金沢大学、金沢大学附属病院が骨格筋電気刺激を用いた干渉低周波による深層筋への刺激を確認 研究成果が「European Journal of Applied Physiology」に掲載

株式会社MTG

金沢大学 西川裕一准教授を筆頭著者としたグループは、株式会社MTG(本社:愛知県名古屋市、代表取締役社長:松下剛)の骨格筋電気刺激装置(Electrical Muscle Stimulation:以下、EMS)を用いて深層筋の糖代謝への影響を明らかにすることを目的に研究を行いました。

この研究結果は「European Journal of Applied Physiology」に掲載されています。

 起立や歩行に関与する表層筋である大腿四頭筋や大殿筋、姿勢保持に関与する深層筋である腹横筋や腸腰筋は加齢とともに萎縮することが報告されています。これらの筋力・筋量の維持増強は転倒予防にも有効とされていますが、特に深層筋への介入が難しいことが課題となっています。

 EMSは随意での筋収縮が困難な方にとってのトレーニングに効果的ですが、筋力強化などに用いられる低周波EMSは、表層筋への効果は高いものの深層筋への刺激効果は小さいことが確認されています。

 そこで2つの中周波が組織内で交差して低周波を生成する干渉低周波に着目しました。中周波は皮膚インピーダンスを低減し、より体内深部への電流浸透を可能にすることが知られています。そして、2つの中周波(例:5000Hzと5020Hzなど)が組織内で交差することで生成されるビート周波数(5020Hzー5000Hz=20Hz)が、刺激の交差部に生じることで深層筋への刺激が可能となります。しかしながら、一般的に用いられている干渉波は、除痛などを目的に行われており、筋力増強目的に用いられることはありません。この背景には、1000Hzを超えるような周波数を用いた場合には、筋収縮に必要なパルス幅を極力狭くする必要があり、刺激としては深層の筋肉に届いても、筋収縮を促すことは困難でした。そこで、パルス幅を深層の運動神経を刺激するのに効果的と報告されている400μsecまで延長し、刺激周波数を400Hzと420Hz(ビート周波数20Hz)に設定することで、深層の筋収縮を促通することを目指しました。

 また、本研究では、体幹、骨盤、下肢の深層筋を含む全ての骨格筋を評価するために、ブドウ糖代謝の指標となる18F-FDGを用いた陽電子放出断層撮影(以下、FDG-PET)※1を用いて、干渉低周波による深層筋への刺激を確認することとしました。

※1 フルオロデオキシグルコースを生体内へ投与することで、グルコースと同様に体内に吸収され代謝動態を撮影する検査法

■目的

 本研究の目的は、低周波骨格筋電気刺激を用いた干渉低周波が、FDG-PETで測定された体幹、骨盤、下肢の表層筋および深層筋における糖代謝を増加させるかを検証することです。

■方法

 健康な成人男性16名を干渉低周波群またはコントロール群のどちらかに無作為に割り付けました。干渉低周波群は腰部および大腿骨近位部にベルト電極を装着し、干渉低周波を受けた後にFDG-PETを行いました。コントロール群は一定時間の安静後にFDG-PETを行いました。

 筋活動の差異を評価するために腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋、大腰筋、腸骨筋、大殿筋、中殿筋、小殿筋、縫工筋、大腿四頭筋、大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋、内転筋の平均標準化摂取量を群間で比較しました。

■結果

 コントロール群と比較して、EMS 群では各筋肉に FDG が集積していました。筋肉活動の差を評価するために、各筋肉の平均標準化集積値(SUV)をグループ間で比較した結果、測定した筋肉15か所すべてにおいて、FDR補正後、コントロール群と比較して EMS 群の SUV が統計的に有意に増加しました(調整済みp<0.05)。

 さらに、腸腰筋は中程度の効果を示したのに対し、他の筋肉は大きな効果を示し、EMS が深層筋と表層筋の活性化に大きな影響を与えていることを示しました。

【結果の一例】

Fig. 2:EMS 群(上段)とコントロール群(下段)の代表的な全身 PET 画像

Fig. 2:EMS 群(上段)とコントロール群(下段)の代表的な全身 PET 画像

Table1:対照群とEMS群の平均SUV(FDR補正)

Table1:対照群とEMS群の平均SUV(FDR補正)

■結論

 この探索的研究は、干渉低周波が、腸腰筋や腹横筋といった深層筋を含む体幹、骨盤、下肢の筋肉において、糖代謝を促進する可能性を示唆しています。本研究結果は、干渉低周波に関する基礎的なエビデンスを提供するものですが、その機能的効果を確認し、臨床患者や高齢者集団における有効性を評価するには、さらなる研究が必要です。


論文の内容はこちら

https://doi.org/10.1007/s00421-025-05847-6

■タイトル

 Increased deep muscle activity with interference low frequency electrical muscle stimulation: evaluation by positron emission tomography

■著者

Yuichi Nishikawa,Junsuke Nakase,Takuya Sengoku,Seigo Kinuya

■掲載雑誌

European Journal of Applied Physiology    

■DOI

DOI:10.1007/s00421-025-05847-6

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会社概要

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URL
https://www.mtg.gr.jp/
業種
製造業
本社所在地
愛知県名古屋市中村区本陣通4-13 MTG 第2HIKARIビル
電話番号
052-307-7890
代表者名
松下 剛
上場
マザーズ
資本金
166億円
設立
1996年01月