資生堂ビューティートレンドチームが2016春夏季街頭のトレンドを解説 「太眉」ブームは収束?!「ブライトリップ」にも変化
今回は、2016年4月下旬~5月初旬に、20~30代の女性300名を対象として東京で実施した街頭調査の結果から、ビューティートレンド研究チームのヘア&メーキャップアーティストが長年見続けてきた経験・感覚・感性で考察した「東京の街を歩く女性たちのヘア&メークトレンド傾向」を解説します。
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ヘア&メーキャップアーティストが解説! 2016年春夏のメークトレンド
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■太眉ブームが収束傾向
数年前から「ナチュ太眉」といわれる、ふわっとした太く短めな眉や、丸みのある眉、カラーマスカラで明るく演出した眉など、様々に形を変えながら太眉ブームが続いてきました。しかし先シーズン(2015年秋冬)の調査から太眉は徐々に減少傾向が見受けられます。眉は自然な太さへと移行し、パウダータイプのアイブローでふんわりと描いた眉などが見られます。ここしばらく続いた太眉ブームは収束傾向にあるといえます。しかし、急に細眉になってしまうわけではなく、自然な太さを保ちながら徐々に変化していくと考えられます。
■戻ってきたカラーアイメーク
2000年代中期以降、アイメークでは、目の周りをしっかり引き締める囲みアイラインや、つけまつ毛を重ねづけするなどの、”盛りメーク”ブームがありましたが、2011年の東日本大震災を機に、ナチュラル志向が高まり、”薄盛り”傾向へと変化しました。アイカラーはナチュラルな薄いブラウンやベージュ系が好まれ、1年前の春夏の調査ではマスカラをつけない「素のまつ毛」も見られ、「これ以上の軽さはない」というほどライトな仕上がりとなっていました。その後、昨年の初秋頃から徐々に、カーキやボルドー、ネイビーなどのカラーアイテムが見られるようになり、今季も明るい色のカラーアイラインやカラーマスカラ、アイシャドーなど、アイメークで色を楽しむ傾向が引き続き見られます。
■目の下チークは卒業へ
ここ最近「愛され系メーク」「色っぽメーク」企画などで、雑誌で取り上げられていた「湯上りチーク」「ほてりチーク」といった、目のすぐ下に赤みをきかせるチークは、先シーズン(2015年秋冬)頃から少なくなりました。
今シーズンは、頬骨に沿ってソフトになじませる自然なチークへと移行しています。■ブライトリップの継続
口もとの色の流行を振り返ってみると、肌になじむベージュやベージュピンク、透明グロスなどといった ”ヌードリップ”が主流の時期が1990年代後半頃から2010年頃までの長い間に亘り、10年以上続いていました。2012年秋頃から、赤リップをはじめとした鮮やかな色のブライトリップが見られはじめました。最近では赤はもちろん、ピンク、ローズなどバリエーションも見られ、リップカラーを楽しむ傾向が3~4年続いています。これまでは、春夏にはペールやライトなどの明るい色が、秋冬には深みのあるディープな色が多く見られる傾向でしたが、この春夏の調査では、深みのある落ち着いたレッドが見受けられたのが特徴的でした。落ち着いた赤でも輪郭をなじませるなど、軽さのある表現でつけることで自然な血色感を演出しています。リップの色を楽しむ傾向は、もう少し続いていくと考えられます。
ヘア&メーキャップアーティストが解説! 2016年春夏のヘアトレンド
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■ミディアムヘアの増加
ヘアスタイルでは、ロングヘアが主流の時代が長く続いています。2000年代以降盛り上がりを見せた、ヘアエクステやしっかりとした巻髪でセレブ風につくる”盛りヘア”のブームが、東日本大震災を機に、ふんわりとゆるさのある”ゆるふわヘア”へと移行しました。呼び名の通りゆるく力の抜けたスタイルや、「こなれ感」のある”かきあげ前髪”なども流行し、真っ直ぐなストレートヘアではなく、くせ毛風の”ニュアンス”のある仕上げが好まれるようになりました。今季注目なのはミディアムヘアの増加です。2012年以降、ファッションアイコンであるタレントやモデルたちが髪を切り始め、ボブヘアが注目を浴びました。アレンジは毛先を内側に巻く、内巻きヘアが多く見られましたが、今季は雑誌で話題となっている”タンバルモリヘア”(韓国語で”おかっぱ”の意)といった ”外ハネのミディアムヘア”が見られたのが特徴です。
■ヘアアレンジはシンプル傾向に
ここ数シーズン、編み込みなどのテクニックを駆使した手の込んだアレンジスタイルが多く見られましたが、今シーズンは、シンプルな一束のまとめヘアに、自然なゆるいウェーブなどのある後れ毛で、ニュアンスをつけるスタイルが多く見られます。
ヘア&メーキャップアーティストがアドバイス! トレンドを取り入れるコツ
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■抜け感、こなれ感の作り方
メークでもヘアでも”抜け感””こなれ感”というキーワードは今っぽいスタイルをつくる上でのポイントとなっています。単に手を抜くということではなく、計算し、あえてどこかに「抜け」をつくり、こなれた感じを演出するという感覚です。どこかに色などの要素を足したときは、どこかを引く、その足し算引き算のバランス感覚こそが今どきのヘアメークトレンドを楽しむコツとなっています。
ビューティートレンド研究チーム リーダー
資生堂トップヘア&メーキャップアーティスト 鈴木 節子
■自然な血色感を演出する「赤リップ」のつけ方
唇の輪郭をしっかりと描かないのが今季のトレンド。つけ方は、中央に口紅を塗ったあと、指でぽんぽんと優しく叩くように輪郭をぼかすだけ。とても簡単にトレンドを取り入れられます。
赤リップを取り入れた時に注意したいのは全体のバランスです。あれもこれも、と欲張って”盛りメーク”をしてしまうと、途端にトレンド感が失われてしまうので注意が必要です。最近はさまざまな発色の赤リップが発売されています。自分に似合う、お気に入りの赤を取り入れてトレンドを楽しみましょう。
ビューティートレンド研究チーム
資生堂ヘア&メーキャップアーティスト 中山 夏子
■トレンドを取り入れたヘアアレンジ
後れ毛を作ったスタイルがだらしなく見えてしまわないか、心配な方も多いのではないでしょうか?後れ毛の乱れを防ぐことがポイントです。スタイリング剤を少しなじませて、アイロンでニュアンスをつけておくとよいでしょう。
今季は小さな髪飾り、細めのリボンなどの小ぶりなヘア小物を上手に取り入れるのもおすすめ。また、今回の調査ではつばが広めのハットよりもキャップのほうが多く見られました。カジュアルな印象のキャップは、身に着けるだけで”抜け感”を演出できます。ファッションやシーンにあわせた小物使いやヘアアレンジを駆使して、”抜け感””こなれ感”を演出してみましょう。
ビューティートレンド研究チーム
資生堂ヘア&メーキャップアーティスト 中村 潤
資生堂ビューティートレンド研究チーム リーダー 鈴木 節子 プロフィール
1993年 資生堂入社。資生堂の美容分野社員の頂点である「資生堂トップヘア&メーキャップ アーティスト※3」として、資生堂の宣伝広告や広報におけるヘア&メーキャップの他、東京、ニューヨーク、パリコレクション等ファッションショーのバックス テージでメーキャップを手掛けるなど、多岐にわたり活動。これまでに「クレ・ド・ポー ボーテ」、「Shiseido Makeup」、「マキアージュ」などのブランドの商品開発やカラークリエーション、美容情報開発などを担当。2010年から2年間ニューヨークに駐在経験がある。2000年代以降ビューティートレンド研究に携わり、そのトレンド研究の成果を活かし、西洋の化粧が一般的に取り入れられるようになった1920年代から現在に至るまでの化粧の変遷を1名のモデルで再現した「日本女性の化粧の変遷100年」が昨年大きな話題となった。
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ヘア&メーキャップアーティスト紹介
中山 夏子 NATSUKO NAKAYAMA
2003年 資生堂入社。資生堂の宣伝広告や広報におけるヘア&メーキャップを中心に、コレクションなどで活動。 ヘアメーキャップスクールSABFA※4の講師も務める。 さらにカラークリエーターとして商品開発やメーキャップソフト情報の作成にも携わる。
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中村 潤 JUN NAKAMURA
2008年資生堂入社。資生堂の宣伝広告や広報におけるヘア&メーキャップに携わる。「シーズンヘア」「メンズシーズンヘアスタイル」のクリエーティブメンバーとしてヘアスタイルの創作を行い、ヘアメーキャップスクールSABFA※4の講師も担当。
HP: http://hma.shiseidogroup.jp/nakamura/?rt_pr=tr612
プロのヘア&メーキャップアーティストが約 40 名在籍し、宣伝広告のヘア&メーキャップ、商品のカラークリエーションをはじめ、NY、パリ、東京などで開催されるファッションデザイナーのコレクションのバックステージで活動し、最先端のトレンド情報をグローバルに発信している。
■ビューティークリエーションセンターHP: http://hma.shiseidogroup.jp/?rt_pr=tr612
※2 資生堂のビューティートレンド研究
資生堂では1987年に「ビューティートレンド研究」をスタートさせ、美容・ファッションの動向を分析し、未来のビューティートレンドを予測している。メーキャップアーティストを抱える強みを活かし、具体的なメーキャップ、ヘアスタイルにまで提案する資生堂独自の取り組みで、未来のトレンドをいち早く予測し、商品開発やマーケティングに役立てている。また、2012年からは美容雑誌や街頭調査、主要コレクションなどの動向から、半年後に向けて役立つトレンド測・提案を発信している。
※3 資生堂トップヘア&メーキャップアーティスト
資生堂の美容技術専門職のなかで、最高レベルの技術を有するヘア&メーキャップアーティスト。先進的な美を創造しグローバルに発信することで、資生堂ブランドや企業価値の向上に努めるとともに、美容業界全体の発展に寄与することをミッションとしている。現在鈴木を含め計7名が就任している。
※4 SABFA(Shiseido Academy of Beauty & Fashion)(サブファ)
資生堂が運営するプロのヘア&メーキャップアーティストを育成するスクール。1986年に設立し、卒業生は、広告・TVCF・雑誌の撮影やファッションショーなどの第一線で活躍している他、美容サロンではヘア&メーキャップのエキスパートとして、お客さまのトータルビューティーを提案している。
■SABFAオフィシャルページ: http://sabfa.shiseido.co.jp/?rt_pr=tr612
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