エルニーニョ報告書 子どもたちへの影響は終息せず 世界で飢餓、栄養不良、病気の蔓延に警鐘【プレスリリース】

東部・南部アフリカ2,650万人が支援必要

重度の急性栄養不良の治療を受けるトゥハフェニくん(1歳半)。エルニーニョの影響により干ばつと洪水が繰り返し発生したアンゴラでは、多くの子どもたちが重度の急性栄養不良に苦しんでいる。©UNICEF_UN023950_Clark重度の急性栄養不良の治療を受けるトゥハフェニくん(1歳半)。エルニーニョの影響により干ばつと洪水が繰り返し発生したアンゴラでは、多くの子どもたちが重度の急性栄養不良に苦しんでいる。©UNICEF_UN023950_Clark

 

※本信はユニセフ本部が発信した情報をもとに、日本ユニセフ協会が編集・翻訳したものです。
※本信の原文、添付地図(日本語)、報告書(原文)のPDFデータは、http://bit.ly/29hfxsY からダウンロードいただけます。
※関連する画像・動画は、http://uni.cf/29w1son からダウンロードいただけます。

【2016年7月8日 ナイロビ(ケニア)/ニューヨーク発】
ユニセフ(国連児童基金)は本日、2015年から2016年にかけてのエルニーニョ現象は終息を迎えたものの、過去最強レベルのエルニーニョが引き起こした深刻な干ばつや洪水によって飢餓、栄養不良、病気は増え続けており、子どもたちへの破壊的な影響は悪化している、と発表しました。

また、今後年内に、エルニーニョの逆の現象であるラニーニャが被害をもたらす可能性が高く、それによって、もっとも脆弱なコミュニティに暮らす何百万もの子どもたちに影響を与えている重大な人道危機が、さらに深刻になる危険があると、ユニセフの報告書『エルニーニョは終わっていない-子どもたちへの影響(原題:It’s not over – El Niño’s impact on children)』は指摘しています。

飢餓が、最も影響を受けている地域の子どもたちを襲いつつあります。もっとも深刻な被害を受けている東部・南部アフリカでは、2,650万人の子どもたちが支援を必要としており、その中には、重度の急性栄養不良により治療が必要な100万人以上の子どもたちも含まれています。

多くの国では、すでに逼迫している資源が、限界を迎えています。人々は持っている物を売ったり、食事を抜くなどできることはやり尽くしました。幼い子どもたちへの緊急栄養支援などの支援がすぐに、より多く届かなければ、この数十年にわたる開発の前進は損なわれてしまいます。

また、多くの国で、エルニーニョは安全な水へのアクセスに影響を与え、その結果子どもたちの命を奪うデング熱、下痢、コレラといった病気が増加しました。南米、特にブラジルでは、エルニーニョはジカ熱、デング熱、黄熱病、チクングニア熱といった病気を媒介する蚊が増殖しやすい環境を生み出しました。もしラニーニャ現象が広がれば、これまで影響を受けていなかった地域へもジカ熱が広がる可能性があります。

ユニセフはまた、エイズ流行の中心であるアフリカ南部において、エルニーニョの影響によってHIV感染が増加しうるという重大な懸念があることを指摘しています。患者は、空腹時には薬を服用しない傾向にあり、また多くの人々は、限られたお金を保健施設へ行く交通費よりも食べ物を確保することに使うため、食糧不足が抗レトロウイルス薬へのアクセスを妨げる結果となるのです。干ばつはまた、少女や女性たちに、生きるために売春することを強いることもあります。さらに、HIVとともに生きる子どもの死亡率は、重度の栄養不良の場合はそうでない場合に比べて2倍から6倍になります。

 「多くの子どもたちと彼らのコミュニティが、生き延びるための支援を必要としています。ラニーニャが人道危機を悪化させる事態に備える支援も必要です。また、より強力で頻度の高い異常気象を引き起こす気候変動への適応と減災を強化する支援もしなければなりません」とユニセフの緊急支援プログラム部部長のアフシャン・カーンは述べました。「同じ子どもが、エルニーニョの影響を受け、ラニーニャの脅威にさらされ、気がつくと気候変動の最前線に立たされているのです」

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■  各地におけるエルニーニョの影響(本報告書より抜粋)

<アフリカ地域>
  • アンゴラ:140万人(内75.6万人が子ども)が食糧危機。9万6,000人の子どもが重度の急性栄養不良
  • スワジランド:30万人(人口の1/4近く)に干ばつの影響
  • レソト:53万人(内31万人が子ども)が食糧危機。子どもの12.3%が慢性的な栄養不良
  • マラウイ:280万人(内150万人が子ども)が食糧危機。5歳未満児の半数に発育阻害の兆候
  • エリトリア: 特に低地で5歳未満児の栄養不良が深刻
  • エチオピア:過去50年で最悪の干ばつ被害。1,020万人(内600万人が子ども)に食糧支援が必要になる見込み
  • マダガスカル:干ばつが深刻な南部で、その地域人口の80%に相当する110万人が食糧危機
  • ジンバブエ:280万人(内150万人が子ども)が食糧危機
  • ソマリア:38万5,000人が食糧危機。緊急支援がなければさらに130万人が食糧危機に陥る恐れ。急性栄養不良の5歳未満児が10万人
  • モザンビーク:150万人が食糧危機。今後19万人の子どもが栄養不良に陥る恐れ

<アジア・太平洋地域>
  • 朝鮮民主主義人民共和国:干ばつ被害の地域では、5歳未満児の下痢性疾患が72%増加
  • ベトナム:200万人に干ばつの影響。大規模な海水の侵入によって、農耕地や水供給に深刻な被害
  • インドネシア:支援を必要としている人が120万人。乾燥により山火事が増加し、子どもの呼吸器性疾患につながっている。米の価格高騰も人々にのしかかる
  • カンボジア:過去50年で最悪の干ばつで、250万人に影響
  • フィジー:2016年2月のサイクロンが人口の40%に影響。その後も洪水で農業に深刻な被害
  • パプアニューギニア:干ばつと冷害で150万人が食糧危機。緊急の食糧支援が必要な人々は18万人以上

 <ラテンアメリカ・カリブ海地域>
  • ホンジュラス:130万人に干ばつの影響。そのうち、25万2,000人以上に緊急の人道支援が必要
  • エルサルバドル:70万人に干ばつの影響。うち、17万人が食糧危機
  • グアテマラ:91万5,000人が食糧危機。
  • ハイチ:緊急の食糧支援が必要な人々は150万人。13万人の5歳未満児が急性栄養不良

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※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する34の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国34の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 (http://www.unicef.or.jp/

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会社概要

URL
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業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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