“姿勢が悪い”と決めつける前に、背中の左右差に気づけていますか? 思春期特発性側弯症(AIS)、小・中・高校生の保護者層でも約7割が「名前も特徴も知らない」

-夏休み、子どもの姿勢や背中を見る機会に“家庭で気づく視点”を-

日本シグマックス株式会社

 医療、スポーツ、ウェルネスの分野で人々の身体活動を支援する日本シグマックス株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:鈴木 洋輔)は、思春期の子どもに起こりうる運動器疾患である「思春期特発性側弯症(AIS)」について、周囲の大人の認知や理解、家庭・学校での気づき、装具治療が必要な子どもへの配慮に関する実態調査を実施しました。

 調査は2026年6月に全国の20代から60代の成人を対象に、インターネット調査で9,790名から一次調査の回答を得ました。さらに、AISの名称や特徴を知っていると回答した、小・中・高校生の保護者500名と教育関係者200名の計700名を対象に、本調査を実施しました。

<思春期特発性側弯症(AIS)とは>

 脊柱が左右に曲がっている状態である脊柱側弯症の中でも、10歳以降に見られる特発性の疾患で、AIS(Adolescent Idiopathic Scoliosis)とも呼ばれます。患者さんの多くが思春期の女児で、思春期女児の約40人に1人というデータもあり*1、1学級に1人程度、AISの子どもがいる可能性があります。AISが進行すると、ウエストラインが非対称になるなどの外見上の異常、背部や腰部への痛みやこりといった日常生活への影響が生じるほか、患者自身の容姿に対するセルフイメージが低下するなど精神面にも悪影響をもたらす可能性があるといわれています。また、脊髄や馬尾障害などの神経症状や胸郭の変形などによる呼吸器症状など、疾患の発見・治療が遅れることで重篤な障害につながることもある疾患です。

 AISの早期発見における重要な機会として学校健康診断での運動器検診が義務付けられています。昨今、子どものプライバシーや心情への配慮から健康診断の着衣化が進む中、学校健診に加え、家庭でも日常生活の中で身体の変化に気づくことが、早期の相談のきっかけとして重要とされています。

 今回の調査では、思春期特発性側弯症(AIS)について、回答者の7割以上が「名前も特徴も知らない」と回答しました。これはAISが起こりうる年代の子どもを持つ小学生・中学生・高校生の保護者層に限った場合でも同様の結果した。また、小学校・中学校・高校の教職員の約半数が「名前も特徴も知らなかった」と回答しており、子どもと接する家庭・教育現場の双方で、AISの認知には課題があります。

 また、AISの名前や特徴を知っていると回答した700名のうち、約4人に1人が「姿勢が悪いことが主な原因」と回答しており、AISに関する誤解が残っている可能性が示されました。背中や身体の左右差に気づきやすい場面としては「健康診断・学校健診」が6割以上で最も多かった一方、家庭で学習しているときや服を着たときなど、日常生活の中で気づける場面を選択した割合はいずれも2割台にとどまっていました。夏休みは、薄着になる季節の上、家庭で子どもと過ごす時間が増えるため、子どもの姿勢や背中を見る機会も増える時期でもあります。学校健診に加えて、家庭でも身体の左右差に気づく視点を持つことは早期相談のきっかけになる可能性があります。

【調査結果のハイライト】

■子どもと接する家庭・教育現場でAISの認知の低さが浮き彫りに。学校健診に加え、家庭の気づきが課題

1 思春期の子どもに起こりうるAIS、72.9%が「名前も特徴も知らない」

 全国の男女9,790名が回答した一次調査では、AISについて回答者の72.9%が「名前も特徴も知らない」と回答。疾患名のみを知っていた人は10.5%にとどまり、思春期女児の約40人に1人が発症する可能性がある疾患*1でありながら、社会的な認知は十分に広がっていない実態が明らかになった。【SC Q3、図1】

*1:上野正樹・高相正史・中澤俊之・井村貴之・斉藤渉・新谷良介・内田健太郎・福田道成・高橋和久・鳳誠治・小谷俊明・南翔平(2011)「Journal of Orthopaedic Science」『東京での特発性側弯症の罹患率に関する5年間の疫学的研究 25万人以上の小児の学校検診』 , 16, (1), 1-6.

2 小・中・高校生の子どもがいる層でも約7割、小中高教職員でも約半数がAISを認知せず

上記1の回答を保護者・教員に絞っても、AISを「名前も特徴も知らなかった」と回答した人の割合は、小学生の子どもがいる層で73.2%、中学生の子どもがいる層で72.6%、高校生の子どもがいる層で73.6%であった。また、小学校・中学校・高校の教職員でも48.2%が「名前も特徴も知らなかった」と回答していた。AISを発症しうる年代の子どもを持つ家庭だけでなく、子どもと日常的に接する教育現場においても、疾患認知には課題があることがうかがえる。【SC1×SC3/SC2×SC3、図2】

3 AISは「学校健診で発見するもの」と認識されており、家庭や日常生活の中での気づきは限定的

 「AISの名称や特徴を知っている」と回答した、小・中・高校生の保護者500名と教育関係者200名において、背中や身体の左右差に気づきやすい場面として、「健康診断・学校健診」と回答した割合が64.9%で最多であった。一方、「プール・海水浴など水着になる場面」は35.1%、「着替えをしているとき」は32.3%、「家庭で学習しているとき」は23.6%、「服を買いに行ったとき・服を着たとき」は22.7%にとどまった。学校健診での発見は比較的認識されている一方で、家庭や日常生活の中で身体の左右差に気づける場面は相対的に想起されにくい結果となった。家庭や日常生活での気づきという視点を、周囲の大人が持つことが重要と考えられる。【本調査Q6、図3】

■AISを知っている層にも誤解が残り、早期相談・適切な対応につながりにくい可能性

<疾患に対する誤解>

4 “知っている層”でも、AISを「姿勢」や「生活習慣」の問題として誤認する人が一定数存在

 AISの名前や特徴を知っている層であっても、26.4%が「姿勢が悪いことが主な原因」、21.7%が「生活習慣の悪さが主な原因」と回答していた。AISは「特発性」の名の通り、原因がはっきり分かっていない疾患だが、疾患を認知していても、その原因を誤解している人が少なからずいることがうかがえる。【本調査Q4、図4】

5 “姿勢の悪さ”として見えている段階では、本人への注意にとどまるケースも一定数存在

子どもの姿勢の悪さが気になったときの対応・相談先として、「整形外科に相談する」が40.9%で最も高く、「小児科に相談する」が38.9%と続いた。一方で、「本人に姿勢を注意する」も26.4%にのぼり、姿勢の違和感を疾患の可能性として捉える前段階では、本人への注意にとどまるケースも一定数あると考えられる。【本調査Q7、図5】

6 実際にAISの可能性を指摘されても、姿勢や座り方の問題として受け止められるケースがある

自分の子どもがAISと診断された、またはその可能性を指摘されたケース(n=139)では、「適切なタイミングで医療機関に相談・受診できた」が43.9%だった一方、「本人に姿勢や座り方を注意した」は25.2%、「猫背や座り方の問題だと思った」は20.9%となった。
また、自分が担当した児童・生徒のケース(n=85)でも、「しばらく様子を見た」が29.4%、「本人に姿勢や座り方を注意した」が24.7%となっており、家庭・教育現場のいずれにおいても、疾患の可能性を姿勢や座り方の問題として受け止めるケースがあることがうかがえる。【本調査Q12、図6】

<疾患の治療方法への誤解>

7 治療方法の認識にもギャップ。22.4%が「整体・整骨院での施術」をAISの治療として想起

AISの治療として「整体・整骨院での施術」を挙げた人が22.4%に上った。これはAISを姿勢や身体のゆがみの問題として捉える認識があることを示唆しており、医療機関以外の対応先を想起することにつながる可能性がある。適切な相談・受診につなげるためには、疾患と治療双方の理解が重要と考えられる。【本調査Q9、図7】

8 側弯症や背骨の異常の可能性を認識すると、整形外科への相談意向は高まる

 子どもに側弯症や背骨の異常の可能性があると考えた場合、「整形外科に相談する」との回答は52.4%で最多であった。本調査Q7(図5)の「姿勢の悪さが気になったとき」の整形外科への相談(40.9%)と比べて高くなっており、姿勢の悪さではなく背骨の異常と認識できるかどうかが、相談行動につながる上で重要と考えられる。【本調査Q8、図8】

9 受診につながりにくい背景に、痛みのなさや“姿勢の問題”としての認識も

 自分の子どもについて、AISの可能性を指摘されたにもかかわらず医療機関への相談が遅れた、またはすぐに検討しなかったケース(n=56)では、その理由として「痛みや強い不調がなかったため、急ぐ必要はないと思った」が39.3%で最多であった。「猫背や座り方を直せば改善すると思った」も28.6%に上り、痛みがないことや、姿勢・座り方の問題として捉える認識が、受診を遅らせる一因となっている様子がうかがえる。
 また、自分が担当した児童・生徒のケース(n=41)では、「生活習慣や運動不足を見直せば改善すると思った」が31.7%、「成長期によくある姿勢の問題だと思った」が29.3%、「猫背や座り方を直せば改善すると思った」が26.8%となり、教育現場においても、AISの可能性を姿勢や生活習慣の問題として捉えることが、早期の相談行動につながりにくい要因になっているのではないか。【本調査Q13、図9】

10 装具治療は、心理面や身体発達に加え、運動・授業など学校生活にも影響しうると認識

 装具治療が必要な子どもについて、学校生活や日常生活の各場面でどの程度影響が生じる可能性があると思うかを聞いたところ、「体育の授業・部活動・運動」への影響を懸念する回答が75.7%、「今後の身体発達」への懸念が74.9%、「本人の気持ち・心理面」への懸念が74.4%、「長時間座る授業・学習」への懸念が72.9%であった。装具治療は日常の学校生活にも大きく影響しうるものと認識されている。【本調査Q10、図10】※各数値は「著しく影響が生じると思う」「ある程度影響が生じると思う」の合計。

11 装具治療中の子どもへの支援には、運動・着替え・学校家庭連携・友人理解など周囲の配慮が必要

 装具治療が必要な子どもへの配慮として、「体育の授業・部活動・運動時の配慮」が59.3%で最も高く、「着替えや服装への配慮」が56.4%、「学校と家庭の情報共有」が54.4%、「友人や周囲の理解」が53.7%と続いた。AISの装具療法においては、長時間の着用と継続が推奨されており、AISの治療を続ける子どもを支えるには、本人や保護者だけでなく、学校・家庭・周囲を含めた支援環境づくりが重要である。【本調査Q11、図11】

【小児科医師のコメント】

 思春期特発性側弯症(AIS)は、姿勢の悪さや生活習慣が主な原因で起こるものではなく、原因がはっきり分かっていない疾患です。そのため予防策がなく早期発見が望ましい疾患です。初期には痛みや強い違和感が出にくいこともあり、「姿勢が悪いだけ」と見過ごされやすい点に注意が必要です。子どもの姿勢が気になるときは、注意するだけでなく、肩の高さ、肩甲骨の出方、ウエストラインの左右差、前かがみになったときの背中の盛り上がりなどを確認することが大切です。

 学校健診は、AISを含む運動器の異常に気づく非常に重要な機会です。一方で、近年は子どものプライバシーや心情への配慮もこれまで以上に求められています。服の上からのチェックでは、AISの発見率が低くなるというデータもあり*2、疾患を適切に見つけ、治療につなげるためには、子どもの尊厳を守りながら見落としを防ぐ環境を整えることが大切です。そのためにもAISの啓発は非常に重要です。保護者や子どもに対して、なぜ背中を見る必要があるのか、どこを確認するのかを学校健診に関わる医療者や教員が事前に分かりやすく説明し、保護者や本人の理解を得ておくことが、不安の軽減と早期発見の両方につながります。

 また、学校健診だけでなく、家庭での気づきも重要です。長期休みなど家庭で過ごす時間が増える時期には、勉強中の姿勢や着替え、肩の左右差など、日常の中で子どもの背中や身体の変化に気づける場面があります。服を着ている場面では肩甲骨の左右差を見つけるのが難しいですが、夏は薄着で過ごすことも多いため、肩甲骨や背中を確認しやすい時期でもあります。

 気になる症状についてネットやAIなどでまずは調べてみるという方も多くいらっしゃると思いますが、気になる変化があれば、まずは学校健診の結果を確認したり、小児科や整形外科などの医療機関に相談したりすることが大切です。

*2:吉直正俊. 側弯症検診・検診環境 (着衣状況) からの疑い率. 島根医学. 2018;38(3):163-8.

坂本昌彦(佐久総合病院佐久医療センター副部長)

2004年名古屋大学卒業。専門は小児救急・公衆衛生。2014年から現職。2015年から保護者の啓発と救急外来の負担軽減を目的とした「教えて!ドクター」プロジェクトを運営。2021年厚労省「上手な医療のかかり方」アワード最優秀賞。Yahoo!オーサーアワード2022最優秀賞を受賞。2023年帝京大学大学院で公衆衛生学博士号取得(研究テーマ:アプリと保護者のヘルスリテラシー)。現在は日本小児科学会広報委員、日本小児救急医学会代議員などを務めている。日常的に学校健診業務に関わり、その意義や課題についてテレビや新聞、ネットメディアなど多くのメディアで発信している。

【結果を受けて】

 日本シグマックスは、創業以来、整形外科領域を中心に、医療・スポーツ・ウェルネスの分野で人々の身体活動を支援してまいりました。思春期特発性側弯症(AIS)は、医療機関での診断や治療だけでなく、家庭や学校での早期の気づき、相談行動、そして治療中の子どもが学校生活を送り続けるための周囲の理解が重要な疾患です。

 今回の調査では、AISの社会的認知が十分ではないことに加え、AISを知っている層でも姿勢や生活習慣の問題として誤認する人がいること、家庭や日常生活の中で身体の左右差に気づく視点が限定的であることが明らかになりました。また、装具治療が必要な子どもについては、体育・授業・着替え・心理面など、学校生活全体への影響が認識されており、周囲の理解と配慮が求められます。

 当社は、装具の開発に関わる企業として、AISへの正しい理解を広げ、早期の気づきや適切な相談、装具治療中の子どもへの支援につながる情報発信に取り組んでまいります。子どもたちが安心して学校生活や日常生活を送れるよう、学校・家庭・医療の連携を支える啓発活動に貢献してまいります。

側弯症装具の開発エピソード

側弯症装具の開発に携わった社員とそのエピソードはこちらのURLよりご覧いただけます。


【図1】「思春期特発性側弯症(AIS)」という疾患の認知度

〔SC3〕あなたは、このアンケートを見る前から、「思春期特発性側弯症(AIS)」という疾患をご存じでしたか。あてはまるものを1つお選びください。(SA, n= 9,790/単位=%)

【図2】立場・子どもの学齢別にみたAISを「名前も特徴も知らなかった」割合

【図3】成長期の子どもの背中や身体の左右差に気づきやすいと思う場面

【図4】AISの原因や特徴に関する認識

【図5】子どもの姿勢の悪さが気になったときに対応・相談先として思い浮かべるもの

【図6】AISの可能性を指摘された子どもについて、当時感じたこと・対応したこと

【図7】AISについて想起される治療方法

【図8】側弯症や背骨の異常の可能性を考えたときの対応・相談先

【図9】AISの可能性を指摘された際、すぐに医療機関への相談を検討しなかった理由

【図10】装具治療が必要な子どもの学校生活・日常生活への影響認識

【図11】装具治療中の子どもに必要だと思う学校・日常生活での配慮


【調査概要】

調査名        思春期特発性側弯症(AIS)に関する認知・理解実態調査

調査対象     一次スクリーニング調査(SC):全国の20代~60代男女 9,790名

                   本調査:AISを「名前や疾患の特徴も知っていた」と回答した、教育関係者200名、

                   小・中・高校生の子どもを持つ保護者500名、合計700名

調査方法     インターネット調査(楽天インサイトへの調査委託)

調査期間     2026年6月5日~6月8日

調査主体     日本シグマックス株式会社

※その他詳細なデータについては、日本シグマックス株式会社経営企画室にお問い合わせください。

※本調査を引用する場合は「2026年日本シグマックス調べ」もしくは「日本シグマックス株式会社『思春期特発性側弯症(AIS)に関する認知・理解実態調査』」と記載ください。

■日本シグマックス株式会社について https://www.sigmax.co.jp/

所在地:東京都新宿区西新宿1-24-1

創業:1973年6月1日

資本金: 9,000万円

代表取締役社長:鈴木 洋輔

社員数:246名(2025年3月末)

売上高:143.7億円(2025年3月期)

日本シグマックスは「身体活動支援業※」を事業ドメインとし、幅広いフィールドで人々の身体に関わる製品・サービスを提供しています。創業以来「医療」の中でも「整形外科分野」に特化して、各種関節用装具やギプスなどの外固定材、リハビリ関連製品、冷却療法のためのアイシングシステム、治療・診断のための医療機器など、特徴のある製品を提供してまいりました。「スポーツ分野」ではスポーツ向けケア・サポートブランド『ZAMST』を中心に国内外で高い評価を受けております。また日常生活を支える「デイリーケア」、労働者の身体をサポートする「ワーカーズケア」といった分野で『MEDIAID』ブランド製品を拡大展開しております。

※身体活動支援業:運動器障害の予防・診断・治療・回復、及び運動機能維持・向上を目的とした製品・サービスを提供することにより、人々がより健康で快適な生活を送れるよう支援する業(当社による造語)

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会社概要

日本シグマックス株式会社

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URL
https://www.sigmax.co.jp
業種
製造業
本社所在地
東京都新宿区西新宿1-24-1 エステック情報ビル7F(総合受付8F)
電話番号
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代表者名
鈴木洋輔
上場
未上場
資本金
9000万円
設立
1973年06月