【小学生の読書に関する実態調査・研究】読書は学力が低い子どもたちに大きなプラス効果「自分で調べる」「話題が増える」幅広いメリットが明らかに
株式会社ベネッセホールディングスの子会社、株式会社ベネッセコーポレーション(本社:岡山市、代表取締役社長:小林仁)の社内シンクタンク、ベネッセ教育総合研究所では、電子書籍の読書履歴と学力テストやアンケート調査の結果をもとに、読書が学力や学びの姿勢にどのような影響を与えているのか、その変化を追跡する調査・研究を開始しました。
1年4か月にわたる今回の研究では、その間の読書量が多い子どもほど学力が向上していること、その影響は特に「算数」で見られること、学力が低い子ども(学力下位者)にプラスの効果が大きいことが明らかになりました。また、子どもたちは読書を通じて「学びの広がり」や「他者とのつながり」を実感しており、意識や行動面への幅広いメリットがあることも見えてきました。
ベネッセ教育総合研究所では、引き続き、読書のジャンルや読み方などに関する分析を行い、読書が多様な資質・能力の向上にどのような影響があるのかについて研究してまいります。
【主な分析結果】
① たくさん読書をしている子どもほど学力が向上 特に「算数」に影響
読書量が「多い」「少ない」「ない」群について、1年4か月の偏差値の変化を比較したところ、「多い」子どもは平均で+1.9ポイントであるのに対し、「無し」は-0.7ポイントと偏差値を下げている。⇒図1
とくに算数で偏差値の変化の差が大きく、「多い」群では+3.5ポイント、「無し」群では-1.3ポイントであった。⇒図2
*「読書 多い」は1年4か月の期間中に電子書籍で本を10冊以上読んだ子ども。「読書 無し」は1冊も読まなかった子ども。
② 読書は学力が低い子どもたちにプラス効果が大きい
学力テストの結果を基に子どもたちを3グループに分け、各学力層で読書の効果が異なるのかを確認したところ、学力が低いほうが読書の効果が大きかった。4教科の偏差値の変化を見ると、「学力上位者」では「読書 多い」群と「読書 無し」群の差+1.5ポイントに対して、「学力下位者」では、「読書 多い」と「読書 無し」の差+4.7ポイントだった。⇒図3
③ 子ども自身も「学びの広がり」「他者とのつながり」など幅広い読書のメリットを実感
電子書籍を利用した子どもを対象によかったと感じることをたずねたところ、「授業で取り上げられた本を読んだ(71.3%)」「わからないことがあったら自分で調べるようになった(66.9%)」「本について家の人と話した(60.0%)」などが上位にあがった。「学びの広がり」から「他者とのつながり」まで、読書のメリットを幅広く実感していることがわかった。⇒図4
データ①:読書の量は、学力にどのような影響を与えているのか
1)【読書量と学力の変化との関係】
たくさん読書をしている子どもほど学力が向上
●読書量が多い子どもほど、学力(4教科の偏差値平均)を伸ばしている。「読書 多い」は平均で+1.9であるのに対して、「読書 無し」は-0.7と偏差値を下げている。
2)【読書量と各教科の学力との関係】
読書量は、特に「算数」の学力向上に影響している
●各教科別に偏差値の変化を見たところ、国語、算数、理科、社会のいずれの教科も「読書量」と「偏差値の変化」には有意差があった。「読書 多い」がもっとも偏差値を高めている。
●そのなかでも、特に「算数」の学力に大きな影響が見られた。「文章中に与えられた問いや条件を正確に読み取る力」を高めていることや、読書習慣によって落ち着いた学習環境が整い、「積み上げ型」の問題(計算問題など)にプラスの効果をもたらしたことなどが推察される。
3)【誰に効果があるのか】
読書は学力が低い子どもたちにプラス効果が大きい
●【事前】(2016 年8 月)の学力テストの結果を基に、子どもたちを3グループに分け、各学力層によって読書の効果が異なるのかを確認したところ、学力が低い子どものほうが読書の効果が大きかった。
データ②:子どもたちは読書のどのような点に「良さ」を感じているのか
4)【子どもからみた読書の効果】
読書がもたらす「学びの広がり」「他者とのつながり」
●電子書籍を利用している子どもを対象に、よかったと感じることをたずねた。その結果、「授業で取り上げられた本を読んだ」「わからないことがあったら自分で調べるようになった」「本について家の人と話した」「友だちに本をすすめることができた」ことなどが上位にあがった。「学びの広がり」から「他者とのつながり」まで、読書のメリットを幅広く実感していることがわかる。
【まとめ】
これからの時代を生きていくために、今の子どもたちには、知識や技能を身につけることだけでなく、それらを活用して思考・判断・表現する力を高めることが求められています。今回の分析では、読書が教科の学力の伸びと関連している可能性が示されました。しかし、それだけでなく、子どもたちは読書を通じて自分が感じたことや疑問を調べたり、誰かと共有するきっかけをつくったりしています。こうした体験は、多様な資質・能力を高めることにつながると考えられます。
ベネッセ教育総合研究所では、今後、より詳細な読書履歴のデータを分析する予定です。どのような子どもがいつ、どのような種類の本を読んでいるのか。その体験がどのような資質・能力につながっているのか。こうした研究を深め、明らかになったことを社会に発信して、子どもたちのよりよい読書環境づくりに役立てていきたいと思います。
※電子書籍サービス「電子図書館まなびライブラリー」
進研ゼミ会員が自由に使える電子書籍のサービスです(https://www.benesse.co.jp/zemi/ml/)。
ネットワークがつながる環境とデバイスがあれば、いつでも、どこでも自由に読書ができます。貸出できる本は定期的に入れ替え、常時1000冊の本から自分の読みたい本を選ぶことができます。このような使い勝手のよさから、今ではこのサービスを使う小・中・高校生は約80万人、毎月の利用者は平均約36万人 (2018年9月現在)。子どもたちにとって、一般の(紙の)書籍に代わる重要な読書機会になっています。
※ベネッセ教育総合研究所のホームページから、本リリースに関連する資料をダウンロードできます。
詳細はこちら→https://berd.benesse.jp/special/bigdata/ebookanalysis.php
ベネッセ教育総合研究所では、引き続き、読書のジャンルや読み方などに関する分析を行い、読書が多様な資質・能力の向上にどのような影響があるのかについて研究してまいります。
【主な分析結果】
① たくさん読書をしている子どもほど学力が向上 特に「算数」に影響
読書量が「多い」「少ない」「ない」群について、1年4か月の偏差値の変化を比較したところ、「多い」子どもは平均で+1.9ポイントであるのに対し、「無し」は-0.7ポイントと偏差値を下げている。⇒図1
とくに算数で偏差値の変化の差が大きく、「多い」群では+3.5ポイント、「無し」群では-1.3ポイントであった。⇒図2
*「読書 多い」は1年4か月の期間中に電子書籍で本を10冊以上読んだ子ども。「読書 無し」は1冊も読まなかった子ども。
② 読書は学力が低い子どもたちにプラス効果が大きい
学力テストの結果を基に子どもたちを3グループに分け、各学力層で読書の効果が異なるのかを確認したところ、学力が低いほうが読書の効果が大きかった。4教科の偏差値の変化を見ると、「学力上位者」では「読書 多い」群と「読書 無し」群の差+1.5ポイントに対して、「学力下位者」では、「読書 多い」と「読書 無し」の差+4.7ポイントだった。⇒図3
③ 子ども自身も「学びの広がり」「他者とのつながり」など幅広い読書のメリットを実感
電子書籍を利用した子どもを対象によかったと感じることをたずねたところ、「授業で取り上げられた本を読んだ(71.3%)」「わからないことがあったら自分で調べるようになった(66.9%)」「本について家の人と話した(60.0%)」などが上位にあがった。「学びの広がり」から「他者とのつながり」まで、読書のメリットを幅広く実感していることがわかった。⇒図4
データ①:読書の量は、学力にどのような影響を与えているのか
1)【読書量と学力の変化との関係】
たくさん読書をしている子どもほど学力が向上
●読書量が多い子どもほど、学力(4教科の偏差値平均)を伸ばしている。「読書 多い」は平均で+1.9であるのに対して、「読書 無し」は-0.7と偏差値を下げている。
2)【読書量と各教科の学力との関係】
読書量は、特に「算数」の学力向上に影響している
●各教科別に偏差値の変化を見たところ、国語、算数、理科、社会のいずれの教科も「読書量」と「偏差値の変化」には有意差があった。「読書 多い」がもっとも偏差値を高めている。
●そのなかでも、特に「算数」の学力に大きな影響が見られた。「文章中に与えられた問いや条件を正確に読み取る力」を高めていることや、読書習慣によって落ち着いた学習環境が整い、「積み上げ型」の問題(計算問題など)にプラスの効果をもたらしたことなどが推察される。
3)【誰に効果があるのか】
読書は学力が低い子どもたちにプラス効果が大きい
●【事前】(2016 年8 月)の学力テストの結果を基に、子どもたちを3グループに分け、各学力層によって読書の効果が異なるのかを確認したところ、学力が低い子どものほうが読書の効果が大きかった。
データ②:子どもたちは読書のどのような点に「良さ」を感じているのか
4)【子どもからみた読書の効果】
読書がもたらす「学びの広がり」「他者とのつながり」
●電子書籍を利用している子どもを対象に、よかったと感じることをたずねた。その結果、「授業で取り上げられた本を読んだ」「わからないことがあったら自分で調べるようになった」「本について家の人と話した」「友だちに本をすすめることができた」ことなどが上位にあがった。「学びの広がり」から「他者とのつながり」まで、読書のメリットを幅広く実感していることがわかる。
【まとめ】
これからの時代を生きていくために、今の子どもたちには、知識や技能を身につけることだけでなく、それらを活用して思考・判断・表現する力を高めることが求められています。今回の分析では、読書が教科の学力の伸びと関連している可能性が示されました。しかし、それだけでなく、子どもたちは読書を通じて自分が感じたことや疑問を調べたり、誰かと共有するきっかけをつくったりしています。こうした体験は、多様な資質・能力を高めることにつながると考えられます。
ベネッセ教育総合研究所では、今後、より詳細な読書履歴のデータを分析する予定です。どのような子どもがいつ、どのような種類の本を読んでいるのか。その体験がどのような資質・能力につながっているのか。こうした研究を深め、明らかになったことを社会に発信して、子どもたちのよりよい読書環境づくりに役立てていきたいと思います。
※電子書籍サービス「電子図書館まなびライブラリー」
進研ゼミ会員が自由に使える電子書籍のサービスです(https://www.benesse.co.jp/zemi/ml/)。
ネットワークがつながる環境とデバイスがあれば、いつでも、どこでも自由に読書ができます。貸出できる本は定期的に入れ替え、常時1000冊の本から自分の読みたい本を選ぶことができます。このような使い勝手のよさから、今ではこのサービスを使う小・中・高校生は約80万人、毎月の利用者は平均約36万人 (2018年9月現在)。子どもたちにとって、一般の(紙の)書籍に代わる重要な読書機会になっています。
※ベネッセ教育総合研究所のホームページから、本リリースに関連する資料をダウンロードできます。
詳細はこちら→https://berd.benesse.jp/special/bigdata/ebookanalysis.php
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