MHIET、6気筒500kWクラスの水素エンジン発電セットで定格出力を達成
◆ 自社敷地内に設置した実証設備で、水素100%燃料を用いた起動、定格出力、停止までの安定運転を達成
◆ 安全性や信頼性の評価を進め、製品化に向けたプロセスを加速

三菱重工グループの三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社(MHIET、社長:古殿 通義、本社:相模原市中央区)はこのほど、相模原工場内の500kWクラス水素専焼エンジン発電セット※1実証設備において、水素100%燃料を用いた運転での定格出力(435kW/1,500回転)を達成しました。今後、安全性や信頼性の評価を進め、製品化に向けたプロセスを加速していきます。
実証試験は、MHIETがすでに水素100%で安定燃焼できる技術を確立している単気筒エンジンではなく、実際の製品を想定した水素専焼エンジン発電セットを使用している点が特徴です。新たに自社で設計・製造した6気筒500kWクラスの水素専焼エンジンを搭載し、また水素の特徴※2に対する安全機能を追加した補器類を備えた発電セットで、エンジン・発電機・補器類を含むシステム全体の検証を実施してきました。
今回、エンジンの起動から定格出力までの発電、および停止動作までの実際の発電セット製品同様のシーケンスで、一連の動作をすべて水素100%燃料で安定的に運転可能であることや、異常時の保護機能などが有効に機能することを確認しました。MHIETは、水素専焼エンジン発電セットの設計、製作、実証に至るまでの工程を自社工場内で一貫して遂行する開発サイクルを構築しており、一連の実証試験で得た結果を迅速に製品に反映することが可能です。今後の製品化に向けて、信頼性評価や安全性評価を引き続き実施します。
レシプロエンジンは、その機構上、さまざまな燃料を燃焼させることができ、低・脱炭素社会の実現に向けた燃料転換(エナジートランジション)においても、重要な役割が期待されています。中でも水素専焼エンジンを用いた発電セットは、純水素を燃料とすることで、燃料の燃焼によるCO2を排出することなく、分散型電源の脱炭素化に貢献可能です。MHIETは製品化に向けたプロセスを加速し、水素利用拡大による脱炭素社会実現を目指します。
※1 エンジンの出力軸に発電機を組み付けた発電装置と、発電装置を運転するために必要な付帯設備(燃料ガス、潤滑油、冷却水、吸排気などの配管系統および発電機制御盤)、発電装置や付帯設備を格納し保護するエンクロージャーを含む、水素ガスエンジンを用いて発電するために必要な装置一式を指します。
※2 水素ガスは従来燃料の都市ガスと比較し、燃焼性が高く静電気程度のエネルギーで着火し燃焼範囲も広い特徴があります。さらに分子が小さく漏れやすい特徴もあるため、発電セットには水素ガスを漏らさないこと、漏れても検知し安全に停止させること、漏れても上方に滞留蓄積しないことなどの安全対策が求められます。
■主要諸元

■実証試験で使用するグリーン水素について
山梨県が取り組む、再生可能エネルギーの余剰電力と水からグリーン水素を製造する「パワー・ツー・ガス(P2G)システム」により、山梨県甲府市にある米倉山電力貯蔵技術研究サイトで生成された、製造過程、および実証試験での利用時にCO2を排出しないグリーン水素を使用しています。

■三菱重工エンジン&ターボチャージャの水素利用に向けた取組みについて
MHIETの水素エンジン開発の取り組みは、三菱重工グループが2040年のネットゼロを掲げる
「MISSION NET ZERO」実現に向けた製品開発の1つです。
【水素専焼に関するプレスリリース】
◇ 単気筒エンジンでの水素100%安定燃焼
「MHIETが純水素を燃料とした水素エンジンの燃焼試験を実施
産総研と共同で脱炭素・水素化社会を見据え、水素100%の安定燃焼を実現へ」
https://www.mhi.com/jp/news/210121.html
◇ 水素専焼エンジン発電セット実証設備と水素供給設備の完成
「MHIET相模原工場内の水素専焼エンジン発電セット実証設備および水素供給設備が完成
水素専焼エンジンの製品化に向け、実証設備の試験運転を開始」
https://www.mhi.com/jp/news/24052902.html

【水素混焼に関するプレスリリース】
◇ コージェネレーションシステム用ガスエンジン商品機での都市ガス・水素混焼の試験運転
「コージェネレーションシステム用ガスエンジン商品機で都市ガス・水素混焼の試験運転に成功
~水素混焼率35%での定格運転は国内初~」
https://www.mhi.com/jp/news/21082601.html
◇ 5.75MW発電用ガスエンジンでの水素混焼率50%までの安定燃焼
「MHIET、5.75MW発電用ガスエンジンの単筒試験機で水素混焼率50%までの安定燃焼を実現」
https://www.mhi.com/jp/news/23110101.html
■三菱重工業株式会社
ウェブサイト:https://www.mhi.com/jp/
オンラインマガジン「SPECTRA」(日本語):https://spectra.mhi.com/jp
公式X(旧Twitter):@MHI_GroupJP
公式Instagram: @mhi_groupjp
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