パーソルキャリア、国立大学法人 山口大学 と「中山間地域における良質なキャリア教育の機会保障に向けた連携協定」を締結
将来世代の地域・ふるさとへのスキル還元で地域企業の課題を解決する「スキルリターン」による未来の関係人口の創出、地域での起業なども促進する小学校・中学校向けローカル型キャリア教育プログラムの研究開発
このたび締結した協定書に基づき、両機関は、「地域の特色を反映可能なローカル型キャリア教育プログラム」の設計モデルの研究開発を主軸として、多岐にわたる連携協力を推進します。
本協定に基づき、パーソルキャリア、山口大学は共に、教育・研究活動の活性化はもとより、全国の子どもたちが多様なキャリアやライフデザイン(はたらき方、暮らし方、生き方など)の選択肢を獲得できる未来に向けて、大きな役割を果たしたいと考えております。
背景① 連携に至った社会状況
日本の“はたらく”を取り巻く環境は、旧来の産業構造の変化、テクノロジーやAIの進化、さらに少子高齢化や労働人口の減少など、大きな転換期を迎えています。さまざまな変化に直面した時代に生きる将来世代が、主体的に変化に対応していく「生きる力」を育むため、ライフステージの早い段階から、将来の職業的選択肢について考えることを促すキャリア教育の重要性が改めて認識され、さまざまなプログラムが各地で増加しています。
一方で、地方で生まれ育った若者が、自身の将来のビジョンと現実的な職業的受け皿とのギャップに葛藤し、「地元でできる仕事をするか、やりたいことのために都会に出ていくか」という二元論の中での選択を余儀なくされているという課題は、結婚、育児等を含めたライフデザインや、地域・ふるさとではたらくことに期待感や希望を持つことを困難にしています。
背景② 両機関の現在の地域課題の解決を目指した取り組み
パーソルキャリアでは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」を目指すパーソルグループの一員として、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」の実現ならびにコーポレートミッション「人々に、『はたらく』を自分のものにする力を。」の推進に向け、将来世代を重要なステークホルダーと位置づけ、対話を強化する「FR(Future Generations Relations)」活動にも力を入れています。
その一環として、変化の激しい時代にあって、自ら主体的に判断しキャリアを形成していくキャリアオーナーシップの土台となる「生きる力」及び「新会人基礎力」を育むことを目的として、都市部・地方部の区別なく、全国の小学校・中学校(対象:小学4年生から中学3年生)にキャリア教育プログラム「“はたらく”を考えるワークショップ」を無償で提供しています。日々さまざまな人や企業の“はたらく”に向き合い続けるパーソルキャリアのキャリアアドバイザーらが現場で培った経験・知識をもとに講師を務め、多様なキャリアの選択肢や、はたらく価値観、「はたらくこと」のポジティブな面を理解することで、子どもたちが将来に希望を持ち、自己肯定感を高めると共に、普段から主体性、自己決定、価値提供を意識した行動を促していきます。
また、事業においては、現在、2026年までに目指したいSEASONAL MISSION(シーズナルミッション)「多様なキャリアを一緒につくる」を掲げ、都市部だけでなく各地域にもサービスを提供しています。転職サービス「doda」を通じ、地域ではたらきたい転職希望者と地域企業をつなぐ転職支援を行っているほか、副業人材やフリーランスなどのプロフェッショナル人材の総合活用支援サービス「HiPro(ハイプロ)」では、自らのスキルを還元することで地域に貢献したいと考えるプロ人材と、課題を解決したい地域企業をつなぎ、地域企業の課題解決、ひいては関係人口の創出・増加、人材流動化を促進し、地域経済の活性化に貢献する「スキルリターン」プロジェクトを複数の地域で取り組んでいます。
山口大学では、今回の取組の中核となる組織について、学部・研究科の枠を超えた学際的研究組織である「地域のイノベーションシステムを起点とした教育開発研究推進体」として認定し、リーダーを務める原田 拓馬 氏(教育学部・講師)を中心として、地域に根差したキャリア教育のあるべき姿やその効果検証、また地域愛醸成、地域との多様な関わり方に関する研究を進めることで、社会課題の解決を目指しています。
協定により推進する具体的活動
現在の社会状況や両機関のこれまでの取り組みを背景に、中長期的に、Uターン/Iターン、あるいは「スキルリターン」(関係人口の創出・拡大)、地域での起業などを通じた地域社会の多様性と共生を促進することで、地元・故郷に新たな価値やビジネスを創発し、地域・ふるさとが持続可能であるという判断材料となりうる、より多彩で、魅力的なはたらく場所や暮らし方のロールモデルを生み出すことを目指した「地域の特色を反映可能なローカル型キャリア教育プログラムの設計モデル」の開発・研究を共同して行っていくことで合意しました。
開発していくプログラムでは、Uターン/Iターン、テレワーク、二拠点生活、副業、地域での起業などの多様なはたらき方・暮らし方を学ぶキャリア教育を通じて、地域・ふるさとで暮らす、あるいは関わり続けるはたらき方・生き方(関係人口)の選択肢を示します。
山口県内の小学校を最初の実証フィールドとして、多様な仕事そのものの理解や地域・ふるさとへの愛着(シビックプライド)の醸成はもとより、子どもたちが地域・ふるさとに関わり続ける多様なキャリアやライフデザイン(はたらき方、暮らし方、生き方)があることを理解することで、地域・ふるさとに対してポジティブな認識を持ち、将来的に多様な方法で地域社会に主体的・積極的に関わり続ける可能性を高めることを検証していきます。
効果測定を行った後、これを全国の中山間地域や離島部にも展開し、どこに暮らしていても良質なキャリア教育機会が保障される社会の実現を目指します。こうした社会が実現される過程で、地域・ふるさとを拠点にやりがい・生きがいを持って生活する、自分らしいキャリアやライフデザインを選択しやすくなっていくと考えています。
本連携協定のプロジェクトリーダー 共創プロデューサー 伊藤 剛 のコメント
山口大学との連携協定についての本プロジェクトをパーソルキャリア側で推進している共創プロデューサー、経営戦略本部 ミッション共創推進部 マネジャー 伊藤 剛は以下のようにコメントしています。
私たちは、現在、キャリア教育プログラム「”はたらく“を考えるワークショップ」を全国の小学校・中学校に無償で提供しています。この活動はより多くの子どもたちの「将来のキャリアオーナーシップ」を育むために行っていますが、同時に「キャリア教育機会の地域間格差の是正」もしていきたいと考えており、学校規模の大小、当社の拠点から遠い・近い、公立・私立などに関わらず、北海道から沖縄まで日本各地の学校に社員を派遣しています。
今回、山口大学様との連携協定にあたってポイントになったのは、地域の人口流出・人口減少を防ぎたいという地域社会の差し迫った課題の解決と、子どもたちに自分の無限の可能性に気づいてもらい、地元ではたらくことから、都市部、さらにはグローバルに活躍することも視野に入れた多様なキャリアの選択肢があることを示していくキャリア教育との統合でした。山口大学の皆さまに当社のキャリア教育プログラムを見学していただいたほか、何度も議論を重ね、連携協定の詳細を詰めていき、この度、締結に至りました。
私自身、地方の中山間地域の出身です。昨年度の地域の出生数は1桁で、ふるさとがゆっくりと、しかし確実に活気を失っていくのではないかという寂しさや不安を持つ人間の一人です。この取り組みによる成果が、地域やふるさとが将来にわたって暮らすことも、関わり続けることも、帰省することもできる「持続可能な暮らせる場所」であり続けると共に、子どもたちだけでなく、大人たちも自身の地域やふるさとに期待や希望を将来も継続して持つことができる社会を創る助けになればと思っています。
予測困難な時代であっても、全国の子どもたちが希望をもって自分らしいキャリアを描き、また、都市であっても地方であっても日々、暮らし、はたらく中で、「Well-being」を実感する社会の実現に少しでも貢献できれば幸いです。
伊藤 剛 プロフィール
経営戦略本部 ミッション共創推進部 マネジャー/共創プロデューサー
総合PR会社に入社しキャリアをスタート。その後、統合型マーケティング
を実践するコンサルティング企業を経て、2018年にパーソルキャリアに
企業広報・サービスPRの責任者として参画。2019年に同社がコーポレート
ミッション -人々に「はたらく」を自分のものにする力を- を制定した
ことを機に、「キャリアオーナーシップ リビングラボ」を立ち上げ、共創
プロデューサーとして、産官学の外部パートナーと「キャリアオーナーシ
ップ」を探究するさまざまな活動を企画。2021年には「キャリアオーナー
シップとはたらく未来コンソーシアム」を発足。現在は、ミッション共創
推進部のマネジャーとして、社会的インパクトと経済的価値(企業価値向
上)を両立させたソーシャルアクションの創発や企業価値創造ストーリー
の設計に取り組んでいる。
パーソルキャリア株式会社 ミッション共創推進部 について
本組織は、当社が持続的成長を通じて、「キャリアオーナーシップを育む社会」を創造し、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」を実現していくための非財務活動(社会貢献活動やCSR活動)の企画や運営を担っており、「“はたらく”を考えるワークショップ」のほか、他人に目標をたててもらうワークショップ「タニモク」、個人と企業の持続的な成長を模索する企業・団体の人材開発部門が集まった実践型越境コミュニティ「キャリアオーナーシップとはたらく未来コンソーシアム」の企画・運営を行っています。また、こうした社会にインパクトを与えていくことを目指した非営利活動を営利企業が安定的かつ持続的に提供していくことを可能とするため、各取り組みの企業価値との接続の強化、企業価値向上への貢献の可視化・探究なども行っており、新しい資本主義、共助資本主義、倫理資本主義などで提唱されているこれからの新しいビジネスに対応する営利企業の社会
ローカル型キャリア教育プログラムの設計に取り組む開発責任者 竜田 遼 のコメント
「地域の特色を反映可能なローカル型キャリア教育プログラム」の開発に取り組む、「“はたらく”を考えるワークショップ」を開発・提供しているミッション共創推進部 キャリア教育推進グループの竜田 遼は、以下のようにコメントしています。
山口大学様と地域の小学校・中学校向けのキャリア教育プログラムの共同開発に着手できることを大変嬉しく思います。今回開発するキャリア教育プログラムは、これまで私たちが提供してきた全国共通の取り組みとは異なり、地域特有の課題に対応することを目指しています。都市部では多様な職業や企業に簡単にアクセスできますが、地域の学校ではその機会が限られており、先生方もどのようなキャリア教育を提供すべきか日々悩まれています。本プログラムが、地域の先生方の悩みに応え、子どもたちの可能性を引き出す一助になることを願っています。
プログラムの詳細はこれから開発していきますが、地域の大人や地域に関わる大人と子どもの対話を重視し、子どもたちのコミュニケーション力を育むほか、地域の産業や職業に触れる機会を通じて、子どもたちが地域に対する理解を深め、将来のキャリアに対する視野を広げるワークショップなども考えています。
引き続き、先生方と共に、子どもたちが社会の変化を前向きに受け止め、人生をより豊かにしていくために主体的に考え、行動することができる「生きる力」を育む、質の高いキャリア教育を提供していきたいと思います。こうした活動を通じて、子どもたちが自分自身や地域・日本の将来に期待や希望を持てる社会の実現に取り組んでまいります。
竜田 遼 プロフィール
経営戦略本部 ミッション共創推進部 キャリア教育推進グループ
「“はたらく”を考えるワークショップ」開発者
大学卒業後、ウェディングプロデュース会社にてキャリアをスタート。
その後、医療系人材紹介会社、現職のパーソルキャリアにてキャリア
アドバイザーとして6年間個人の転職支援を行う。2018年10月に戦略
人事部に異動し、担当事業部の人事評価制度運用や事業課題に応じた
組織・人材開施策を行う事業人事に関わりながら、パラレルでキャリア
教育を全国で推進。全国の小・中学校での授業や、教員研修/保護者向け
講演なども実施している。2021年6月に、これらの活動を行うキャリア
教育推進グループが会社組織として正式に発足。現在はパーソルキャリ
ア全社の組織・人材開発部も兼務し、子どもから大人までの人材育成に
関わっている。
<参考1> 「小学校・中学校向け “はたらく”を考えるワークショップ」について
< https://www.persol-career.co.jp/service/contents/career-workshop/ >
「“はたらく”を考えるワークショップ」は、パーソルキャリアが全国の小学校・中学校に無償で提供している小学4年生から中学3年生を対象にしたキャリア教育プログラムです。日々さまざまな人や企業の「はたらく」に向き合い続けるパーソルキャリアのキャリアアドバイザーらが講師を務め、現場で培った経験・知識をもとに、自ら主体的に判断しキャリアを形成していくための「生きる力」及び「新会人基礎力の土台」を育む授業を行っています。
子どもたちに「はたらくこと」についてイメージを聞いた際に、「辛いこと」、「疲れる」、「生きるために仕方ない」といったネガティブが多く、このまま「はたらくこと」に希望を持たないまま大人になってしまうと危機感を感じた一部の社員が、ボランティア活動としてキャリア教育のワークショップをつくり、いくつかの小学校・中学校に無償で提供したのが、本活動のはじまりです。2018年に会社の公式ワークショップとして提供を開始して以来、公立の小学校・中学校を中心に、全国33を超える都道府県で、延べ565回、302校、33,138名の子どもたちに授業を提供しています。(2024年3月時点、リピート校含む)
ワークショップを通じて、「はたらくこと」のポジティブな面を理解することで子どもたちが将来に希望を持ち、普段から主体性、自己決定、価値提供を意識した行動を促し、自己肯定感も高めていきます。授業の前後で子どもたちにアンケートを取り、意識や行動の変化や定着状態も検証しながら、先生たちと一緒に子どもたちの意識と行動の習慣化までを支援します。
また、本ワークショップは、2021年に経済産業省が主催する「第11回 キャリア教育アワード」優秀賞、2024年に文部科学省が主催する「令和5年度 青少年の体験活動推進企業表彰」優秀賞、株式会社朝日新聞社などで構成されるウェルビーイングアクション実行委員会が主催する「ウェルビーイングアワード2024」GOLD(組織・チーム部門)を受賞しています。
<参考2> プロフェッショナル人材の総合活用支援サービス「HiPro」及び「スキルリターン」について
■プロフェッショナル人材の総合活用支援サービス「HiPro」< https://hipro-job.jp/ >
人生100年時代への突入、コロナ禍でリモートワークが普及・浸透したことなどにより、はたらき方や雇用のあり方が大きく変わってきています。企業を取り巻く環境も劇的に変化し、産業構造も変わりつつあります。こうした中、複雑なビジネス課題を解決するためには、企業と従業員の雇用契約だけでは対応しきれない状況も生まれています。こうした現状を変え、新しい人材活用(タレントシェアリング)を当たり前にするために誕生したのが、「HiPro(ハイプロ)」です。「HiPro」は「スキルを解放し、社会を多様にする。」をパーパスに、企業は課題解決に必要な人材と出会うことができ、個人は自分のスキルにあったプロジェクトを探すことができる、業界初のプロフェッショナル人材の総合活用支援サービスです。「HiPro」の展開により、これまでの経験とスキルを生かしながら自身の可能性を広げたい個人と、複雑化する課題に対応したい企業に選択肢を増やし、社会を多様にしていきます。
■プロ人材活用の浸透により、地域企業と経済の発展への寄与を目指す取り組み「スキルリターン」
「スキルリターン」とは、都市部ではたらきながらも、「地域を発展させたい」「この企業の可能性を信じている」という想いを持つプロ人材のスキルを“ふるさと”に還元(リターン)する取り組みです。
日本では、少子高齢化に伴い、生産年齢人口は1995年をピークに減少※し続けています。とりわけ地域では、労働力不足がすでに深刻を極めています。労働力不足を解決する手段の1つとして、国を挙げてプロ人材活用を推進している一方、プロ人材活用を選択肢として持つ企業は一部企業に留まり、地域企業におけるプロ人材活用は進んでいるとは言い難いのが現状です。こうした課題を解決すべく、1社でも多くの地域の企業にとって、プロ人材の活用が当たり前になることを目指し、2023年6月に「スキルリターン」プロジェクトをスタートしました。
※ 総務省「情報通信白書令和4年版」
国立大学法人山口大学について < https://www.yamaguchi-u.ac.jp/ >
山口大学は、9 学部 8 研究科からなる学生数 1 万人を超える総合大学です。1815年に長州藩士・上田鳳陽により創設された山口講堂を起源とし、「発見し・はぐくみ・かたちにする 知の広場」を理念に掲げ、開学以来すでに12万人以上の卒業生が全国各地、世界各国の幅広い分野で活躍しています。2023年に「明日の山口大学ビジョン2030」を策定し、<知の創造としなやかな人材の育成により地域に・世界に貢献する山口大学>を中心的目標として定めました。この目標の実現に向けて、地域に根ざし、人材を育成し、知を世界に発信します。
パーソルキャリア株式会社について< https://www.persol-career.co.jp/ >
パーソルキャリア株式会社は、-人々に「はたらく」を自分のものにする力を-をミッションとし、転職サービス「doda」やハイクラス転職サービス「doda X」を通じて人材紹介、求人広告、新卒採用支援などを提供しています。2022年5月にはプロフェッショナル人材の総合活用支援ブランド「HiPro」を立ち上げ、副業・フリーランス領域にも本格参入。グループの総力をあげて、これまで以上に個人の「はたらく」にフォーカスした社会価値の創出に努め、社会課題に正面から向き合い、すべての「はたらく」が笑顔につながる社会の実現を目指します。
当社のミッションについて:https://www.persol-career.co.jp/mission_value/
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