムの高度化を推進してきました。
◾️取り組みの概要
こうした背景の下、東京海上日動あんしん生命保険と日本IBMは、属人化の解消などといった業務プロセスの効率化や更なるサービス品質の向上の実現に向け、生成AIを活用した「お客様の声」の分類・分析モデルの開発を目指し、2段階にわたる実証実験を行いました。
まず第1段階の実証実験では2024年7月から約2か月間、ビジネスのためのAIやデータのプラットフォームであるIBM watsonxの主要コンポーネントのwatsonx.aiを採用し、自然言語検索や生成AI技術と、情報検索技術(RAG:Retrieval-Augmented Generation)を組み合わせたデータサイエンス手法を用いて、「お客様の声」の分類・分析の実証実験を行いました。具体的には、複数のご不満が含まれる電話内容を基にした「お客様の声」データのメモから、分類候補となりうる分類結果を分類根拠とともに示すことで、分類・分析業務の迅速化や優先度の明確化、観点の標準化を目指しました。その結果、生成AIを活用することによる正確かつ平準的な分類や、担当者の作業時間の大幅削減による負荷軽減が実証されました。
続いて第2段階の実証実験では2024年10月から約2ヵ月間、重要キーワードの正確な抽出や、キーワードを基にした関連性を可視化する機能、「お客様の声」の多角的な分類、ハッシュタグを自動生成・分類する仕組みなどについて実証実験を行いました。その結果、「お客様の声」の内容やトレンドを即時に把握できるようになり、分析の迅速化・高度化が実現しました。

上記の実証実験において、本モデルを活用したソリューションの有効性が実証されたことから、東京海上日動あんしん生命保険は、2025年3月31日より、まず第1段階の実証実験を経たモデルの本格的な導入を開始します。なお、個人情報を含むデータは、データ取得時の利用目的に基づき利活用するほか、保険業界が扱う個人情報を保守するためにも、高い安全性を備えたIBM Cloud上で構築します。
また2025年度以降は、第2段階の実証実験を経たモデルも本格導入するとともに、「お客様の声」を契約データ等と組み合わせ、お客様の属性や商品種類ごとにより詳細な分析を行う等、活用範囲を拡大する予定です。
◾️展望
日本IBMは今後も先進技術の提供を通じ、東京海上日動あんしん生命保険が掲げる「お客様本位の業務運営」の推進を支援していきます。
※1 「お客様の声」に基づき開発・改善した主な具体例 | 東京海上日動あんしん生命保険 (tmn-anshin.co.jp)
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