現場全体の自律的な最適化に向け、HMAX Data Fabricなど新たな基盤・運用管理ソリューションを提供開始
Physical AI FDE Teamが現場の暗黙知をデジタル資産化し、経営課題の特定からAIの導入・運用まで一気通貫で支援

株式会社日立製作所(以下、日立)は、社会インフラや産業における組織・システムのサイロを解消し、現場全体の自律的な最適化を実現するため、AIで社会インフラを革新する次世代ソリューション群「HMAX by Hitachi」(以下、HMAX)を支える共通ソリューションを本日より提供開始します。具体的には、ITとOT(制御・運用技術)をAIでつなぐ専門家チーム「Physical AI FDE(Forward Deployed Engineer) Team」がお客さまに伴走する「Physical AI FDEサービス」、現場の暗黙知やデータを統合するデータ基盤「HMAX Data Fabric」、安全な自律運用を支える「HMAX AI Operations」を提供します。これらをシームレスに連携させ、暗黙知やデータをデジタル資産として蓄積し、業務や組織を越えて活用・循環させることで、経営課題の特定からAI導入・運用まで一気通貫で支援します。
現場におけるアプローチとして、日立の110年以上にわたるモノづくりの経験やインフラ構築・運用で培ったドメイン知識に加え、グローバル先進のAI技術などを有する多様な専門家からなるPhysical AI FDE Teamがお客さまの現場に入り、経営課題の特定から伴走します。そして、多様かつ不均質な現場データのクレンジングや構造化を高品質に実行するほか、言語化されていなかった熟練者の経験や判断基準なども抽出します。また、現場で得られたこれらのデータや暗黙知を、オントロジー*1に基づいて体系的に意味付けし、AIが活用できるナレッジグラフ*2としてHMAX Data Fabricへと蓄積します。本基盤は、蓄積されたデータを用いてロボットなどを制御するAIモデルの学習や、Agentic AIを開発・運用する環境とも接続し、AI Readyなデータを提供します。これらのデータやAIモデルを、日立の社会インフラ知能基盤モデル「IWIM (Integrated World Infrastructure Model)*3」と連携させることで、AIが物理的な稼働限界や現場の制御ルールといった文脈を正確に解釈できるようになります。これにより、稼働率や電力などの複雑な制約条件を考慮しながら、異なるシステム間をまたいでAIがバランスを取り、現場全体を最適に動かす高度なオーケストレーションを実現します。さらに、HMAX AI Operationsが、AI特有のリスクやハルシネーションを継続的に監視・低減することで、ミッションクリティカルな環境においても安全な自律運用を支援します。
このように先進的なデジタル基盤と専門家による伴走が一体となり、現場知の抽出からAIの活用・運用までを繋ぐことで、お客さま独自のデータ環境や現場ルールに合わせた迅速なAI導入と環境変化への高い適応性を実現し、経営層の意思決定の高度化やDX部門による全社規模でのAI活用の加速、IT部門におけるデータ統合コストの削減などを通じて、企業や産業全体の継続的な進化に貢献します。
*1 オントロジー:データの意味や概念、およびそれらの関係性を体系的に定義したもの。さらに現在、企業のデータ基盤とAIエージェントをつなぐ共通言語として再定義されつつある。
*2 ナレッジグラフ:オントロジーに基づき、多様なデータとその関係性をネットワーク状(グラフ構造)に結びつけて構造化したデータベース。AIが情報同士の繋がりをたどることで高度な文脈理解や全体最適に向けた推論を行うための基盤となる。
*3 日立が2025年11月に発表した社会インフラ知能基盤モデル。ミッションクリティカルな社会インフラにフィジカルAIを安全・高信頼に実装するため、長年にわたり蓄積してきた多層的なOTナレッジと、物理現象に関する深い理解を基に開発。
背景
近年、電力、鉄道、製造などの社会インフラや産業のミッションクリティカルな現場では、労働力不足ならびに熟練技術者の引退に伴う現場の暗黙知の喪失が深刻化しています。これらを解決する手段としてフィジカルAIの社会実装に対する期待が高まる一方、実際の現場では、単にAIモデルを導入するだけでは十分ではありません。ノイズの多い現場データを適切に整備すること、現場固有の制約や安全ルールをAIが扱える形にすること、さらに導入後もデータ品質やAIモデルの性能、セキュリティなどを継続的に監視し、安全に運用し続けることが求められます。
日立は、これまで、Lumada事業において、お客さまやパートナーとともに、ミッションクリティカルな領域におけるシステム構築・運用やデータ活用の実績を積み重ねてきました。現場の知見をオントロジーとして体系化し、業界横断で再利用可能にしてきた独自のノウハウと、セキュアなシステム統制力こそが、今回のHMAX Data Fabricを支える強力な強みとなっています。このような長年にわたる実績とOT知見をベースに、HMAXによる現場全体の自律化をさらに推進するため、2026年7月にはNVIDIAの技術を活用したマルチエージェント・オーケストレーション技術の開発を発表*4するなど、グローバルAIエコシステムとの連携を強化しています。
*4 2026年7月16日 プレスリリース 日立とNVIDIA、フィジカルAIの統合制御による、現場全体の自律化とHMAXの進化に向けて協業
日立製作所 執行役常務 AI&ソフトウェアサービスビジネスユニットCEO 細矢 良智のコメント
社会インフラなどミッションクリティカルな現場でAIの価値を最大化するには、現場特有の暗黙知をAIが理解できる形に変換し、安全に活用・運用し続ける仕組みが不可欠です。今回の新ソリューションは、日立がお客さまやパートナーとともに約15,000の基幹システムを支えてきた実績と基盤ソフトウェアの知見を生かし、鉄道の運行管理や電力の送配電、製造業の生産・保守などの領域で、分散したデータを統合・意味付けし、高度な分析や意思決定を支援してきた長年のノウハウがベースとなっています。さらに、グローバルパートナーとの協業で培った先進のAI技術も活用しながら、Physical AI FDE Teamが伴走することで、お客さまの現場全体の最適化と持続的な成長を支援いたします。
特長
(1)現場の暗黙知を資産化し、新たな価値創造を伴走支援するPhysical AI FDEサービス
日立は、技術支援や人財育成、ユースケース蓄積などにより価値提供とカスタマーゼロを推進する中核として、グローバル組織「Frontier AI Deployment Center」を設立しています。この組織の強力な支援のもと、日立のAIスペシャリストやドメインエキスパートなど、IT・OT・プロダクトの専門家からなるPhysical AI FDE Teamが、経営課題の特定からAIの開発・実装、自律進化まで伴走支援するコンサルティング・デリバリーサービスを提供します。具体的には、長年培ったドメインナレッジやAIインタビュー技術(AIが熟練者に対して対話形式で質問を重ねる)なども活用しながら、言語化されていない熟練者の暗黙知や臨機応変なトラブル対処・判断基準などを的確に抽出します。ノイズの多い現場データの高品質なクレンジングや構造化を行うとともに、AIが活用できる知識体系であるオントロジーへと変換・マッピングすることで、現場知のデジタル資産化を実現します。
さらに、日立の豊富な実証パターンを活用し、短期間のワークショップ形式でお客さま固有の現場課題の深掘りからAIモデルの有効性検証までアジャイルに実行するプログラムを提供します。これらにより、お客さまは、明確には捉え切れていなかった課題に対しても具体的なプロジェクトへと迅速に落とし込むことが可能になり、現場に適用するAI技術の選定、導入効果の可視化などから飛躍的な業務効率の向上や新たな価値創造を実現できます。
(2)複雑な現場データをAI Readyに構造化し、全体最適を実現するHMAX Data Fabric
日立は、カスタマーゼロの実践として、日立ハイテクにおける材料製造・計測の物理データを融合した製造プロセス改善などを通じ、高度なデータ構造化のノウハウを蓄積してきました。現場において、分散する業務データや制御データ、機器データを生かすには、単なる情報の紐づけにとどまらず、設備同士の物理的なつながりや製造工程の順序といった関係性を踏まえてデータの意味や構造を定義する必要があります。日立は、この自社実践で培った技術をもとに、AIが参照・推論できるデータを構造化し、ナレッジグラフとして蓄積できる「HMAX Data Fabric」を開発しました。
また、本基盤により、AI Readyなデータを提供することで、ロボットや設備を制御するAIモデルの学習や、Agentic AIを開発・運用する環境とのシームレスな接続・連携を可能にします。さらに、これらの開発されたAIモデルや構造化されたナレッジグラフを、物理法則や熟練者のドメインナレッジを搭載した日立の社会インフラ知能基盤モデルIWIMと連携させることで、AIは「ある機器の動作変更が、下流工程の電力や全体の稼働率にどう影響を与えるか」といった現場の文脈を的確に予測・解釈できるようになります。これにより、複雑な制約条件を満たしながら、複数のシステム間で最適な動作を導き出し、現場全体の高度なオーケストレーションを行います。
例えば、鉄道分野では、車両や鉄道インフラの潜在的な不具合の兆候を検知した際、HMAX Data Fabricにより、複数のソースから得られる設備状態データと過去のパフォーマンスの傾向を統合的に関連付けることができます。これにより、AIが異常の根本原因を迅速に分析して、運行事業者や保守エンジニアによる適切な是正措置および予防措置を支援することで、サービス停止や設備故障の未然防止に貢献します。こうした取り組みを通じて、日立はお客さまが安心してAIを活用できるシステム基盤への進化を支援していきます。
(3)止まらないAI運用と、高い安全性を支えるHMAX AI Operations
現場のフィジカルAIが実世界での実行・学習を繰り返す中で、AIモデルの性能監視および高度なセキュリティ監視など、安全制御や監視を行います。具体的には、企業がAIエージェントを本番環境で安全かつ効果的に活用するためのHitachi Application Reliability Centers(HARC) for AI*5などの実績・アセットも活用し、パフォーマンスやガバナンス、セキュリティ、コストなどの継続的な観測と改善を行います。
日立社内における多数のAIエージェントの開発・活用や独自の生成AI基盤の運用ノウハウをもとに、導入後も変化し続けるデータの欠損やノイズによる影響、脅威の変化などに対応するため、データガバナンスの維持やアクセス制御、監査などを継続的に実施します。AI特有のリスクやハルシネーションを低減し、適切なセキュリティポリシーのもとで、AIモデルと現場運用を安全かつ継続的に進化させます。これにより、ミッションクリティカルな環境においても、安全性を確保しながら、信頼性の高い継続運用を強力に支援します。
*5 日立のAI運用フレームワークと、SRE (Site Reliability Engineering)メソッドに基づき、AIシステムのパフォーマンス、ガバナンス、セキュリティ、コストを最適化するサービスhttps://www.hitachi.co.jp/products/it/harmonious/cloud/articles/harc/index.html
主なサービス

Hitachi Social Innovation Forum 2026 JAPANでの紹介について
HMAX Data FabricおよびHMAX AI Operations、Physical AI FDEについては、日立が2026年9月3日(木)~4日(金)に開催する「Hitachi Social Innovation Forum 2026 JAPAN」において、ご覧いただけます。詳しくは、公式サイト(https://www.service.event.hitachi/regist/)をご覧ください。
【セッション】
9月4日(金)13:20~「BS02-04: HMAXデータ基盤とFDEで切り拓く、フィジカルAIの社会実装」
【展示】
EX02:見て、実感して、納得~フィジカルAIが変えるインフラの最前線~
EX10:データをビジネス価値に変えるためのAI Readyデータマネジメント
EX12:運用はHMAXで新たなステージへ~JP1/HARCが実現する次世代AIオペレーション~
関連リンク
HMAX Data Fabric・HMAX AI Operations・Physical AI FDE Team:デジタル:日立
商標注記
記載の会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。
日立製作所について
日立は、IT、OT(制御・運用技術)、プロダクトを活用した社会イノベーション事業(SIB)を通じて、社会インフラをデジタルで革新し続けるグローバルリーダーをめざし、環境・幸福・経済成長が調和するハーモナイズドソサエティの実現に貢献します。デジタルシステム&サービス、エナジー、モビリティ、コネクティブインダストリーズの4セクターに加え、新たな成長事業を創出する戦略SIBビジネスユニットの事業体制でグローバルに事業を展開し、Lumadaをコアとしてデータから価値を創出することで、お客さまと社会の課題を解決します。2025年度(2026年3月期)売上収益は10兆5,867億円、2026年3月末時点で連結子会社は606社、全世界で約29万人の従業員を擁しています。詳しくは、www.hitachi.com/ja-jp/をご覧ください。
お問い合わせ先
株式会社日立製作所
AI&ソフトウェアサービスビジネスユニット
マネージド&プラットフォームサービス事業部
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