MobileyeとSTマイクロエレクトロニクス、完全自動運転車のセンサ・フュージョン用制御コンピュータを目指すEyeQ(R)5を共同開発
MobileyeとSTの長期にわたる協力に基づき、市場に広く普及したEyeQテクノロジー(自動車メーカー25社が採用または採用予定)の第5世代品が、2018年上半期にサンプル出荷予定
Mobileye(NYSE: MBLY)とSTマイクロエレクトロニクス(NYSE: STM、以下ST)は、2020年に登場する予定の完全自動運転車(FAD : Fully Autonomous Driving)において、センサ・フュージョン処理用の制御コンピュータとなる第5世代システム・オン・チップ(SoC) 「EyeQ(R)5」を共同開発することを発表しました。
EyeQ5は、目標とする消費電力と性能を実現するため、10nmノード以下の先進的なFinFET技術を採用し、マルチスレッドCPUコアを8個、Mobileyeの革新的な次世代ビジョン・プロセッサ・コアを18個搭載する予定です。これらの組み合わせにより、EyeQ5の性能は、現行の第4世代品(EyeQ4)の8倍に性能強化されます。EyeQ5は、毎秒12テラ回超の命令を生成する一方、消費電力は5W未満に抑えられるため、受動的な冷却のみでこの卓越した性能を実現することができます。EyeQ5は、2018年上半期にサンプル出荷が開始される予定です。
EyeQ5により、MobileyeとSTの長期にわたる協力は継続されます。STは、車載用製品規格に準拠した製品設計での豊富な経験を生かし、最先端の処理能力、専用メモリおよび高速インタフェース、システム・イン・パッケージの設計をサポートし、EyeQ5による最も厳しい車載用製品規格の認証取得を確実にします。またSTは、製品全体の安全性およびセキュリティに関するアーキテクチャの確立にも貢献します。
Mobileyeの共同設立者で、会長 兼 最高技術責任者(CTO)のAmnon Shashua教授は、次の様にコメントしています。「EyeQ5は、約20個の高解像度センサに対応する卓越した処理能力と、機能安全性の向上を実現しており、将来の完全自動運転車において中央プロセッサとして駆動するよう設計されています。EyeQ5は、2004年にMobileyeが開発したEyeQ1の資産を継承しています。当社は、コンピュータ画像処理に関する深い知見に基づき、車載環境でも受動冷却による動作が可能な消費電力レベル(5W未満)で、膨大な量の演算処理を行う高度に最適化されたアーキテクチャを開発しました。」
STの上級副社長 兼 オートモーティブ・ディスクリート グループ ジェネラル・マネージャであるMarco Montiは、次の様にコメントしています。「これまで、各世代のEyeQテクノロジーが、その価値をドライバーによって認められてきました。同時にSTは、EyeQ1に始まるMobileyeとの協力において、製造、設計、R&Dパートナーとしての価値を証明してきました。STは、業界をリードする高度運転支援システム(ADAS)向けテクノロジーの第5世代品の共同開発を通じて、引き続きより安全で利便性の高いスマート・ドライビング体験を提供していきます。」
技術情報
EyeQ5の独自アクセラレータ・コアは、コンピュータ・ビジョン、信号処理、ディープ・ニューラル・ネットワークを含む機械学習など、多種多様なタスク向けに最適化されています。EyeQ5は、4種類のプログラマブル可能な異なるアクセラレータを搭載しており、それぞれ固有のアルゴリズム群に最適化されています。このようなアクセラレータ・アーキテクチャの多様性が、各タスクに対する最適なコアの選択を通じて、アプリケーションの演算時間と消費電力を削減します。EyeQ5は、最適化されたコア割り当てにより、「スーパー・コンピュータ」並みの能力を低消費電力で提供し、コスト効率の高い受動冷却を可能にします。Mobileyeは、ADASと自動運転市場に注力することで、プログラム可能な複数の特定領域アクセラレータ・ファミリへの投資を可能にしています。
自動運転では、これまでにない高いレベルの機能安全性が求められています。EyeQ5は、最高レベルの車載機器安全規格(ISO 26262規格 ASIL B(D))に準拠するシステム向けに設計されています。
Mobileyeは、ハードウェア・セキュリティ・モジュールの集積によってEyeQ5のセキュリティ保護機能を実現しています。これにより、システム・インテグレータは、ソフトウェア更新やセキュアな車内通信などをワイヤレスでサポートできます。「Root of Trust(信頼の起点)」は、暗号化されたストレージ装置からのセキュア・ブートに基づいて構築されます。
EyeQ5は、自動運転に必要なハードウェア・アクセラレーション・アルゴリズムとアプリケーションのフルパッケージで、自動車メーカーや車載機器メーカーに提供されます。さらに、Mobileyeは、車載製品規格に準拠した標準オペレーティング・システムをサポートすると共に、顧客がEyeQ5上に独自アルゴリズムを導入し、ソリューションの差別化を図れる、完全なソフトウェア開発キット(SDK)も提供します。このSDKは、ニューラル・ネットワークの試作開発および導入や、Mobileyeの事前学習済みネットワーク・レイヤへのアクセスにも使用されます。ハードウェア仮想化やCPUとアクセラレータ間の完全なキャッシュ・コヒーレンスなどのアーキテクチャ要素が、オープン・ソフトウェア・プラットフォームとしてのEyeQ5の採用を推し進めます。
自動運転では、高解像度カメラ、レーダー、LiDARなど、多数のセンサ情報を融合させた処理を行います。センサ・フュージョン・プロセスは、これらすべてのセンサのデータを同時に収集・処理する必要があるため、EyeQ5の専用I/Oは40Gbps以上のデータ帯域幅をサポートしています。
EyeQ5は、プロセッサ間の通信用に2個のPCIe Gen4ポートを搭載しており、複数のEyeQ5デバイスによるシステム拡張やアプリケーション・プロセッサとの接続が可能です。
高度な演算能力とデータ帯域幅の要件は、4267MT/sで動作する4個の32bit LPDDR4チャネルによりサポートされています。
入手状況
EyeQ5は、2018年上半期にサンプル出荷が開始される予定です。また、アプリケーションとSDKを含む最初の開発ハードウェアの提供は、2018年下半期を予定しています。
Mobileyeについて
Mobileye N.V.は、高度運転支援システムおよび自動運転に向けた、コンピュータ・ビジョン、機械学習、データ分析、測位およびマッピング技術の開発において、世界をリードしています。そのテクノロジーは、ドライバーの
安全性の向上や交通事故リスクの軽減を通じて人命を守ると共に、自動運転の実現によりドライビング体験を革新する可能性があります。Mobileye独自のソフトウェア・アルゴリズムとEyeQ(R)チップは、他の車両、歩行者、自転車、動物、がれき、その他の障害物との衝突可能性を予測するため、視野内を詳細に解析します。Mobileyeの製品は、車線、道路境界、路上の障害物などの検出、交通標識、方向案内、信号機などの識別と読み取り、REM(TM) (Road Experience Management)技術によるローカルな通行可能経路やランドマークを含むRoadbook(TM)の作成、自律運転のためのマッピングを実現します。世界的な自動車メーカー25社がこれらの製品を採用または採用予定で、アフターマーケットにも提供されています。さらに詳しい情報はMobileyeのウェブサイト( http://www.mobileye.com/ )をご覧ください。
STマイクロエレクトロニクスについて
STは、私たちの暮らしに欠かすことのできないエレクトロニクス機器に、優れた性能と高い電力効率を特徴とした半導体を提供する世界的な総合半導体メーカーです。あらゆるシーンで活躍するSTの製品は、お客様が開発する次世代モバイルやIoT機器の他、よりスマートな自動車、工場、都市および住宅を可能にします。STは、生活をより豊かにする技術革新を通じ、「life.augmented」の実現に取り組んでいます。STは、10万社を超えるお客様に半導体を提供しており、2015年の売上は69.0億ドルでした。さらに詳しい情報はSTのウェブサイト( http://www.st-japan.co.jp )をご覧ください。
◆Mobileyeへのお問い合わせ先
Dan Galves
CCO / SVP
dan.galves@mobileye.com
◆STへのお客様お問い合わせ先
〒108-6017 東京都港区港南2-15-1
品川インターシティA棟
STマイクロエレクトロニクス(株)
オートモーティブ製品グループ
TEL : 03-5783-8260 FAX : 03-5783-8216
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