【KOSEN】LSTC 理事長(Rapidus株式会社 取締役会長)が“初”の高専訪問 『社会課題を起点とした高専の半導体人財育成の発想が日本の産業構想力向上に寄与すると期待』

2月18日 半導体人財育成の最前線、有明高専を視察

独立行政法人国立高等専門学校機構

東理事長を迎える有明高専関係者

 独立行政法人国立高等専門学校機構(東京都八王子市、理事長:谷口 功、以下「高専機構」)は、令和8年2月18日(水)、半導体・集積回路設計教育の実績を全国高専に広げる拠点である有明工業高等専門学校(福岡県大牟田市、校長:八木 雅夫、以下「有明高専」)にて、技術研究組合最先端半導体技術センター(LSTC)理事長であり、Rapidus株式会社取締役会長の東 哲郎氏を迎え、施設視察および意見交換会を実施しました。日本の半導体産業復権を牽引する東氏が高専を訪問するのは今回が初めてです。

高専関係者から説明を受ける東理事長(右)と貴島人材開発部門長
高専機構による半導体人財育成の取り組みに関する説明

 当日は、半導体分野の人材育成を全国へ展開する高専機構の取り組み(半導体人財育成エコシステム構想)に加え、有明高専が推進するサーキットデザイン教育と、それを核とした教育拠点(サーキットデザイン教育センター、CDEC)の活動等について、現場の学びの姿を交えて紹介しました。

 今回の初訪問は、半導体産業展のSEMICON Japan 2025での東理事長とCDECの石川センター長との接点と、さらに同行者のLSTC人材開発部門長である貴島和美氏が「トビタテ!留学JAPAN」の審査員等を務めた経験を通じて、以前から高専生のポテンシャルに強く感銘を受けており、「実際に高専を訪れて学びの場を直接見たい」という強い思いから実現しました。

■東理事長が見た「高専ならでは」の教育現場
①「つくる」だけでなく「活かす」視点の半導体教育

佐世保高専半導体人財育成センターの設立目的を説明する猪原センター長

 東理事長がまず関心を示したのは、半導体の製造のみならず活用する側の視点を持った教育にも取り組んでいることです。

報道関係者の質問に応じる東理事長

 東理事長は、パソコンや携帯電話をはじめ、さまざまな技術や製品が使用者のニーズを起点とし、それを軸に発展してきたことに触れ、日本の産業構想力の要点を捉えた取り組みであるとして、次のようにコメントしました。

「社会課題は何か、 それを解決するために何をすべきかを考えながら取り組んでいる今回の高専の活動は、 非常に意義深く 、 素晴らしい」

 その上で、「日本は製造技術や要素技術には強みを持つ一方で、社会課題を見つけ出し、それを軸に新しい産業を創出する『使う側』の発想が弱い。そこが産業構想力の課題だ。」と指摘し、社会課題起点で「半導体をどう使うか」を考える高専の教育アプローチに強い期待を寄せました。

②産学連携を持続させるための課題と全国展開への可能性

サーキットデザイン教育の取組を説明する有明高専 石川CDECセンター長

 CDECの石川センター長より、高専機構が実践する半導体人財育成の中での有明高専の取り組みの紹介を受け、東理事長は、「大変意義深い取り組みだと感じている。現時点で想定している課題、あるいは今後生じうる課題があれば、ぜひ教えていただきたい。また、高専で実践しているような産学連携の規模や仕組みが、日本全体へと広がっていく可能性についても、お考えがあればお聞かせいただきたい。」と問いかけました。
 また、東理事長は、特に有明高専が位置する九州について、「九州は産業界との結びつきが先進的であり、ここでの取り組みは日本全体の展開における重要な参考モデルになる。有明高専発の産学連携の形が全国に広がれば、日本全体の産業競争力強化につながる。」と、地域発のイノベーションモデルとしての可能性を強調しました。
 

高専における産学連携の展望について語る野口参事

 これに対して、本部事務局の野口学務参事は、「多くの企業が人材確保という短期的ニーズを持つ一方、高専は日本の産業全体を支えるための教育を担っている。この立場の違いが産学連携における認識のズレを生みやすい。」その上で「産学連携を“学生のため”だけに限定せず、企業社員のリスキリング機会、教員の産業界学習機会として位置づけることで、“社員も伸びる、学生も伸びる、教員も伸びる”という三方良しの仕組みを構築できる。この構造が成立すれば、産学連携は企業にとっても明確な価値を持つ活動となり、継続性が高まる。」と展望を示しました。

③楽しさを入口に広がる半導体回路設計教育―CDECの挑戦

 令和7年4月に有明高専に設置した「サーキットデザイン教育センター(CDEC)」についても、詳細な説明が行われました。

サーキットデザイン教育センターの詳細を説明する有明高専 石川CDECセンター長

 石川センター長より「体験いただく教材は特許取得済みで知財教育にも活用され、全国規模で実践的な半導体回路設計教育を推進している。」と説明すると、東理事長は、「ぬりえ」を使って半導体設計を小中学生でも楽しく実感できる体験活動(※)を楽しみつつ、次のように関心を示しました。

「やはり、楽しく学ぶことが興味を持つための最も大切な入り口だ。授業をどう設計するかという点も重要。教員だけで完結せず、産学連携の中で企業にも主体的に関わってもらい、自分たちのためだけではない学びを共につくっていくことが求められている。そのために、どのような仕組みを構築するかを丁寧に考え、共感し協力してくれる企業をきちんと見つけて、まずは一歩を踏み出すことが大切だと感じた」

※2023.9.14 高専 新技術説明会【オンライン開催】(科学技術振興機構ウェブサイト)ぬりえで分かる半導体・集積回路 ~サーキットデザイン教育~
https://shingi.jst.go.jp/list/list_2023/2023_kosen-k.html#20230914P-005

「ぬりえで分かる半導体・集積回路」を体験する東理事長と貴島人材開発部門長①
「ぬりえで分かる半導体・集積回路」を体験する東理事長と貴島人材開発部門長②

「ぬりえで分かる半導体・集積回路」を体験する東理事長と貴島人材開発部門長③

■東理事長のコメント“志と使命感に支えられた高専教育への期待”

「私の予想を超えるほど活発に、強い使命感を持って取り組んでいる姿に、非常に感銘を受けました。私自身、高専の関係者や学生の皆さんと接する機会がありますが、高専には非常に高い志を持った若者が集まってきていると感じています。実際に学生と話をすると、『一般的な高校生活を漠然と過ごすのではなく、自分の将来を見据えて学びたい』『受験勉強だけにとどまらず、技術を通じて社会と関わりたい』といった思いから高専を選んだという声を多く耳にします。15歳という早い段階から、理論を学びつつ自ら手を動かしてモノを作る人材を育てていることから、高専に寄せる期待は非常に大きいものがあります。特に、技術だけでなく、リベラルアーツ的な視点を通じて自らの価値観を育み、その上で技術を生み出していくことは、これからの時代において極めて重要です。その点でも、今回拝見した教育の在り方は、時代の要請に応える非常に意義深いものだと感じています。また、最近は大学と高専の連続的な交流が定着しつつあり、これは非常に良い傾向です。ヨーロッパでは高校段階から専門を意識する教育が一般的ですが、日本においてもこうした特徴ある教育モデルは、将来的に大きな競争力になると確信しています。」

東理事長

■梶山理事(高専機構)のコメント

「国立高専は全国に51校あり、約5万人が在籍する工業系に特化した日本最大の国立高等教育ネットワークです。15歳から20歳までの5年間一貫教育を行い、早期から専門的な知識と技術を身につけることができる点が最大の特徴です。高度な専門性と実践力を重視し、実験・実習を軸にプロジェクト型教育を展開しており、半導体を含む現在の産業・社会に必要な分野の人財育成を産業界や行政機関の方々と連携して推進しています。51校はそれぞれ特色を持ちながらも、モデル・コア・カリキュラム(MCC)という共通の到達目標を共有しており、MCCを活用することで、教材や教育資源を全国で共有し、スケールメリットを生かした教育展開が可能な点が大きな強みだと考えています。」

高専機構 梶山理事

■八木校長(有明高専)のコメント

「この度、日本の半導体産業復活を牽引されるLSTCの東哲郎理事長をはじめとする皆様を、高専として初めて本校にお迎えでき大変光栄に存じます。本校の教育活動への高いご評価は、教職員や学生の大きな励みです。

 令和7年4月設置の『サーキットデザイン教育センター(CDEC)』は、有明高専の教育実績を基盤に全国51の国立高専と連携し、我が国に不可欠な『設計人材』の育成を目的としています。私たちは単なる技術教育にとどまらず、東理事長にもご共感いただいた『社会課題を起点に半導体をどう活かすか』という俯瞰的な産業構想力を持つ人材育成を重視しています。今後も産業界の皆様と持続的かつ互恵的な連携(三方良しの関係)を深め、高度な技術力とアントレプレナーシップを備えたイノベーション人材の創出に尽力してまいります。」

有明高専 八木校長

【視察の詳細】当日のスケジュールと内容
◆ 来訪者
 • 東 哲郎 氏(LSTC理事長・Rapidus株式会社 取締役会長)
 • 貴島 和美 氏(LSTC人材開発部門長・Rapidus株式会社 エグゼクティブアシスタント)
◆ 高専機構側出席者
 • 梶山 正司 理事(高専機構)
 • 八木 雅夫 校長(有明高専)
 • 下田 貞幸 校長(佐世保高専)
 • 佐世保工業高等専門学校・熊本高等専門学校 関係者(拠点校)
 • 有明工業高等専門学校 関係者(実践校)
 • 高専機構本部参事 ほか
◆ 視察内容
 1. 全国51高専をつなぐ高専機構の「半導体人財育成エコシステム構想」
 2. 九州から全国へ広がる高専の半導体回路設計教育
 3. 有明高専サーキットデザイン教育センター(CDEC)
 4. CDEC石川センター長考案「塗り絵を活用した半導体回路設計講座」模擬体験

創立60周年記念展示ホールにて記念撮影

■サーキットデザイン教育センター(CDEC)設置の背景と目的

「日本の半導体産業復権に向けた「設計人材」育成」
 近年、AI やIoT、自動運転といった次世代技術の進展に伴い、その基盤となる半導体・集積回路の重要性は飛躍的に増大しています。しかし、かつて世界をリードした日本の半導体産業は、産業構造の変化への対応の遅れなどから国際競争力が低下し、特に「設計」分野における高度専門人材の不足が深刻化しています。

 CDECは、この喫緊の課題に対し、有明高専が長年培ってきた半導体・集積回路設計教育の実績を基盤に、全国の国立高専と連携しながら、日本の半導体産業を支える実践的かつ研究開発志向の人材を育成・輩出することを目的としています。

電子回路を学ぶ有明高専本科生

■有明高等専門学校について

 有明工業高等専門学校は、昭和 38 年に創立された福岡県大牟田市にある国立の高等教育機関です。平成 28 年に5学科を創造工学科の1学科に再編しました。本学科は環境・エネルギー工学系(エネルギー、応用化学、環境生命の各コース)と人間・福祉工学系(メカニクス、情報システム、建築の各コース)の2 系6コースで構成されています。

 半導体分野の実践校としても設計人財育成の取り組みを進めており、設計ツール(EDA) 等の活用に関する支援を行っています。また、半導体及びエレクトロニクス製造サプライチェーンを網羅する世界有数の国際展示会「SEMICON Japan 2025」において、サーキットデザイン教育センター(CDEC)の取り組みをもとに、回路設計に関する競技を実施するなど、全国の人材育成をつなぐ役割も果たしています。

有明高専外観

学校名:独立行政法人国立高等専門学校機構 有明工業高等専門学校
所在地:〒836-8585 福岡県大牟田市東萩尾町150
校長:八木 雅夫
URL:https://www.ariake-nct.ac.jp/
事業内容:高等専門学校・高等教育機関

■独立行政法人国立高等専門学校機構について

 高専機構は社会が必要とする技術者を養成するため、中学生の卒業生を受け入れ、5年間一貫の技術者教育を行う高等教育機関として、現在、全国に51の国立高等専門学校(高専)を設置しています。高専のカリキュラムは、実験・実習を重視した専門教育を早期段階から行うことにより、20歳の卒業時には大学と同程度以上の知識・技術を身につけるものとなっています。卒業生は日本の産業や社会の発展を担う中心的な役割を果たし、ものづくり大国である日本を支えています。

高専機構本部棟外観

組織名:独立行政法人 国立高等専門学校機構
所在地:〒193-0834 東京都八王子市東浅川町701-2
理事長:谷口 功
URL:https://www.kosen-k.go.jp/
事業内容:国立高等専門学校(高専)の設置・運営

■本リリースに関する問い合わせ先

サーキットデザイン教育センター(CDEC)に関すること
独立行政法人国立高等専門学校機構 有明工業高等専門学校
総務課連携推進係
〒836-8585 福岡県大牟田市東萩尾町150
TEL:0944-53-8627
E-mail:souren-staff@ml.ariake-nct.ac.jp
URL:https://www.ariake-nct.ac.jp/

半導体人財育成エコシステム構想に関すること
独立行政法人国立高等専門学校機構
本部事務局 学務課教務係
〒193-0834 東京都八王子市東浅川町701-2
TEL:042-662-3143
E-mail:kyoiku@kosen-k.go.jp
URL:https://www.kosen-k.go.jp/
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会社概要

URL
https://www.kosen-k.go.jp/
業種
教育・学習支援業
本社所在地
東京都八王子市東浅川町 701-2
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代表者名
谷口 功
上場
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資本金
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設立
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