夜間の人工光は昆虫の活動を一変させる
都市のハエは都市環境に適応して進化していた!
発表のポイント
・都市で見られるような夜間の人工光がショウジョウバエの一日の活動パターンを変化させることを解明した。
・夜間照明の影響を受けにくく、かつ、高温に強くなるように、都市の個体は進化していたことが示唆された。
・都市化が生物に与える影響を理解することは、都市やその周辺における生物の保全に役立つと期待される。
・都市で見られるような夜間の人工光がショウジョウバエの一日の活動パターンを変化させることを解明した。
・夜間照明の影響を受けにくく、かつ、高温に強くなるように、都市の個体は進化していたことが示唆された。
・都市化が生物に与える影響を理解することは、都市やその周辺における生物の保全に役立つと期待される。
- 研究の概要
千葉大学大学院理学研究院の高橋佑磨准教授と大学院融合理工学府の佐藤あやめ大学院生(当時)はオウトウショウジョウバエを対象に、都市化に伴った環境変化が昆虫に与える影響を評価しました。まず、関東地方の都市部と郊外でオウトウショウジョウバエを採集し、これらを実験室で繁殖させ、それぞれのグループ(郊外群と都市群)に分けて、実験を行ないました。実験室内で「夜間照明のある環境」で飼育すると、「夜間照明のない環境」で育った個体に比べて、成虫の活動量が低下し、かつ、一日の活動パターンが大きく変化することがわかりました(図2)。このことは、夜間人工光が昆虫の生活に大きな影響を与えることを示唆しています。
- 研究の詳細
- 研究プロジェクト
· 環境研究総合推進費「都市化による昆虫への遺伝的・エピ遺伝的影響と汚染的遺伝子流動の評価」(4RF-2103)
· 住友財団「光害に対する昆虫類の遺伝的変化と継承性・非継承性のエピジェネティック変化」
· 大林財団「都市化がもたらす生物の形質へのインパクトの評価」
· 国際科学技術財団「都市化に対するショウジョウバエ類の迅速な適応進化の検証」
· アサヒグループ学術振興財団「都市化による温度と光環境の変化がショウジョウバエに与える影響と対抗的適応進化」
- 論文情報
著者:Ayame Sato and Yuma Takahashi
雑誌名:Ecology and Evolution, Volume 12, Issue 12, Pages: 1-10
doi: https://doi.org/10.1002/ece3.9616
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