次世代型地熱事業の創出に向けQuaise社に出資
深部掘削による超高温熱源を活用する地熱発電事業で協業
出光興産株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:酒井則明、以下「当社」)は、地下深部の掘削を可能にするミリ波掘削技術※1を開発するQuaise Energy, Inc.(本社:米国テキサス州、以下「Quaise社」)に、出光アメリカズホールディングス(当社100%子会社、以下「IAH」)を通じて、出資しました。当社は今回の出資を通じて、次世代型地熱技術およびそのビジネスモデルに関する知見の獲得を進めるとともに、Quaise社が手掛ける地熱プロジェクトへの参画について検討します。
※1 ミリ波掘削技術:ミリ波(高周波の電磁波)を照射して岩盤を加熱・溶融させることで掘削を行う技術。従来の機械式ドリルでは困難とされる超高温・超深部の掘削を可能にする次世代の掘削技術として開発が進められている。
地熱発電は、地下のマグマなどによって熱せられた高温の水や水蒸気の熱エネルギーを利用する発電方式です。太陽光発電や風力発電などとは異なり、天候に左右されない安定した発電が可能です。今後エネルギー需要の拡大が見込まれる中、火山国である日本には豊富な地熱資源があり、地熱発電は比較的安価で低炭素化に貢献する電源として注目されています。
Quaise社は、次世代型地熱技術の一つである強化地熱システム(Enhanced Geothermal Systems=EGS)※2への活用が期待される、独自のミリ波掘削技術の商用化を進めています。ミリ波掘削技術は、最大20kmの深度にある300~500℃の超高温域への到達を目指す技術です。従来の地熱開発技術(深度1~2km、100~200℃)と比べ、同じ掘削地点から得られる熱エネルギー量を大幅に高められる点が特長です。これにより、1カ所あたりの発電規模を拡大でき、発電所の大型化が可能となるため、設備の集約によって建設・運転コストの低減が期待できます。また、従来型地熱が地下に自然に存在する熱水や蒸気を利用するのに対し、次世代型地熱技術では、地下深部の高温の岩盤に人工的に割れ目を設け、水を循環させて熱を取り出します。このため、地下に存在する熱水や蒸気の有無に左右されにくく、開発可能な地域の拡大や立地条件の制約緩和が期待されます。こうした特長から、エネルギー安全保障の向上への貢献も見込まれています。


当社は1973年の第1次オイルショック以降、地熱資源開発に取り組んできました。大分県では1996年に九電みらいエナジー株式会社 滝上発電所への蒸気供給事業を開始し、2017年には滝上バイナリー発電所の単独操業を開始しました。さらに現在は、秋田県において他社と共同で地熱発電所の建設を進めています。また、地熱エネルギーの開発は、2026年5月に発表した中期経営計画(2026-2030年度)において、2030年度に向けた低・脱炭素事業への取り組みの一つと位置付けています。当社は、Quaise社との協業を通じ、次世代型地熱発電事業への参画を目指し、検討を進めていきます。
IAH 社長兼CEO 杉原 啓太郎のコメント:
当社がこれまで資源開発事業で培ってきた専門性とQuaise社の技術を融合し、各国・各地域におけるエネルギーの安定供給とエネルギー安全保障の向上に貢献したいと考えています。次世代型地熱技術の開発が期待される中、Quaise社への出資はその実現に向けた重要な一歩になると考えています。
Quaise社 CEO兼President Carlos Araque 氏のコメント:
当社のミリ波掘削技術を活用し、世界中でより高出力かつ経済性の高い地熱発電を開発していくにあたり、戦略的投資家として出光興産を迎えられることを歓迎します。出光興産は資源開発および地熱発電事業において数十年にわたる豊富な経験を有しています。安価で信頼性の高い持続可能なエネルギーを供給するという両社共通の目標の実現に向け、共に取り組めることを嬉しく思います。
※2 強化地熱システム(Enhanced Geothermal Systems=EGS):地下の高温岩体に人工的に割れ目を形成し、水を循環させて熱エネルギーを回収する地熱技術。自然の熱水資源に依存しないため、従来型地熱発電に比べて開発可能地域の拡大が期待される。
【参考】Quaise社概要
Quaiseはテラワット規模の電力需要が見込まれる世界に向けて、独自のミリ波掘削技術を通じ、地下深部の未利用資源を活用した次世代型地熱発電所の開発を目指します。地球上のあらゆる人口集中地や産業拠点の隣接地に、発電および熱供給(分配)プラントを建設し、安定したクリーン電力の供給を実現することを目指します。
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