新型コロナ「5類以降」で働き方がコロナ前と「大きく変わる」企業、15.5% リモートワーク・テレワークの定着が追い風も4割近い企業でコロナ前に回帰
新型コロナ「5類」移行時の働き方の変化に関する実態調査
2023年3月は、新型コロナの感染者数の落ち着きやマスク着用ルールの緩和、イベント開催にともなう人出の回復、インバウンド需要の持ち直しなど明るい話題も増え、アフターコロナに向けた動きが加速している。
さらに政府は、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけを、5月8日から季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行する方針を示している。
そこで、帝国データバンクは、新型コロナウイルス感染症の分類移行にともなう働き方の変化について、企業の見解を調査した。本調査は、TDB景気動向調査2023年3月調査とともに行った。
<調査結果(要旨)>
「5類」へ移行後、働き方が『半分以上異なる』とする企業は15.5%となった
『新型コロナ前と異なる』割合を業界別にみると、『サービス業』が45.5%で最も高かった
調査期間:2023年3月17日~31日
調査対象:全国2万7,628社で、有効回答企業数は1万1,428社(回答率41.4%)
調査機関:株式会社帝国データバンク
※本調査における詳細データは景気動向オンライン(https://www.tdb-di.com)に掲載している
「5類」へ移行後の働き方、15.5%の企業で新型コロナ前と比較し 半分以上異なる
新型コロナウイルス(以下「新型コロナ」)の感染症法上の分類が「2類」から「5類」へ移行が実施された場合、自社の働き方が新型コロナ前と比較してどの程度変化するのか尋ねたところ、『半分以上異なる』と回答した企業は15.5%だった。その内訳は、「全く異なる(100%異なる)」企業は0.9%、「8割程度異なる」は3.1%、「半分程度異なる」は11.5%となった。
また、「2割程度異なる」(22.5%)も含めた『新型コロナ前と異なる』とする企業は38.0%となった。
他方、「新型コロナ前と同じ状態(0%)」とする企業は39.1%と4割近くにのぼった。なお、「2割程度異なる」(22.5%)を合わせると6割を超え、「5類」移行にともない多くの企業は、新型コロナ前に近い働き方に戻る傾向もうかがえた。
従業員規模が大きいほど『新型コロナ前と異なる』割合が高く、1,000人超 では5割を超える
働き方が『新型コロナ前と異なる』割合を業界別にみると、『サービス』が45.5%で最も高く、特に、「広告関連」(60.2%)や「情報サービス」(54.4%)では半数を超える企業で新型コロナ前の働き方に戻らないと回答した。他方、『農・林・水産』(29.5%)は唯一、3割を下回った。
また、従業員数別にみると、リモートワークの継続といった声もあり、従業員規模に比例して、新型コロナ前と働き方が異なる割合は高くなった。とりわけ「1,000人超」(52.9%)の企業では5割超に達した。
<企業からの主な声>
(「新型コロナ前と異なる」企業)
在宅勤務の環境が整い、以前と変わらない生産性を確保できているので、従業員を職場に戻す意味はない(靴卸売、東京都)
コロナ禍により、働き方改革が進んだことは、良いことだと思う。自社は、ほぼ完全な在宅勤務体制となった(ソフト受託開発、東京都)
今後も完全にコロナ以前に戻ることはなく、功を奏したオンライン、テレワーク等は引き続き継続されるのではないかと思う(広告代理、大阪府)
出勤や外出に関する制限がなくなり、社員の出社がコロナ禍前の水準に戻る。ただし、拠点間や取引先との会議は、相互の出張が減少し、web会議の活用が続くと思われる(ゴムベルト製造、兵庫県)
(「新型コロナ前と同じ状態」に回帰する企業)
様子を見ながらコロナ前に戻す(一般管工事、静岡県)
工場は人がリアルに出勤しなければならなかった。中小企業は社員の一体感や公平感が大事なので、バックオフィスだけリモート勤務というわけにはいかない(じゅう器卸売、群馬県)
自社は現場作業なので、コロナの前後で働き方の変化は特にない(築炉工事、神奈川県)
新型コロナの感染拡大から3年が経ち、経済活動の正常化も徐々に進みつつある。2023年4月5日に発表したTDB景気動向調査(2023年3月調査)でも、新型コロナの感染者数の落ち着きやマスク着用ルールの緩和にともない消費者のマインドが明るくなるなどアフターコロナに向けた動きは加速している。
本調査の結果、新型コロナの感染症法上の分類が「5類」へ移行した後の働き方について、新型コロナ以前より半分以上異なると回答した企業は15.5%にとどまった。変化の濃淡はあるものの『新型コロナ前と異なる』とする企業は、「情報サービス」などを含む『サービス』を中心にその割合が高いことが明らかになった。さらに、従業員数が1,000人を超える企業では5割以上となるなど従業員に比例して働き方が変化する企業は増えた。
一方で、「新型コロナ前と同じ状態」へ回帰する企業は39.1%と4割近くにのぼり、『農・林・水産』や『建設』などの企業でその傾向は高かった。「新型コロナ前と2割程度異なる」を含めると6割を占め、従来の働き方に戻る企業が多かった。
引き続きリモートワークやテレワークなどを継続する企業がある一方で、感染対策を意識しながらも徐々に新型コロナ流行前の働き方へ戻す企業も多い。今後、企業を取り巻く環境については働き方だけではなく、コロナ禍で本社を郊外へ移転した企業の都市部への回帰など新たな変化が生じる可能性もあろう。
<感染症法上の分類>
2類:結核やSARSなどが該当し、積極的疫学調査の実施や感染者の全数把握、診療などにかかる費用の
全額公的負担、入院の勧告、就業制限などの措置が行われる
5類:季節性インフルエンザなどが該当し、積極的疫学調査などの措置は行われるが、診療などにかかる
費用は一部自己負担となり、入院の勧告、就業制限などがなくなる
また、5月8日以降の新型コロナの感染対策は、現在の法律に基づき行政が様々な要請・関与をしていく仕組みから、個人や事業者の選択を尊重した自主的な取り組みが基本となる
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