窪美澄、直木賞受賞第1作『夏日狂想』は文壇史を揺るがす新たな代表作!
まだ女性がものを書くことが「生意気だ」と思われていた時代に、「書く女」として生き抜いたヒロインの生涯。
『夜に星を放つ』で直木賞を受賞した窪美澄さんが最新作『夏日狂想』を刊行します。現代を舞台に〈大切な何かを喪失した人たち〉の痛みと救いを描いて賞を得た短篇集から一転して、新作はある女性が激動の近現代史の中でさまざまな恋に傷つきながらも作家として自立していく骨太の長篇小説です。
登場人物たちの背景には、中原中也、小林秀雄、長谷川泰子、青山二郎、坂本睦子、林芙美子たち、昭和文壇史の人間関係が凝縮されモデルとなっています。
刊行に先だって特集を組んだ「波」10月号では、
「まだ女性が作家として立つことが困難な時代に行き、ようやく認められた先輩に対する、現代の女性の作家による思いのこもったオマージュ」(川本三郎氏「架空の女性作家への熱いオマージュ」)
「表現することは、生きること。生きることは、身を削ること。だからこそ魂震える作品が生まれる(略)、そのことを『夏日狂想』という一冊で証明してみせるという窪美澄さんの気迫さえも感じる力作」(南沢奈央氏「『表現することとは』という問いへの解答」)
と称賛されています。
〈作者の言葉〉窪美澄さん
「花電車、ジンタのリズム、活動写真……彼女の人生は文化花開く大正時代から始まる。詩人、評論家、作家との出会い。夢は女優から物書きへ。女がまだ自由に何かを書けなかった時代、彼女は文章を書くことと格闘し、女ひとり自由に生きていく。人生を取り戻していく。」
〈あらすじ〉
礼子は女優を目ざして、故郷の広島を出奔した。詩人、小説家、評論家……さまざまな文学者たちとの激しい恋の果てに、互いに傷つけ合いながらも礼子がついに掴んだものは――。関東大震災が襲った大正時代から、二・二六事件、原爆、終戦を挟んで、戦後の昭和へ。激しい時代の変遷の中、礼子は自分の居場所を見つけるが……。
〈著者紹介〉
1965年、東京生まれ。2009年「ミクマリ」で「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』が山本周五郎賞を受賞。2012年に第二作『晴天の迷いクジラ』で山田風太郎賞を、2019年に『トリニティ』で織田作之助賞を、2022年に『夜に星を放つ』で直木三十五賞を受賞した。
〈書籍データ〉
『夏日狂想』 窪美澄 新潮社刊
9月29日発売 四六判ハードカバー 1980円(税込)978-4-10-325926-8
窪美澄 『夏日狂想』 | https://www.shinchosha.co.jp/book/325926/
試し読み | 窪美澄 『夏日狂想』 | https://www.shinchosha.co.jp/book/325926/preview/
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