OKI、SiCパワー半導体固有の劣化モード評価サービスを開始
デバイス開発、デバイス選定、製品設計時の信頼性課題の解決に貢献
OKIグループで信頼性評価と環境保全の技術サービスを展開するOKIエンジニアリング(社長:中井 敏久、本社:東京都練馬区、以下OEG)は、車載機器や産業機器に搭載されるSiCパワー半導体(注1)固有の劣化モードを評価する「AC-BTI(注2)試験サービス」を9月26日より開始します。SiCパワー半導体メーカーやSiCパワー半導体を使用して製品を設計する企業にサービスを提供し、デバイス開発やデバイス選定、製品設計を支援します。本サービスにより、2026年度に年間売上1億円の達成を目指します。
パワー半導体は、電気自動車や産業機器などの幅広い市場で電力制御・変換用途に使用されており、その性能がカーボンニュートラル達成において重要です。これにより、従来のSi(シリコン)パワー半導体よりも優れた高耐圧、低損失の特性を持つSiC(シリコンカーバイド)パワー半導体が急速に普及しています。しかし、SiCパワー半導体にはAC-BTIという固有の劣化モードがあり、長期間のスイッチング動作(オン/オフの繰り返し)によって、しきい値電圧(注3)が変動する事が知られています。しきい値電圧の変動は電力損失増大につながるため、AC-BTI試験は重要とされていますが、この試験規格が最近制定されたばかりで、AC-BTI試験サービスの提供が進んでいないという課題がありました。
このたび、OEGは信頼性試験に関する国際規格(注4)に準拠した評価装置を試験装置メーカーと協力して開発し、SiCパワー半導体固有の劣化モードを評価する「AC-BTI試験サービス」を提供します。本サービスは、温度やストレス印加条件などを細かく調整でき、同時に最大48検体を試験ボードから取り外すことなく連続試験が可能なため、短納期で再現性の高い試験サービスとなります。従来の評価サービスと組み合わせることで、お客様のデバイスにおける信頼性確保や部品選定および製品設計を支援し、SiCパワー半導体のより安心な利用拡大に貢献します。
今後、OEGはSiCパワー半導体向け信頼性試験・評価・解析メニューのラインアップを拡充していきます。広範囲なサービス提供を通じて、カーボンニュートラルの達成に寄与します。
販売計画
標準価格:個別見積
販売目標:年間1億円(2026年度)
サービス提供開始時期:2024年9月26日
用語解説
注1:SiC(Silicon Carbide:炭化ケイ素)パワー半導体
シリコン(Si)と炭素(C)の化合物半導体であり、Siと比較して高温耐性、高耐電圧、高熱伝導率、低損失という特長がある。
注2:AC-BTI(Alternating Current - Bias Temperature Instability)
低温~高温環境下で、ゲート端子にACストレスを印加した場合のしきい値電圧などの特性変動現象。Siパワー半導体では見られない、SiCパワー半導体固有の特性変動である。
注3:しきい値電圧
トランジスタがON状態になるのに必要なゲート端子電圧のこと。
注4:信頼性試験に関する国際規格
JEITA EDR-4713 附属書E、JEDEC JEP195、AQG 324
リリース関連リンク
「SiCパワー半導体のAC-BTI試験サービス」紹介サイト
https://www.oeg.co.jp/semicon/SiC.html
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