人道援助をめぐる諸問題を共に考える 「人道援助コングレス東京 2024」を開催
~人道援助の危機に立ち向かう~ 4月23日~25日開催
ガザとイスラエルにおける紛争は、人びとに深刻な被害をもたらす一方で、物資や医療の提供を含め人々に寄り添った活動が極めて限定的にしか行われていません。同様に、ウクライナ、スーダン、ハイチなどでも困難な状況が続いています。国際社会は自国の安全保障や利益を優先し、人道援助を必要な国や地域では、政府や軍の施策、国際的な制裁が人道援助団体の活動を妨げています。第5回目の開催となる今回は、現場の事情を知る識者らが、弱い立場の人びとを襲う性暴力の問題、複雑な環境でのビジネスと人権、スーダン紛争、気候変動と人道危機、といった議題について意見を交わします。国際協調や人道援助という価値観が次第に薄れていっている現在、そうした問題に関心が向けられ、理解が深まる場となることを期待しています。
2020年にMSFが立ち上げた「人道援助コングレス東京」は、2021年からICRCと共催を始め、昨年に引き続き今年は対面セッション(初日のみ)とオンライン配信のハイブリッド形式で開催します。国際協力分野の関係者(実務者、政策立案者、研究者等)間の対話促進を目的とする場ですが、人道危機を取材するジャーナリスト、民間企業や国際協力を学ぶ学生など、人道援助に関心を持つすべての人がご参加頂けます。
開催概要
日時: 4月23日(火)17:00~18:45(オンラインは18:30終了)
早稲田大学日本橋キャンパスホール
(東京都中央区日本橋1-4-1日本橋1丁目三井ビルディング5階COREDO日本橋)
の会場とオンライン配信(Zoom ウェビナー形式)のハイブリッド開催。会場は終了後レセプションあり
※申込締め切り:
会場参加 4月22日 17:00 定員110人
オンライン配信 4月23日(会議終了時まで)定員 1000人
4月24日(水)17:30-21:00 オンライン配信
4月25日(木)17:30-21:10 オンライン配信
※申込締め切り 4月25日(会議終了時まで) 定員1000人
いずれの場合も定員に達した場合には、開催日前に申し込みを締め切る場合があります。
言語: オンライン配信は日英同時通訳あり(23日会場内は同時通訳なし)
参加費: 無料
詳細・申込: https://www.msf.or.jp/congress/
問い合わせ: jindo@tokyo.msf.org
プログラム
(登壇者敬称略)
<4月23日(火)>
17:00-18:45(オンラインは18:30終了)※会場は終了後レセプションあり
オープニング&ハイブリッドセッション:人道援助の危機にどう立ち向かうか?
2023年10月以降のガザとイスラエルにおける紛争の激化は、深刻な人道危機を引き起こしている。様々なアクターが事態打開に向け多面的に働きかけているにもかかわらず、いまだ国際社会は有効な手立てを取れずにいる。ガザ・イスラエルだけでなく、ウクライナやスーダンなど世界各地で人道援助自体が危機に瀕している。本セッションでは、そうした危機の実情を明らかにするともに、人道援助が存続しつづけるために何が必要で、どのような行動が求められるのか議論する。
キーノート・アドレス(基調講演):
・榛澤祥子(ICRC駐日代表)
・村田慎二郎(MSF日本事務局長)
パネリスト:
・伊藤礼樹(国連高等難民弁務官事務所=UNHCR 駐日代表)
・山口真一 (国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授)
・谷川瑞華(東京女子大学4年、十大学合同セミナー運営委員)他
モデレーター:榎原美樹(ジャーナリスト/ドキュメンタリスト、元NHK記者・キャスター)
コメント:松原一樹(外務省国際協力局 緊急・人道支援課長)
<4月24日(水)>
17:30-19:00
オンラインセッション1:脆弱な立場の人びとを襲う性暴力 ~未来のために必要な対応~
女性の3人に1人は生涯に一度は暴力または性暴力の被害に遭うと言われている。性暴力とはレイプ、性的虐待、強制不妊手術や女性器切除術などを指す。多くの人の命を奪い、人生に消えない影響を及ぼす性暴力は世界中で発生しているが、紛争地や災害後など不安定な環境において特に発生しやすく、男性も被害者になり得る。このような環境下では被害者に対する医療サービスが不足していることに加え、差別や報復を恐れて性被害を報告できないケースも多く、未だ支援が行き届いていない。日本でも東日本大震災発生後に82件の性暴力事例が報告されるなど性暴力の予防や被害者支援、また加害者への教育や心理的サポートにおいて多くの課題が残る。
本セッションでは国内外の性暴力被害者の治療・支援や加害者のサポートに関わった経験のある登壇者より、性暴力発生の現状、医療サービスや支援の課題、今後の対策などを論議し、未来の性暴力撲滅を模索する。
パネリスト:
・牧野百恵(日本貿易振興機構アジア経済研究所=ジェトロ 開発研究センター主任研究員)
・福井裕輝(性障害専門医療センター=SOMEC 代表理事)
・土岐翠(MSF 助産師)他
モデレーター:草野洋美(公益財団法人ジョイセフ シニア・アドボカシー・オフィサー)
19:30-21:00
オンラインセッション2:「ビジネスと人権問題」にどう立ち向かうか ~紛争鉱物と人道上の懸念~
武力紛争など情勢不安を抱える複雑な環境では、安全に事業を実施するうえで人権についての配慮が欠かせない。コンプライアンスや社会的受容を意識しながら、ビジネスを展開するうえで戦略的な取り組みもまた必要で、人権を軽視すれば、地元住民だけでなく、事業そのものと組織の評判に深刻な影響を及ぼす。責任ある事業展開、サプライチェーンマネジメントは、紛争や人権侵害に拍車をかける事態を回避するために不可欠である。
本セッションでは、紛争下において武装勢力の資金源となり、暴力を助長する可能性がある鉱物資源に焦点を当て、利害関係を持つ関係者と共に優先して取り組むべき人道上の課題について考える。協力:国連開発計画(UNDP)
パネリスト:
・マレーネ・ヴェフラー(ジュネーブ・セキュリティ・セクター・ガバナンス・センター=DCAF 主任プログラムマネジャー)
・クロード・ヴォワイヤ(ICRC国際法・政策・人道外交局経済顧問)他
モデレーター:シニーサ・ミラトヴィッチ(UNDP 危機局ビジネスと人権スペシャリスト)
<4月25日(木)>
17:30-19:00
オンラインセッション3:スーダンに関心を
2023年4月にスーダンのハルツームで始まったスーダン軍と即応支援部隊(RSF)の衝突以来、戦闘が各地でエスカレートし、同月末には多くの日本人がスーダンから退避したことが報道された。現在、スーダン国内そしてチャド、南スーダンを含む近隣諸国で800万人以上が国内避難民・難民となっている。難民・避難民キャンプでの栄養失調、ダルフールでの民間人に対する大規模な暴力などが報告され、人道危機が悪化の一途をたどっているにもかかわらず、完全に国際社会の関心の外に置かれ、顧みられない紛争となっている。本セッションでは、スーダンの人道危機の現状を把握し、今後いかに取り組んでいくべきか議論する。
パネリスト:
・今中航(日本国際ボランティアセンター=JVC スーダン事務所現地代表)
・窪田朋子(国連アフガニスタン支援ミッション・ヘラート事務所長、前国連スーダン統合移行支援ミッション・カドゥグリ地域事務所長=コルドファン・ブルーナイル州管轄)
・クレア・ニコレット(MSF緊急対応セル副マネージャー)他
モデレーター:小林綾子(上智大学総合グローバル学部総合グローバル学科准教授)
19:30-21:10
オンラインセッション4&クロージング:気候変動と人道危機: 共に未来を切り拓く
記録上最も暑い年となった2023年。熱波や干ばつだけでなく、気候変動はサイクロンや洪水、海面上昇といった様々な自然災害を世界中で引き起こしている。加えて、人びとはより安全な場所へと移動が強いられ、食料の供給や公衆衛生面にも深刻な影響を及ぼすなど、様々な大規模な人道危機を生む要因となっている。気候変動に端を発したこうした問題を人道援助団体はどう対処しているのか。本セッションでは、国際機関、NGO、シンクタンク、ユース代表をパネリストに迎え、幅広い視点から議論する。
パネリスト:
・ブラッドリー・メリッカー(国際移住機関=IOM 上級地域緊急・危機後対応専門官)
・キャサリン‐ルーン・グレイソン(ICRC国際法・政策・人道外交局政策部長)
・マリア・ゲバラ(MSF国際医療主事)他
モデレーター:津高政志(地球環境戦略研究機関 シニアプログラムコーディネーター)
国境なき医師団(MSF)について 民間で非営利の医療・人道援助団体。紛争地や自然災害の被災地、貧困地域などで危機に瀕する人びとに、独立・中立・公平な立場で緊急医療援助活動を届けている。現在、世界75の国と地域で、医師や看護師をはじめ4万9000人のスタッフが活動(2022年実績)。1971年にフランスで設立、1999年にはノーベル平和賞を受賞。1992年に日本事務局が発足し、日本国内では、援助活動に参加する人材の採用・派遣、人道危機や医療ニーズを伝える証言・広報活動、現地医療活動を支える資金調達などを行っている。 赤十字国際委員会(ICRC)について 「敵味方の区別なく、傷ついた人はすべて救う」という理念のもと、1863年に永世中立国のスイス・ジュネーブで発足。政府、反政府勢力、ゲリラ勢力などすべての紛争当事者と対話し、戦時の決まりごとである国際人道法の守護者として、戦禍の人々に寄り添い、命と尊厳を守る役割を与えられている。その活動は多岐にわたり、生活の自立支援や食料・水・避難所の提供、離散家族の連絡回復・再会支援事業、戦争捕虜や被拘束者の訪問、戦傷外科やトラウマケアなど。現在、約1万7千人の職員が約100カ国で、「公平・中立・独立」を原則に活動を展開中。 |
https://prtimes.jp/a/?f=d4782-677-fbf8d263f95ef462dfd3f408cf0f19f6.pdf
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