Meiji Seika ファルマとFRONTEO、Drug Discovery AI Factoryを活用したドラッグリポジショニングに関するプロジェクトを開始
既知の文献情報から疾患と標的分子間の未知の関連性を体系的に発見する独自技術により、標的分子に対する新たな適応症候補の探索を推進
Meiji Seika ファルマ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:永里 敏秋、以下「Meiji Seika ファルマ」)と株式会社FRONTEO(本社:東京都港区、代表取締役社長:守本 正宏、以下「FRONTEO」)は、AI技術を活用したドラッグリポジショニング*1に関するプロジェクト(以下「本プロジェクト」)を開始したことをお知らせします。

本プロジェクトでは、FRONTEOの仮説生成に特化したAI創薬支援サービス「Drug Discovery AI Factory(以下「DDAIF」)」*2と、Meiji Seika ファルマがこれまでに蓄積してきた医薬品研究開発における優れた知見を掛け合わせ、既存薬における新たな価値の創出を加速します。
■ドラッグリポジショニングが注目されている理由
近年、疾患の複雑化・多様化に伴い、新たな創薬標的分子の探索*3は年々困難さを増し、標的分子の“枯渇”が深刻な社会課題となっています。新薬開発には10〜15年以上の期間と数百億〜数千億円単位の費用を要しますが、その成功確率は1%未満とされており、製薬企業にとって大きな負担となっています。
こうした背景から、新薬をゼロから開発するのではなく、既存の創薬資源を新たな治療領域に活用するドラッグリポジショニングが注目されています。既存薬はすでに基本的な安全性が確認されているため、非臨床試験を省略して臨床試験に進むことが可能であり、開発期間を3〜12年に短縮し、費用を50〜60%削減できる可能性がある*4と報告されています。
既存薬の改良や適応症の拡大によって、製品価値を高め、特許権に基づく独占的販売期間を延長しつつ、必要とする人々に薬を届けることを可能にする「ライフサイクルマネジメント」の最適化は、製薬企業における重要な戦略の一つとして位置付けられています。
■Meiji Seika ファルマ株式会社 常務執行役員/研究開発本部長 成瀬 毅志のコメント
「Meiji Seika ファルマが目指すのは、First in Classの新薬創出です。その実現には、研究開発力の継続的な強化が不可欠であり、その鍵となる最先端テクノロジーの導入を積極的に進めています。明治グループでは『meijiらしい健康価値の実現』を加速させるため、昨年グループDX戦略を発表しました。その中核をなす基本戦略「業務変革・生産性向上と競争優位性の昇華」では、取り組みの一つとして、AI活用による研究開発の高度化・競争力の強化を図ります。
FRONTEOのDrug Discovery AI Factoryは、膨大な自然言語データや科学情報を迅速かつ的確に解析し、未報告を含む疾患-分子関連性を予測することで、研究開発プロセスの革新と効率化に大きく貢献する可能性を秘めていると考えます。当社はその科学的根拠に基づく仮説生成能力に期待を寄せており、本プロジェクトを通じ、研究開発の質とスピードの両面での飛躍的な向上を目指します。」
■株式会社FRONTEO 取締役/CSO(Chief Science Officer) 豊柴 博義のコメント
「FRONTEOは、AI創薬事業において、自然言語処理に特化した自社開発の特化型AI『KIBIT(キビット)』と創薬研究者およびAIエンジニアの知見を融合し、疾患関連遺伝子ネットワークの解析や標的分子候補に関する仮説構築を通じて、創薬研究者の意思決定を強力に支援するAI創薬支援サービスDDAIFを展開しています。DDAIFは、AIがバイアスにとらわれず網羅的かつ圧倒的なスピードで膨大な情報を解析できる点に加え、既存の論文で報告されていない未知の標的分子と疾患の関連性を非連続的に発見できることを強みとしています。
新規創薬の難易度が年々高まる中、本技術は、Meiji Seika ファルマの医薬品の価値の最大化と事業成長、薬を必要とする患者さんのQOL(生活の質)向上に貢献します。加えて、標的分子の枯渇という世界的な創薬の課題や、日本の医薬品産業の発展に対してもブレイクスルーをもたらすものと考えています。」
*1 既存・開発中の医薬品・創薬モダリティを活用し、当初想定していた疾患とは異なる疾患に転用すること
*2 AIと創薬に精通したFRONTEOの創薬エキスパートが、KIBITの自然言語処理技術と独自の解析手法を駆使し、標的分子・適応症探索やその裏付けとなる仮説を提供するAI創薬支援サービス
*3 薬を作用させる対象とする標的分子・遺伝子などを特定するプロセス
*4 出典:三菱総合研究所「ドラッグリポジショニングによる創薬力の復活(2020年06月16日)」
■Meiji Seika ファルマ株式会社について URL:https://www.meiji-seika-pharma.co.jp/
Meiji Seika ファルマは、明治ホールディングス株式会社傘下の、感染症領域、免疫炎症領域、中枢神経系領域を中心とした医療用医薬品の開発・製造・販売を行う企業です。1946年にペニシリンの培養を開始して以来、感染症領域のリーディングカンパニーとして、ワクチンによる予防から抗菌薬による治療まで感染制御のプラットフォームを強化しています。さらに感染症と関連性の高い免疫炎症領域、年々患者数が増加しているうつなどの精神・神経系領域、医薬品へのアクセス向上が求められるジェネリック医薬品を国内外に展開するなど、人々の健康にかかわる社会課題の解決に取り組んでいます。
■FRONTEO Drug Discovery AI Factory(DDAIF)について
URL:https://lifescience.fronteo.com/products/drug-discovery-ai-factory/
「FRONTEO Drug Discovery AI Factory(DDAIF)」は、自然言語処理に特化したAI「KIBIT(キビット)」(日本・欧州・米国・韓国特許取得済)と、FRONTEOの創薬研究者およびAIエンジニアの知見を融合したAI創薬支援サービスです。疾患関連遺伝子ネットワークの解析や、標的候補に関する仮説の構築を通じ、医薬品開発における研究者の意思決定を強力にサポートします。
本サービスはすでに複数の大手製薬企業で導入されており、実績を積み重ねています。
※Drug Discovery AI Factoryに使われている技術は、FRONTEOが日本および韓国、米国、欧州で計21件の特許権を取得しています。
■FRONTEOの共創プロジェクトについて
一般的なAIを活用した創薬ソリューションにおいては、ドライ研究(データ解析)とウェット研究(細胞、動物などを用いた生物学的試験)を担当する会社間の積極的な意見交換および機微な情報連携などが行われないままドライ研究の成果物が提出されることも多く、円滑にウェット検証に移行できない要因の一つとなっています。
共創プロジェクトは、このドライからウェットへと進める重要なプロセスにおいて、FRONTEOとクライアント企業の創薬研究者が垣根を越えて密に連携(共創)することで、両社が保有する知識や技術を取り入れ、その相乗効果を最大限に発揮した成果物の創出を目指すものです。
この取り組みは、現在複数の製薬会社と協議を進めている同様のプロジェクトにおいても、クライアントの医薬品開発における成功率向上に大きく寄与するものと期待されます。
【参考:製薬企業との共創プロジェクト】
・ FRONTEOと北海道大学発認定スタートアップ エヌビィー健康研究所、PoC(実証実験)契約を締結, https://www.fronteo.com/news/251001
・ FRONTEOと第一三共、Drug Discovery AI Factoryを活用した毒性情報解析に関する第2フェーズ契約を締結, https://www.fronteo.com/news/pr/20250818
・ FRONTEOと日華化学、Drug Discovery AI Factoryを活用した化粧品領域における新規標的探索を目的とする共創プロジェクトを開始, https://www.fronteo.com/news/pr/20250805
・ FRONTEOとマルホ、Drug Discovery AI Factoryを活用した皮膚科領域における創薬標的探索に関する共創プロジェクトを開始, https://www.fronteo.com/news/pr/20250710
・ 富士製薬工業とFRONTEO、女性医療領域における創薬シーズ評価に関する共創プロジェクトを開始, https://www.fronteo.com/news/pr/20250709
・ メタジェンセラピューティクスとFRONTEO、世界的に注目されるマイクロバイオーム創薬の共同研究を開始, https://www.fronteo.com/pr/20250630
・ FRONTEOと中外製薬、Drug Discovery AI Factoryを活用した標的探索に関する共創プロジェクトを開始, https://www.fronteo.com/pr/20250515
・ EAファーマとFRONTEO、AIを活用した創薬の標的探索に関する共創プロジェクトを開始,
https://www.fronteo.com/pr/20250512
・ FRONTEOとエーザイ、Drug Discovery AI Factoryを活用した標的探索に関する共創プロジェクトを開始, https://www.fronteo.com/pr/20250128
・ FRONTEOと丸石製薬、Drug Discovery AI Factoryを活用したバイオマーカー探索に関する共創プロジェクトを開始, https://www.fronteo.com/pr/20250109
・ FRONTEOとUBE、Drug Discovery AI Factoryを活用したドラッグリポジショニングに関する共創プロジェクトを開始, https://www.fronteo.com/pr/20241114
【参考:アカデミアとの共同研究プロジェクト】
・ FRONTEOと米国オクラホマ大学、がん領域における創薬研究について共同研究を開始,
https://www.fronteo.com/news/pr/20250723_02
・ FRONTEOと東京科学大学、「Drug Discovery AI Factory」を活用した新たな創薬標的の探索に関する共同研究を開始, https://www.fronteo.com/pr/20250513
・ FRONTEOと熊本大学、Drug Discovery AI Factoryを活用した新たながん治療法探索に関する共同研究を開始, https://www.fronteo.com/pr/20250508
■株式会社FRONTEOについて URL:https://www.fronteo.com/
FRONTEOは、自社開発の特化型AI「KIBIT(キビット)」の提供を通じて、日夜、社会課題と向き合う各分野の専門家の判断を支援し、イノベーションの起点を創造しています。当社独自の自然言語処理技術(日本・欧州・米国・韓国特許取得済)は、汎用型AIとは異なり、教師データの量およびコンピューティングパワーに依存することなく、高速かつ高精度での解析を可能にします。加えて、解析した情報をマップ化(構造を可視化)する特許技術を活用することで、「KIBIT」が専門家のインサイトにダイレクトに働きかけることができ、近年、KIBITの技術が創薬の仮説生成や標的探索にも生かされています。

KIBITの独自技術およびアプローチを通じて、「記録に埋もれたリスクとチャンスを見逃さないソリューションを提供し、情報社会のフェアネスを実現する」理念の実現に向けて、ライフサイエンスAI、リスクマネジメント(ビジネスインテリジェンス・コンプライアンス支援分野、経済安全保障分野、リーガルテックAI分野)、DX(ビジネスインテリジェンス・プロフェッショナル支援分野)の各事業で社会実装を推進しています。
2003年8月創業、2007年6月26日東証マザーズ(現:東証グロース)上場。日本、米国、韓国で事業を展開。第一種医療機器製造販売業許可取得、管理医療機器販売業届出。資本金899,176千円(2025年3月31日時点)。
※FRONTEO、KIBIT、Drug Discovery AI FactoryはFRONTEOの日本および韓国、米国、欧州における商標または登録商標です。
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