エチオピア 1,000万人以上が食糧支援を待つ エルニーニョによる干ばつが深刻化 【報道参考資料】
人道支援ニーズは昨年の3倍に
※本信はユニセフ本部が発信した情報をもとに、日本ユニセフ協会が編集・翻訳したものです。
【2016年4月1日 アジスアベバ(エチオピア)発】
エルニーニョ現象の影響を受け、大規模な干ばつが起こっているエチオピアから発信された、4/1付の更新情報の抜粋をお届けします。
<概況>
- エチオピアはいま、エルニーニョ現象の影響による異常気象によって、この数十年で最悪レベルの干ばつに見舞われています。エチオピアは、これまでにも繰り返し洪水や干ばつに襲われてきた国で、それ自体は珍しいことではありませんが、今回の干ばつはその規模と被害の甚大さが、これまでの経験をはるかに超えています。この国の労働人口の85%が農業に従事しており、昨年、その生産高の80%以上を支えている雨期に雨が降らなかったことは、人々の生活に大きな打撃を与えるとともに、収穫がなく食糧備蓄が減る今年の“lean season”には非常に厳しい状況になることが予想されています。
- 人道支援のニーズは、昨年比の3倍に膨れ上がっています。緊急の食糧支援を必要とする人は、1,000万人以上(総人口の10%以上)。また、600万人に上る子どもたちが、飢餓や病気、水不足の危険に直面しています。
- 栄養不良が急速に広がっています。重度の急性栄養不良の治療が必要な子どもは45万人。さらに220万人の子どもや妊産婦が、中度の急性栄養不良状態にあります。
- 干ばつが原因で質の高い教育を受ける機会を失った子どもや若者は210万人、また安全な水やトイレの支援が必要な人々は、580万人に上ります。
- すでにアフリカで最も隣国からの難民を受け入れている(2016年2月時点で73万人以上)エチオピアでは、水や食糧を求めてさらに人々が移動し、そのことが民族間の緊張を高めるのではないかと懸念されています。
- 2011年にアフリカ東部(アフリカの角地域)で起きた食糧危機と比較しても、今回の状況の深刻さが分かります。
2016年干ばつ | 2011年食糧危機 | |
食糧支援を必要とする人 |
1,020万人 |
450万人 |
重度の急性栄養不良児 | 45万人 | 32万8,750人 |
エチオピアが受け入れている難民の数 | 73万2,700人 | 約30万人 |
<ユニセフの緊急支援>
栄養
- ユニセフは、栄養分野で活動する支援機関や団体の調整役として主導的立場で活動しつつ、特に栄養治療食、栄養治療用ミルクなどの栄養物資の支援を進めています。ユニセフは、今後、重度の急性栄養不良が増加することも視野に入れ、すでに54万箱以上の栄養治療食を調達しました。これは、一国への栄養治療食支援としては最大規模で、2015年の世界全体の同物資調達量の22%を占めます。
- 栄養状態が悪化している子どもをいち早く見つけてケアを開始し、重症化することを防ぐため、コミュニティベースの栄養調査や早期ケアへの支援も行っています。
保健
- 特に安全な水が手に入らないことによる下痢性疾患や主な感染症を予防するためのワクチンや医薬品の支援、移動式保健チームの派遣、国の保健システムの強化などを支援しています。
水と衛生
- ユニセフは、政府と協力し、干ばつの被害が深刻な地域の給水施設の状況についてリアルタイムで情報収集し、いち早くニーズに対応するための支援や、給水車による水供給を拡大する支援を続けています。
- また、井戸を含め給水設備の改修や拡張、浄水剤の提供などを通じて、当面の安全な水へのアクセスを拡大する支援を行っています。
教育
- ユニセフは、教育分野においても主導機関のひとつとして、主に干ばつの影響を受けている6つの州で教育支援が効果的に行われるよう、活動しています。教育分野全体の支援計画に生かしていくため、干ばつが学校やその他教育機関に与えた影響の調査分析も行っています。
- 各州の教育委員会に対し、教材や学習資材を提供するとともに、避難民を受け入れているコミュニティにおいては、既存の校舎に隣接して仮設の学習スペースを設置し、子どもの人数増加に対応する支援を行っています。
2016年を通して、エチオピアの人道支援ニーズは極めて高い状態が続くことが見込まれ、継続的な支援が必要とされています。ユニセフは、2016年のエチオピアでの人道支援活動に必要な資金として、1億600万米ドルが必要であると国際社会に要請していますが、そのうち9,750万米ドルは干ばつ被害への対応資金です。
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■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(http://www.unicef.org/)
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する36の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国36の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 (http://www.unicef.or.jp/)
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