IBM、AIアクセラレーター「IBM Spyreアクセラレーター」を提供開始

今秋よりIBM Z、LinuxONE、IBM Power向けに提供開始し、企業の生成AIやエージェント型AIワークロードの拡張を支援

日本IBM

【米国ニューヨーク州アーモンク – 2025年10月7日(現地時間)発 】

IBMは本日、基幹業務のセキュリティーとレジリエンスを重視しながら、生成AIおよびエージェント型AIのユースケースを支える低レイテンシー推論を可能にするAIアクセラレーター「IBM Spyreアクセラレーター」を提供開始することを発表しました。IBMは、2025年初めに、IBM SpyreアクセラレーターがIBM z17、LinuxONE 5、Power11で利用可能になる計画を発表していました。IBM z17およびLinuxONE 5向けには10月28日から、Power11向けには12月上旬から提供開始する予定です。

 

現在のIT環境は、従来の論理ベースのワークフローから、エージェント型AI推論へと急速に変化しています。AIエージェントには、低レイテンシーの推論とリアルタイムのシステム応答性が求められます。IBMは、メインフレームやサーバー上で、最も要求の厳しい基幹業務のワークロードを処理すると同時に、スループットを損なうことなくAIモデルを実行できることが必要だと認識しました。このような需要に対応するためには、基幹データやトランザクション、アプリケーションのセキュリティーとレジリエンスを維持しつつ、生成AIおよびエージェント型AIに対応できるAI推論用ハードウェアが求められます。また、IBM Spyreアクセラレーターは、リスク軽減のためにミッション・クリティカルなデータをオンプレミスで保持できるとともに、運用効率やエネルギー効率にも配慮した設計となっています。

 

IBM Spyreアクセラレーターは、IBM Research のAI ハードウェア・センターによる革新的なイノベーションと、IBM インフラストラクチャーによるエンタープライズ・グレードの開発を融合した、IBMの研究開発から製品化までのパイプラインの強みを体現するものです。IBM Spyreアクセラレーターは当初、プロトタイプ・チップとして発表され、IBMヨークタウン・ハイツの研究所でのクラスター展開や、アルバニー大学の先端AIシステム・センター等との協業を通じて、迅速な反復型開発により改良されました。

 

IBM Researchのプロトタイプは、IBM Z、LinuxONE、IBM Powerシステム向けのエンタープライズ・グレード製品へと進化を遂げました。IBM Spyreアクセラレーターは、32個のアクセラレーター・コアと256億個のトランジスターを搭載した商用のシステム・オン・チップ(SoC)として提供されます。5nmプロセス技術を用いて製造され、各IBM Spyreアクセラレーターは75ワットのPCIeカードに実装されており、IBM ZまたはLinuxONEシステムでは最大48枚まで、IBM Powerシステムでは最大16枚までカードをクラスター化して、AI処理能力を拡張できます。

 

IBM Infrastructure 最高執行責任者(COO)兼IBM Systems担当ゼネラル・マネージャーのバリー・ベイカー(Barry Baker)は、次のように述べています。「私たちの重要な優先事項の1つは、新たなAIワークロードのニーズに対応するインフラストラクチャーを進化させることです。IBM Spyreアクセラレーターにより、生成AIやエージェント型AIを含むマルチモデルAIに対応できるよう、システムの機能を拡張します。このイノベーションにより、セキュリティーやレジリエンス、効率性を一切妥協することなく維持しながら、AI対応のミッション・クリティカルなワークロードを拡張し、企業データの価値を最大限に引き出すことが可能になります」

 

IBM Semiconductorsのゼネラル・マネージャー 兼IBM ハイブリッドクラウド担当バイス・プレジデントであるムケシュ・カレ(Mukesh Khare)は、次のように述べています。「2019年に、AIの計算需要の高まりに対応することを使命として、IBM Research AI ハードウェア・センターを設立しました。これは、近年目にしているLLMやAIモデルの急増が起こる前のことです。現在、高度なAI機能への需要が高まる中、同センターのチップが初めて商用化され、IBMのメインフレームやサーバーを利用しているお客様に、性能と生産性の向上を提供できることを嬉しく思います」

 

IBM Spyreアクセラレーターは、IBMのお客様に、オンプレミスでのAIアクセラレーション技術による高速かつ安全な処理を提供します。これは、IBM Z、LinuxONE、IBM Powerシステム上にデータを保持しながら、AIを大規模に活用できるという重要なマイルストーンです。IBM ZおよびLinuxONEでは、IBM Telum IIプロセッサーとの組み合わせにより、セキュリティーの強化、低レイテンシー、高トランザクション処理能力を実現します。この高度なハードウェアおよびソフトウェア・スタックを活用することで、企業はIBM Spyreアクセラレーターを使用して複数のAIモデルをスケーラブルに展開し、高度な不正検知や小売業の自動化といった予測型ユースケースを強化できます。

 

IBM PowerベースのサーバーでIBM Spyreアクセラレーターを利用するお客様は、AIサービスのカタログを活用してエンタープライズ・ワークフロー全体にAIを統合することで、エンドツーエンドの業務最適化を実現できます。カタログに掲載されたAIサービスは、ワンクリックで導入可能です¹。IBM Power向けのIBM Spyre アクセラレーターは、オンチップ・アクセラレーター(MMA)と組み合わせることで、生成AIのデータ変換を高速化し、企業内の複数の業務プロセスやシステムを、より密接かつ効率的に連携させる高スループットを実現します。さらに、128のプロンプト・サイズに対応し、1時間に800万件以上の文書を取り込むことが可能となり、ナレッジベースへの統合を大規模かつ迅速に実現します²。この性能は、IBMのソフトウェア・スタック、セキュリティー、スケーラビリティー、エネルギー効率と組み合わせることで、企業が生成AIフレームワークを業務に統合する取り組みを強力に支援します。

 

IBM Spyreアクセラレーターの詳細については、以下をご覧ください。

http://www.ibm.com/solutions/ai-accelerator (英語)

 

 

関連情報(英語):

 

¹ IBMが提供するAIサービスは、単一または複数のコンテナとして提供され、1回のデプロイメント・コマンドで導入可能です。カタログのUI上でのワンクリック操作により、バックエンドでコマンドが実行されます。
² IBMの社内テスト結果に基づく。プロンプト・サイズ128、バッチ・サイズ128、1枚のカード・コンテナを使用し、100万ユニットのデータ・セットを処理。実際の結果は、ワークロードの規模、ストレージ・サブシステムの使用状況、その他の条件により異なる場合があります。

出典:IBM

 

 

当報道資料は、2025年10月7日(現地時間)にIBM Corporationが発表したプレスリリースの抄訳をもとにしています。原文はこちらを参照ください。

 

IBM、IBMロゴ、ibm.com、IBM Z、Power、IBM Spyreは、米国やその他の国におけるInternational Business Machines Corporationの商標または登録商標です。他の製品名およびサービス名等は、それぞれIBMまたは各社の商標である場合があります。現時点での IBM の商標リストについては、ibm.com/trademarkをご覧ください。

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会社概要

URL
https://www.ibm.com/jp-ja
業種
情報通信
本社所在地
東京都港区虎ノ門二丁目6番1号  虎ノ門ヒルズ ステーションタワー
電話番号
03-6667-1111
代表者名
山口明夫
上場
未上場
資本金
1053億円
設立
1937年06月