「幼児期の家庭教育国際調査」日本・中国・インドネシア・フィンランド
帰宅は遅いが、家事には取り組む日本の父親「働き方改革」で、共に育児もできる帰宅時間の実現が望まれる
株式会社ベネッセホールディングスの子会社、株式会社ベネッセコーポレーション(本社:岡山市)の社内シンクタンクであるベネッセ教育総合研究所は、2017年に日本・中国・インドネシア・フィンランドの都市圏で、幼児期の子どもを持つ母親を対象に「幼児期の家庭教育国際調査」を実施しました。本年3月には、小学校入学に向けて幼児期に育みたい力として設定した《学びに向かう力》と保護者のかかわりについて報告しました。今回は分析第二弾として、働く母親・父親のワーク・ライフ・バランスの実態について報告いたします。
【調査の主な結果】 国名で表記していますが、各国の都市部の実態です。
<仕事のある日の帰宅時間・子どもと過ごす時間>
1.働く母親の帰宅時間は、日本・中国は「18時台」、インドネシアとフィンランドは「16時台」がピーク。4か国の中でもっとも帰宅時間が遅いのは、中国の母親。
2.父親の帰宅時間は、日本は「19時台」から「22~0時台」に分散し、中国は「18時台」、
インドネシアは「19時台」、フィンランドは「16時台」がピーク。日本の父親の帰宅時間は、他国に比べて顕著に遅い。
3.父親が平日、子どもと一緒に過ごす時間は、日本の父親がもっとも短く、6割が「2時間未満」。帰宅時間が21時台以降の日本の父親の6割は、子どもと過ごす時間が「1時間未満」である。休日は、日本の父親は、5割以上が「10時間以上(睡眠時間を除く)」子どもと一緒に過ごしている。
<父親・祖父母の育児・家事実態>
4.日本の父親が育児の中で「週3日以上」行うのは、「外遊び」16.1%、「室内遊び」33.7%、「寝かしつけ」31.2%。子どもとの遊びの頻度は、4か国の中でもっとも低い。
5.日本の父親が家事の中で「週3日以上」行うのは、「食事のしたく」25.2%、「食事の後片
づけ」41.6%、「ごみ出し」39.4%、「洗濯」27.6%。家事の頻度は、帰宅時間が早く、
家事の取り組み頻度がもっとも高いフィンランドにつぐ。家事の頻度が4か国の中でもっとも低いのはインドネシアの父親。
6.日本では、祖父母の協力は、「子どもを預かってもらうこと」49.9%、「園等の送迎」30.2%、「家事」26.8%(「よくある」+「ときどきある」の合計%)。祖父母の協力をもっとも得ているのは、中国の働く母親で、いずれの項目も約6割が「よくある」と回答。
<母親のワーク・ライフ・バランス満足度>
7.日本の働く母親のワーク・ライフ・バランス満足度は44.3%で、4か国の中でもっとも低い。父親の「洗濯」「ごみ出し」などの家事の取り組み頻度が高いほど、母親の満足度は高い。
【結果のまとめ】
日本の労働者の労働時間の長さと、それが子育てへの参画に及ぼす影響は、少子化の課題のひとつになっています。本調査でも、日本(首都圏)の働く母親、父親の帰宅時間は、4か国の中で遅い傾向にありました。その結果、特に、父親が仕事のある日、子どもと一緒に過ごす時間は、もっとも短く、育児への取り組み頻度も、他国と比較して低い傾向にありました。一方、日本の父親が「食事の後片づけ」、「洗濯」、「ごみ出し」といった家事を「週3日以上」行う頻度は、帰宅時間がもっとも早いフィンランドの父親についで高く、特に「洗濯」は4か国の中でもっとも高い結果でした。これらの家事は、帰宅時間が遅くても取り組める家事といえます。中国のように祖父母の日常的な協力を十分に得ていない日本(首都圏)の働く母親は、帰宅後、子どもの育児を中心的に担い、父親は、帰宅時間に縛られない家事をおもに担っていることがうかがわれます。
母親のワーク・ライフ・バランス満足度は、4か国の中では日本がもっとも低い結果となりました。満足度の低さには様々な要因が考えられますが、今回の調査結果からは、父親の家事頻度が高い場合、母親の満足度はより高くなる傾向がみられました。
「働き方改革」により、今後、日本の父親が、より早く帰宅できるようになり、家事だけでなく、もっと子どもと一緒に過ごし、育児にも、母親と共にかかわれるような環境づくりが望まれます。本調査が、共働き化が進む日本の家庭において、母親と父親が共に家事・育児を担うバランスを考えるヒントになることを願っています。
・図表・文中では、国名を記載していますが、調査は各国の都市圏で実施しており、調査国全体の平均値を示すものではないことにご留意ください。(日本:首都圏、中国:上海・北京・成都、インドネシア:ジャカルタと近郊4市、フィンランド:エスポー他3市)
・中国については、自記式質問紙調査のため、「無答不明」が生じていますが、分析に当たっては、設問ごとに「無答不明」を欠損値として除外して算出しています。
・母親のデータは、母親の就業形態が、「常勤(フルタイム)」「パートタイム」「フリー(在宅ワーク・自営業を含む)」のケースを分析対象としています。父親のデータは、有職の母親の内、有職の配偶者・パートナーがいる人の回答です(日本:330人、中国:2,404人、インドネシア:156人、フィンランド:129人)。
●ベネッセ教育総合研究所のホームページからも、本資料をダウンロードできます。
主な調査結果をまとめた「速報版(レポート)」もこちらからダウンロードできます。
https://berd.benesse.jp/jisedai/
●社会文化的な環境や習慣の違いは、各国の監修者による解説も合わせてご覧ください。
https://berd.benesse.jp/jisedai/research/detail1.php?id=5257
解説者:
日本 秋田喜代美(東京大学大学院教授)
中国 一見真理子(国立教育政策研究所総括研究官)
インドネシア Sofia Hartati (ジャカルタ国立大学教授)
フィンランド Risto Hotulainen(ヘルシンキ大学准教授)
Sirkku Kupiainen(ヘルシンキ大学Centre for Educational Assessment特別顧問)
●2018年3月のプレスリリース(第一弾分析)については、こちらをご覧ください。
https://blog.benesse.ne.jp/bh/ja/news/20180308release.pdf
【主な調査結果】
1.働く母親の帰宅時間は、日本・中国は「18時台」、インドネシアとフィンランドは「16時台」がピーク。4か国の中でもっとも帰宅時間が遅いのは、中国の母親。
3.父親が平日、子どもと一緒に過ごす時間は、日本の父親がもっとも短く、6割が「2時間未満」。帰宅時間が21時台以降の日本の父親の6割は、子どもと過ごす時間が「1時間未満」である。休日は、日本の父親は、5割以上が「10時間以上(睡眠時間を除く)」子どもと一緒に過ごしている。
※「幼稚園・保育園などの送り迎え」は、就園者の母親のみ回答。
●祖父母との同居は中国が顕著に高く、祖母との同居比率は5割を超える。
7.日本の働く母親のワーク・ライフ・バランス満足度は44.3%で、4か国の中でもっとも低い。父親の「洗濯」「ごみ出し」などの家事の取り組み頻度が高いほど、母親の満足度は高い。
※( )内はサンプル数。
【補足資料】
母親の就業状況:
常勤(フルタイム)・パートタイム・フリーランス(在宅ワーク・自営業含む)と回答した母親が、今回の分析対象。
<仕事のある日の帰宅時間・子どもと過ごす時間>
1.働く母親の帰宅時間は、日本・中国は「18時台」、インドネシアとフィンランドは「16時台」がピーク。4か国の中でもっとも帰宅時間が遅いのは、中国の母親。
2.父親の帰宅時間は、日本は「19時台」から「22~0時台」に分散し、中国は「18時台」、
インドネシアは「19時台」、フィンランドは「16時台」がピーク。日本の父親の帰宅時間は、他国に比べて顕著に遅い。
3.父親が平日、子どもと一緒に過ごす時間は、日本の父親がもっとも短く、6割が「2時間未満」。帰宅時間が21時台以降の日本の父親の6割は、子どもと過ごす時間が「1時間未満」である。休日は、日本の父親は、5割以上が「10時間以上(睡眠時間を除く)」子どもと一緒に過ごしている。
<父親・祖父母の育児・家事実態>
4.日本の父親が育児の中で「週3日以上」行うのは、「外遊び」16.1%、「室内遊び」33.7%、「寝かしつけ」31.2%。子どもとの遊びの頻度は、4か国の中でもっとも低い。
5.日本の父親が家事の中で「週3日以上」行うのは、「食事のしたく」25.2%、「食事の後片
づけ」41.6%、「ごみ出し」39.4%、「洗濯」27.6%。家事の頻度は、帰宅時間が早く、
家事の取り組み頻度がもっとも高いフィンランドにつぐ。家事の頻度が4か国の中でもっとも低いのはインドネシアの父親。
6.日本では、祖父母の協力は、「子どもを預かってもらうこと」49.9%、「園等の送迎」30.2%、「家事」26.8%(「よくある」+「ときどきある」の合計%)。祖父母の協力をもっとも得ているのは、中国の働く母親で、いずれの項目も約6割が「よくある」と回答。
<母親のワーク・ライフ・バランス満足度>
7.日本の働く母親のワーク・ライフ・バランス満足度は44.3%で、4か国の中でもっとも低い。父親の「洗濯」「ごみ出し」などの家事の取り組み頻度が高いほど、母親の満足度は高い。
【結果のまとめ】
日本の労働者の労働時間の長さと、それが子育てへの参画に及ぼす影響は、少子化の課題のひとつになっています。本調査でも、日本(首都圏)の働く母親、父親の帰宅時間は、4か国の中で遅い傾向にありました。その結果、特に、父親が仕事のある日、子どもと一緒に過ごす時間は、もっとも短く、育児への取り組み頻度も、他国と比較して低い傾向にありました。一方、日本の父親が「食事の後片づけ」、「洗濯」、「ごみ出し」といった家事を「週3日以上」行う頻度は、帰宅時間がもっとも早いフィンランドの父親についで高く、特に「洗濯」は4か国の中でもっとも高い結果でした。これらの家事は、帰宅時間が遅くても取り組める家事といえます。中国のように祖父母の日常的な協力を十分に得ていない日本(首都圏)の働く母親は、帰宅後、子どもの育児を中心的に担い、父親は、帰宅時間に縛られない家事をおもに担っていることがうかがわれます。
母親のワーク・ライフ・バランス満足度は、4か国の中では日本がもっとも低い結果となりました。満足度の低さには様々な要因が考えられますが、今回の調査結果からは、父親の家事頻度が高い場合、母親の満足度はより高くなる傾向がみられました。
「働き方改革」により、今後、日本の父親が、より早く帰宅できるようになり、家事だけでなく、もっと子どもと一緒に過ごし、育児にも、母親と共にかかわれるような環境づくりが望まれます。本調査が、共働き化が進む日本の家庭において、母親と父親が共に家事・育児を担うバランスを考えるヒントになることを願っています。
【データに関する留意点】
・図表・文中では、国名を記載していますが、調査は各国の都市圏で実施しており、調査国全体の平均値を示すものではないことにご留意ください。(日本:首都圏、中国:上海・北京・成都、インドネシア:ジャカルタと近郊4市、フィンランド:エスポー他3市)
・中国については、自記式質問紙調査のため、「無答不明」が生じていますが、分析に当たっては、設問ごとに「無答不明」を欠損値として除外して算出しています。
・母親のデータは、母親の就業形態が、「常勤(フルタイム)」「パートタイム」「フリー(在宅ワーク・自営業を含む)」のケースを分析対象としています。父親のデータは、有職の母親の内、有職の配偶者・パートナーがいる人の回答です(日本:330人、中国:2,404人、インドネシア:156人、フィンランド:129人)。
●ベネッセ教育総合研究所のホームページからも、本資料をダウンロードできます。
主な調査結果をまとめた「速報版(レポート)」もこちらからダウンロードできます。
https://berd.benesse.jp/jisedai/
●社会文化的な環境や習慣の違いは、各国の監修者による解説も合わせてご覧ください。
https://berd.benesse.jp/jisedai/research/detail1.php?id=5257
解説者:
日本 秋田喜代美(東京大学大学院教授)
中国 一見真理子(国立教育政策研究所総括研究官)
インドネシア Sofia Hartati (ジャカルタ国立大学教授)
フィンランド Risto Hotulainen(ヘルシンキ大学准教授)
Sirkku Kupiainen(ヘルシンキ大学Centre for Educational Assessment特別顧問)
●2018年3月のプレスリリース(第一弾分析)については、こちらをご覧ください。
https://blog.benesse.ne.jp/bh/ja/news/20180308release.pdf
【主な調査結果】
1.働く母親の帰宅時間は、日本・中国は「18時台」、インドネシアとフィンランドは「16時台」がピーク。4か国の中でもっとも帰宅時間が遅いのは、中国の母親。
2.父親の帰宅時間は、日本は「19時台」から「22~0時台」に分散し、中国は「18時台」、インドネシアは「19時台」、フィンランドは「16時台」がピーク。日本の父親の帰宅時間は、他国に比べて顕著に遅い。
3.父親が平日、子どもと一緒に過ごす時間は、日本の父親がもっとも短く、6割が「2時間未満」。帰宅時間が21時台以降の日本の父親の6割は、子どもと過ごす時間が「1時間未満」である。休日は、日本の父親は、5割以上が「10時間以上(睡眠時間を除く)」子どもと一緒に過ごしている。
4.日本の父親が育児の中で「週3日以上」行うのは、「外遊び」16.1%、「室内遊び」33.7%、「寝かしつけ」31.2%。子どもとの遊びの頻度は、4か国の中でもっとも低い。
●子どもの平日の就寝時間は、日本は「21時頃」中国は「21時半頃」インドネシアは「20時頃」フィンランドは「20時半頃」がピーク。帰宅時間が早く、「16時台」がピークであるフィンランドの父親は、子どもの就寝時間が早くても、子どもとの遊びに日常的にかかわることができる。
5.日本の父親が家事の中で「週3日以上」行うのは、「食事のしたく」25.2%、「食事の後片づけ」41.6%、「ごみ出し」39.4%、「洗濯」27.6%。家事の頻度は、帰宅時間が早く、家事の取り組み頻度がもっとも高いフィンランドにつぐ。家事の頻度が4か国の中でもっとも低いのはインドネシアの父親。
●育児は、20時台までに帰宅する父親と21時台以降に帰宅する父親で取り組み頻度の差が大きいが、家事は育児に比べて、帰宅時間による取り組み頻度の差は少ない。
6.日本では、祖父母の協力は、「子どもを預かってもらうこと」49.9%、「園等の送迎」30.2%、「家事」26.8%(「よくある」+「ときどきある」の合計%)。祖父母の協力をもっとも得ているのは、中国の働く母親で、いずれの項目も約6割が「よくある」と回答。
※祖父母がいない場合は「ぜんぜんない」を選択。
※「幼稚園・保育園などの送り迎え」は、就園者の母親のみ回答。
●祖父母との同居は中国が顕著に高く、祖母との同居比率は5割を超える。
7.日本の働く母親のワーク・ライフ・バランス満足度は44.3%で、4か国の中でもっとも低い。父親の「洗濯」「ごみ出し」などの家事の取り組み頻度が高いほど、母親の満足度は高い。
●父親の家事頻度が高いほど、母親のワーク・ライフ・バランス満足度が高い。
※父親の家事頻度得点…「食事の後片づけをする」「ごみを出す」「洗濯をする」の3項目について、「ほとんど毎日する」を4点、「週に3~5日する」を3点、「週に1~2日する」を2点、「ほとんどしない」を1点として算出し、平均点を出した。平均点を均等な分布になるように3分割し、「高群」「中群」「低群」とした。
※( )内はサンプル数。
【補足資料】
母親の就業状況:
常勤(フルタイム)・パートタイム・フリーランス(在宅ワーク・自営業含む)と回答した母親が、今回の分析対象。
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