博報堂生活総合研究所アセアン「アセアン生活者研究2023」を発表

これからの注目セグメント「Emerging Affluent~新興富裕層」を解き明かす~知識やスキル・貯蓄・保険など全方位的な人生基盤の拡張によって、安定と成長を目指す生活者~

株式会社博報堂

博報堂生活総合研究所アセアン(以下、生活総研アセアン)は、『Emerging Affluent~アセアンの隠れたセグメント“新興富裕層”を解き明かす~』をテーマに、アセアン生活者の意識・行動に関する調査・研究結果と、マーケティングへの示唆を発表する「アセアン生活者研究2023」をタイ・バンコクにて実施いたしました。

アセアンの経済成長は世界的に見ても著しく、中でも人口ボリュームの多い中間層が市場成長の大きな原動力のひとつだと言われています。そこで生活総研アセアンが注目したのは、中間層から富裕層の間に存在し、自分の力で稼ぎ、豊かさや憧れのライフスタイルを手に入れ、中間層から上の社会階層に移行しようと努力を続けている新たなアセアン生活者の存在です。アセアンにおいては、従来、富裕層と中間層の階層は固定化されており、企業のマーケティングにおいても、中間層から富裕層の間のセグメントはほとんど注目されて来ませんでした。しかし、この富裕層と中間層の間に存在するセグメントによる消費行動やメディア行動は活発で、今後のマーケティングにおいて重要なセグメントになると生活総研アセアンは考えました。


上記を踏まえ生活総研アセアンでは、世帯月収を基に中間層の中でも上位に該当する生活者(タイのバンコクでいえば世帯月収65,000THB-150,000THB程度の上位5-10%に当たる層。その他各国の世帯月収の定義はp6の※【本調査における「アセアン新興富裕層」の定義】をご参照)を「Emerging Affluent(新興富裕層)」と定義づけ、アセアン6か国での定量調査や訪問調査による分析・研究を行いました。その結果、彼らのライフスタイルや価値観、消費行動、メディア行動が中間層や富裕層とは大きく異なっており、企業のマーケティング上も有望な層であることが明らかになりました。これから注目のこの新興富裕層の特徴について、以下ご紹介します。


<新興富裕層の主な特徴>

■社会的背景

・経済的に厳しい環境で育った背景から【豊かさへの強い渇望】がある。

・同時に「神」や「運」など【見えざる手】を信じ、その存在が彼らに謙虚さを与えている。


■価値観・人生観

・収入や資産の多寡のみで測る「一次元的な”垂直型の目標達成”」ではなく、あらゆる事態に備え全方位的に自分と家族に必要なアセット(知識、スキル、貯蓄、保険、投資、不動産など)を増やし、生活基盤を安定・強固にしていく”水平型の目標達成”を重視。

・より良い生活レベル獲得への【強い決意】と、長期的で戦略的な人生設計を実行する【行動力】を持つ。

・富裕層のようにあえてトップを目指さない【戦略的ナンバーツー】。肉体や精神を消耗する競争を避け、【内的充実】を志向。


■消費行動

・「高級ブランド」「人気ブランド」などのイメージだけで買い物はせず、【最上級の機能性】追求と、所持品で社会的地位や信用が得られる【ステータス保証】効果を追求。

・自分のためだけの消費には罪悪感があるが、家族との絆を大事にするアセアンにおいては【家族のため】の消費は誇り。


■メディア行動

高い情報収集能力】と、集めた情報の周囲への【お裾分け】が得意。金融関連の情報収集にも積極的。

・他者から反感を買いづらい【家族のための消費】など、SNSでの批判を避ける【控えめな自己演出】


<富裕層・新興富裕層・中間層の主な価値観比較(HILL ASEAN考察)>


<アセアン新興富裕層を表現する3つのキーワード>

1.Strategic Mindset=人生に戦略的思考を持つ

2.Life Stability First=何よりもまず万全な備え

3.Humble But Ambitious=謙虚でありながら野心がある


<アセアン新興富裕層の本質=『Omni-mizers(オムニマイザー)』>

一般的に、アセアン生活者は「人生の今の瞬間を楽しむ」という特徴で知られていますが、アセアン新興富裕層は、より長期的で戦略的な視点で物事を捉えています。彼らが第一に優先するのは「生活の安定」です。自らの知識やスキル、資産、人間関係を計画的に形成し拡張し続けることで、人生の基盤を安定、強化し、継続的な成長、経済的なステップアップを志す行動家です。

生活総研アセアンは、アセアン新興富裕層が人生の指針として、生活の安定と継続的な成長、成功を獲得するために、自らの知識やスキル、貯蓄や保険など、複数の「ライフ・ピラー」(=人生を支える柱)で安定させた長屋のような水平型の人生基盤を万全に備えていることに注目。アセアン新興富裕層の本質を『Omni-mizers(オムニマイザー)』(多角的な人生基盤の拡張によって安定と成長を目指す人)であると見出しました。


「より豊かになりたい、上を目指したい」と願う多くのアセアンの中間層にとって、アセアンの新興富裕層は「目指すべき成功像」でもあります。アセアンの新興富裕層の人となりや願望、目指したい人生のゴールを知ることは、これまで隠れていたセグメントについて学ぶことだけでなく、これから新興富裕層になり得るアセアンの人口の大半を占める中間層を理解する上でも重要といえます。


生活総研アセアンは今後も、アセアン生活者の意識・行動に関する研究を通じ、アセアンにおける企業のマーケティング活動を支援してまいります。


<アセアン新興富裕層についての参考データ> 

 定量調査と定性調査(訪問調査)の主な結果をもとに、アセアン新興富裕層の特徴をご紹介します。


【アセアン新興富裕層の社会的背景】

・アセアン新興富裕層は過去に経済的に苦しい経験をしている人が多く、「二度と辛い思いをしたくない」と感じ、より良い人生を自分の努力によって切り開くという「強い決意」と、それを実現するための「行動力」がある。

・自らの努力が成功には重要であると考える現実主義者である一方で、決して自分だけ成功できるとは考えず、成功を助け常に良い行いをするよう見守る「神」や「運」など「見えざる手」の存在に畏怖の念を持ち、尊重する。


【アセアン新興富裕層の価値観・人生観】

・「いつ自分が転落して、経済的に苦しい元の生活に戻ってしまうか分からない」という不安を抱えているため、何よりも自分や家族の生活の安定的成長を求める。そのために自分や家族に足りていない知識、スキル、貯蓄、保険といった安心材料を全方位的に備えることで「水平型の人生基盤」を形成しようとする。

・富裕層のようにトップを目指して努力し続けるのは心身共に過大な負荷がかかるため、「戦略的ナンバーツー」を志向。生活の安定を第一に考え、「内的充実」を志向し、仕事、家庭生活、趣味などにおいて、より良い結果を出すことを目指す。


【アセアン新興富裕層の消費行動と意識】

・アセアン新興富裕層は、「自分はまだ道半ば(富裕層ではない)」と思っていることや、周囲に中間層が多く無用な嫉妬や金銭トラブルを避けるため、普段の身なりや行動は「控え目」を徹する。

・買い物自体を楽しむが、「高級だから」「人気だから」などイメージだけでの購入はせず、耐久性など「機能的なベネフィット」を見極めてから商品を購入する。富裕層に比べ金銭に限りがあり「自分は沢山のお金を使える立場ではない」と無駄なお金を使うことに罪悪感を持っているため、最高級品よりも高品質で耐久性やリセールバリューがある「最上級機能品」を選ぶ傾向にある。

・ブランドは自分の身分を表すパスポートのような存在。それぞれのブランドが持つイメージや示す社会クラスを冷静に見極め、必要に応じて自分の信頼性や立場を表明するために最適なブランドを選ぶのが得意。

・普段は財布の紐が固いが、「家族のため」となると一変し、糸目をつけずに消費する。


【アセアン新興富裕層のメディア行動と意識】

・アセアン新興富裕層は情報収集においても現実的で戦略的な思考をすることが特徴。より成功するために有益な情報を多く持つことが重要と考えているため、積極的に情報収集を行い、情報リテラシーにも自信がある。集めた情報はひとりで活用するだけでなく、周囲へ「お裾分け」もする。

・関心が高い情報は、資産形成のための「金融関連」や世の中の動きを知るための「ニュース」。

・SNSへの投稿はあくまで謙虚で「控えめな自己演出」。不要な注目や批判を避けるため、ブランド品や贅沢品の投稿は控える一方で、周囲から嫉妬や批判を受けにくく「いいね!」を獲得しやすい「家族との旅行や家族のためのコト消費」は盛大にアピール。


【定量調査概要】

調査手法:インターネット調査

対象地域:タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ベトナム、シンガポール、日本

対象者:20-49歳男女、 SEC A-C、計2,290サンプル

実査時期:2022年12月


【定性調査概要】

調査手法:訪問調査

対象地域:タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ベトナム、シンガポール

対象者:20-49歳男女、アセアン新興富裕層、総計44サンプル 

実査時期:2022年9月~10月 


※【本調査における「アセアン新興富裕層」の定義】

アセアン各国の経済状況に合わせ、国別の世帯月収(インドネシアのみ世帯支出)で新興富裕層を定義。


■博報堂生活総研アセアンについて

2014年、アセアンの生活者を研究する企業内シンクタンクとして設立、2017年3月タイ現地法人化。

アセアン生活者の洞察・提言を通し、アセアンにおける企業のマーケティング活動をサポートしています。

正式名称:博報堂生活総合研究所アセアン

英文名称:Hakuhodo Institute of Life and Living ASEAN

所長:Devi Attamimi

所在地:タイ・バンコク市

研究・活動内容:アセアン各国視点での調査・分析、アセアン各国でのフォーラム開催


 ≫生活総研アセアンWebサイトの特設ページにて、本調査結果の詳細と研究内容の解説および、今後のマーケティングへの示唆などをご紹介しております。https://hillasean.com/

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会社概要

株式会社博報堂

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URL
http://www.hakuhodo.co.jp
業種
サービス業
本社所在地
東京都港区赤坂5-3-1 赤坂Bizタワー
電話番号
03-6441-8111
代表者名
水島 正幸
上場
東証1部
資本金
358億4800万円
設立
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