世界初!光り輝くブラックホールのペアを遠方宇宙で発見~これまで提唱されていた理論をハッブル宇宙望遠鏡などを用いて観測~
イリノイ大学のYu-Ching Chen 大学院生とXin Liu准教授、千葉大学先進科学センターの大栗真宗教授が参加する国際共同研究チームは、銀河中心超大質量ブラックホールにガスが降着し明るく輝く天体(クエーサー)が、近接しペアとして存在する「二重クエーサー(図1、図2)」を、遠方宇宙で発見しました。それぞれのクエーサーの周りの二つの銀河が合体する様子も捉えられ、理論的に予想されていた、銀河の合体によって巨大銀河や超大質量ブラックホールが成長する現場を、遠方宇宙で初めて捉えた貴重な発見です。本科学成果は英学術誌 Nature 4月6日発行号に掲載されました。
- 研究の背景
- 研究の成果
理論的には、巨大銀河は銀河同士の合体を繰り返して形成され、またクエーサーの活動も銀河の合体によって誘起されると考えられています。今回発見された天体は、こうした理論予想と整合する天体の発見となります。銀河合体の後、それぞれの超大質量ブラックホールは星との重力的相互作用によって中心に沈んでいき、およそ2億年後にブラックホール連星を形成すると考えられています。
- 今後の展望
- 補足情報
Hubble Spots Double Quasars in Merging Galaxies
https://www.nasa.gov/feature/goddard/2021/hubble-spots-double-quasars-in-merging-galaxies
注2)潮汐相互作用:銀河と銀河など、二つの天体が近づいた場合に働く、それらの天体の形状を変形させようとする重力相互作用。もう一方の天体からの距離が近い側と遠い側で重力がわずかに異なることに起因する。
注3)ガイア衛星:天の川銀河の三次元地図を作ることを目的として2013年にヨーロッパ宇宙機関が打ち上げた位置天文観測専用の衛星望遠鏡。
- 研究プロジェクトについて
- 論文情報
著者:Yu-Ching Chen, Xin Liu, Adi Foord, Yue Shen, Masamune Oguri, Nianyi Chen, Tiziana Di Matteo, Miguel Holgado, Hsiang-Chih Hwang & Nadia Zakamska
掲載誌:Nature
DOI:https://doi.org/10.1038/s41586-023-05766-6
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