ナイジェリア 少女大量拉致から2年 子どもの自爆攻撃利用、10倍増 ユニセフ報告書発表【プレスリリース】

生存者を苦しめる偏見や差別も指摘

カメルーンの北部の難民キャンプに身を寄せる15歳のナイジェリア出身の少女。少女はボコ・ハラムによって拉致された後に4カ月間拘束され、強制的に結婚をさせられた。© UNICEF_UN015783_Prinslooカメルーンの北部の難民キャンプに身を寄せる15歳のナイジェリア出身の少女。少女はボコ・ハラムによって拉致された後に4カ月間拘束され、強制的に結婚をさせられた。© UNICEF_UN015783_Prinsloo

 

※本信はユニセフ本部が発信した情報をもとに、日本ユニセフ協会が編集・翻訳したものです。
※本信の原文は、http://www.unicef.org/media/media_90827.htmlからご覧いただけます。
 
【2016年4月12日 ダカール(セネガル)/ニューヨーク/ジュネーブ発】
ユニセフ(国連児童基金)は今日、ナイジェリア、カメルーン、チャド、ニジェールで自爆攻撃に関与させられた子どもの数が、2014年の4人から2015年の44人と、過去1年で急増したとのデータを発表しました。その子どもたちの75パーセント以上は女の子です。

「はっきり申し上げたいのは、このような子どもたちは犯罪者ではなく、被害者だということです」とユニセフ西部・中部アフリカ地域事務所代表のマヌエル・フォンテーヌは話します。「子どもたちを欺き、破壊的行為の実行を強要することは、ナイジェリアとその周辺国における暴力の最も恐ろしい側面の一つです」

チボックで200人以上の女子生徒が拉致されてから2年が経過するに際して発表された報告書『Beyond Chibok(チボックを越えて)』は、過去2年間にわたってボコ・ハラムの影響を受けた4カ国の憂慮すべき傾向を示しています。

2014年1月から2016年2月にかけて、子どもが関与した自爆攻撃の件数が最も多い国はカメルーン(21件)で、ナイジェリア(17件)とチャド(2件)がこれに続きます。

過去2年間にわたって、約5人に1人の自爆犯が子どもで、その4分の3が女の子でした。昨年、カメルーンでは2件中1件、チャドでは8件中1件、ナイジェリアでは7件中1件の攻撃で子どもたちが利用されました。

昨年には、自爆攻撃が初めてナイジェリア国境を越えて行われるようになりました。自爆攻撃の総件数は、2014年の32件から昨年の151件まで増加しました。2015年には、これらの攻撃のうち89件はナイジェリアで、39件はカメルーン、16件はチャド、7件はニジェールで実行されました。

意図的に利用され、爆弾を運ぶことを強要されたかもしれない子どもの存在は、人々の間に恐怖と疑念を生み出し、ナイジェリア北東部でボコ・ハラムによる拘束と性的暴力に耐えて生き抜いた少女たちに、悲惨な結果をもたらしています。 

ユニセフとパートナー団体による最近の調査では、武装勢力から逃れた、または解放された子どもたちは、多くの場合、安全保障上の脅威とみなされます。性的暴力を受けた結果生まれた子どもたちもまた、村や受入先のコミュニティ、国内避難民のキャンプで、偏見や差別に直面していることが示されています。

「子どもたちが関与する自爆攻撃が日常化するにつれて、一部のコミュニティでは、子どもたちを自分たちの安全を脅かす脅威とみなし始めています」とフォンテーヌは言います。「子どもたちに対するこのような疑念は、破壊的な結果を招く可能性があります。自身の姉妹、娘たち、母親たちを排除しながら、どうしてコミュニティを立て直すことができるでしょうか」

報告書『Beyond Chibok』は、ボコ・ハラムの影響を受けている4カ国において、紛争が子どもたちに与えた影響を評価しています。それによると、
  • 130万人近くの子どもたちが自宅からの避難を強いられています。
  • 約1,800の学校が、損壊や略奪を受けたり、焼き払われたり、避難民の避難所として使われていたりして、閉鎖されています。
  • ユニセフは、性的暴力の被害者に対する偏見と戦い、拉致されていた人々を保護する環境を整えるため、ナイジェリア、チャド、カメルーン、ニジェールのコミュニティや家族と協力して活動しています。
 

カメルーン北部にある難民キャンプにある、ユニセフが支援する「子どもにやさしい空間」で遊ぶナイジェリアの子どもたち。© UNICEF_UN015791_Prinslooカメルーン北部にある難民キャンプにある、ユニセフが支援する「子どもにやさしい空間」で遊ぶナイジェリアの子どもたち。© UNICEF_UN015791_Prinsloo

 

ユニセフは、パートナー団体と共に、安全な水や命を守るための保健サービスを提供し、仮設の学習スペースを設置することで教育を再び受けられるよう支援し、栄養不良の子どもたちに対する治療を行っています。ユニセフはまた、精神的苦痛に対処するための支援として、子どもたちへの心理社会的支援を提供しています。

この危機への対応においては、いまだ著しく資金が不足しています。本年、ユニセフの人道支援に必要となる9,700万米ドルのうち、11パーセントしか確保できていません。ユニセフは、ナイジェリア、ニジェール、カメルーン、チャドで紛争の影響を受けた子どもたちや女性を支援するため、さらなる資金協力を求めています。

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■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(http://www.unicef.org/
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する36の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国36の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 (http://www.unicef.or.jp/

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業種
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本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
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03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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