スーダン: 戦闘激化で多くの民間人が死傷──医療従事者と患者の保護を要請
スーダンでは首都ハルツームなど国内各地で4月15日以降、スーダン軍(SAF)と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」の激しい戦闘が続いている。国境なき医師団(MSF)は、北ダルフールのエル・ファシールにある支援先の病院で、戦闘発生から72時間で合計183人の負傷者を受け入れたが、うち25人は死亡した。現在、医療従事者を含む人びとの移動は困難となり、MSFが医療提供を続けている地域も切迫した状況となっている。MSFは武力紛争の当事者に、民間人の保護と、医療従事者、医療施設の安全確保を求めている。
- 全ての病院が閉鎖
エル・ファシールでMSFのプロジェクト・コーディネーターを務めるシリス・ペイは、「負傷者の大半は戦闘に巻き込まれた民間人で、子どもも大勢含まれます。重傷者ばかりでしたが、この病院では外科手術の態勢が整っていませんでした。北ダルフールの他の病院は、戦闘に近いか、スタッフの安全確保のために閉鎖せざるを得ず、患者を搬送する場所がなくなりました。その結果、戦闘発生から72時間で負傷者25人が亡くなりました。それでも15日の午後になって、閉鎖されていた病院の外科医で構成された小さなチームが手術を始め、これまでに負傷した患者に6件の大手術を行いました」と話す。
ペイによると、病院では、薬や輸血用の血液などの医療物資が急速に不足。また、戦闘開始以来、市内では停電が続き、病院の発電機用の燃料も残り少ない。物流の要である空港も15日から閉鎖されている。MSFは、外科手術用の物資を病院に運ぶために安全な経路を探しているが、さらに人命を救うためには、追加の医療物資搬入や、外科チームの交代要員の派遣が急務で、そのためには空港を再開する必要がある。
- 各地で移動が困難に
国内の他の場所、特にハルツーム、ダルフール地方、北コルドファン、ゲダレフ州にいるMSFのチームも困難な状況に直面している。南ダルフールのニヤラにあるMSFの施設や倉庫は略奪にあった。ハルツームでは、ほぼ全てのチームが激しい戦闘のために動けず、必要な医薬品を取りに倉庫に行くこともできていない。救急車さえも引き返さなければならない状況で、路上から遺体を回収することや負傷者を病院へ搬送することも許可されていない。
MSFは負傷者を受け入れているハルツームや、スーダン各地の地元医療チームと連絡を取り合っているが、その多くは非常に困難な状況下で、自身や家族が影響を受けながらも、何時間も救命処置を続けている。
MSFは支援を必要とする基幹医療施設に物資や医療従事者を提供する用意はできているが、ハルツームやその他の都市内は危険で誰も移動することができない。また、多くの人は、現在も続く戦闘に身の危険を感じており、稼働中の医療施設に行くことができないでいる。
- 民間人の保護、そして医療アクセスの確保を
スーダンでMSFは、医療ニーズのみに基づいて公平に医療を提供しているが、現在、戦闘激化により活動が制限されている。MSFは、全ての紛争当事者に、無差別な攻撃から民間人を保護するよう緊急に呼びかけるとともに、医療スタッフと患者の安全を保証し、人びとが命の危険を感じることなく医療施設を利用できるようにすること、さらに、病院、診療所、倉庫、救急車を含む全ての医療施設を確実に保護し、標的にしないことを要請している。
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